インベスターZに学ぶ 出口戦略を考えておくことの意義
先日開催されたYAPC::Hiroshima2024のすてにゃんさんのイベントレポを読んだところ、興味深い話が。
このお話を読んで思い浮かべたのが我らがお金のバイブル『インベスターZ』のこちらのシーン(このシーンは2巻より)。
この後半のセリフを人生に置き換えると…
「例えば人生もそう… 普通は日常を漫然と過ごしていくだろ… でもそれってただ今を無事に生きていることに満足していることと同じ。全く出口のことを考えていない人生の送り方だ」
といったところでしょうか。
ここまでのリソースを総じて自分が何を言いたいかというと、
お金は人生を豊かにするための手段である
手段というのは目的を達成するためにある
目的がないということは、手段を行使することができない
以上から、人生を豊かにするには出口戦略を決めておくことが必須条件というのが私の主張です。そのために、お金と時間(=命=人生)をどう使うのか?を決めておかないと、なんとなく人生が終わってしまうのではないかと恐怖を覚えています。
話が若干逸れますが、この間のPHPカンファレンス関西2024でえれなりさんから、「新卒の頃にやっておけばよかったことはなんですか?」という質問をいただきました。
その時は気が回っていなくて、エンジニアリングに関することばかりを話しました。
しかしすてにゃんさんの記事を読んで、こういう話もしておけばよかったと思ったのと、若い子たちが自分の記事を読んでくれているようなので、ぜひそんな彼らに向けて書いておきたいと思ったことを書いておきます。
人生の出口戦略とは
ここで人生の出口戦略を決めておくにあたって認識しておく必要がある事実があると思っています。
それは人間が死ぬ確率は現時点では100%だということです。不老不死ビジネスができれば話は別ですが… おそらく100年後には今この記事を読んでいるほとんどの人はこの世にはいないでしょう。
であるならば「如何にして死ぬか?」というのが人生の出口戦略となってくるわけです。
この手の考え方で有名かつ、風を吹かせていた書籍の一例がこちら。
この『DIE WITH ZERO』は全面的に共感というわけではありませんでしたが、概ね共感できるものがあり、人生の出口戦略を考えるうえで非常に参考になりました。働きすぎないことや、若いうちに経験にお金を使うこと、寿命を計算して健康に投資することなど、自分が大切にしていることはこの本から学びました。
では、人生の出口戦略をどう考えているかをより詳しく話す前に有名なストア派哲学者であるマルクス・アウレリウスのこの言葉を引用しておきます。
つまりマルクス・アウレリウスによると、人生の出口戦略とは『死』であり、死について考えることが自ずと出口戦略を考えることにつながっていくというわけです。
人は死ぬ間際に何を後悔するのか?
では『死』がせまるとき、なにについて「これができなくなる」と想起するのでしょうか?それを知るのに役立つのが以下の書籍。
こちらの書籍は終末医療に携わったドクターが自身の経験を元に書かれた本です。サンプルの目次からある程度後悔の内容が読み取れます。あるいは、本ではなくもう少しカジュアルに死ぬ前に後悔することを知るには以下の動画を見てみてください。後者の動画は上の書籍の内容を簡潔にお話してくれています。
自分の出口戦略
では自分の場合は出口戦略をどのように設定しているかをお話したいと思います。これはあくまで自分の答えであり、他の人もこうあるべきみたいに押し付けるつもりは毛頭ありません。
この記事を読んだ人たちの一つの参考になればよいなという感じです。
働く時間を極力減らしていく
まず一番に目標として設定しているのがこれです。先の書籍にもあるように、「働きすぎたこと」を人は後悔するようです。(ちなみにDaiGoさんの動画もこれが1位だった)
これは他の後悔にもつながると思っていて、「やりたいことをやらなかったこと」「健康を大切にしなかったこと」「故郷に帰らなかったこと」「行きたい場所に行かなかったこと」などの後悔を減らすためには何より時間が必要になります。(お金があっても時間がなければ意味がない)
人生の1/3はベッドの上で過ごし、残りの2/3のうち半分ほどは仕事で過ごすことになるわけで、しかし健康を大切にするのであれば減らす部分は睡眠ではなく仕事しかないと思っています。
ではFULL FIREを目指すのか?というと、自分が資産家や富豪になるためのビジネス案があるのならばそれも良いのですが、そんなカードは残念ながら配られていないため、SIDE FIREあたりを目指すのが良いと考えています。
SIDE FIREは所得税・住民税や社会保険を考えれれば考えるほど効率がよいと思っているのと、資産暴落や結婚・出産・病気といった自身を取り巻く環境の変化に強いと考えているからです。変化に強いのはプログラミングに限らず全ての物事における真理ですね。
また働きすぎは毒ですが、ほどほどの労働は人生を豊かにしてくれると自分は思っているので、仮に資産がいくらあったとしてもこの先労働を0にすることはないと思います。どうやら自分はソフトウェアエンジニアという働き方をそこそこ気に入ってるらしいです。
以上の理由から、まずは時間とお金の大部分をここに投資して、未来の時間とお金を生み出すための戦略をとっています。
健康を大切にする
一番の目的にはSIDE FIREを据えてある程度の資産を築くことを目的としていますが、戦略がそれだけになると今度は別の後悔が膨らむことになります。
なぜなら資産を築ききる前に死ぬ可能性だってあるわけです。
というわけで資産形成に注力しながらも、それ以外の部分でお金を惜しまないものを決めておこうというわけです。
そんな中で一番に大切にしたいことが健康。なぜなら死ぬ可能性を多少なりとも下げることができるからです。これを損なうと1番の目標である資産形成に影響がでるだけでなく、すべての死の間際の後悔に影響が出てしまいます。
自分が直近健康にかけているお金や時間については別記事で書く予定です。
やりたいことをやりきる
ふとした瞬間に「〜〜やりたいな」と思うことがあるかと思います。
そういうことは思いついた瞬間にメモしておいて、徐々に解消していくという方法を自分はとっています。
最近だと、
いのりんのライブを全通してみたい
ClariSのライブに行ってみたい
が増えました。
実際にやってみると、「めちゃくちゃ時間とお金がかかるやりたいこと」ってそんなにないなと実感します。人間如何に行動しないかということですね。
元気なうちにやりたいことはやってしまいたい。めちゃくちゃ費用がかかる「死ぬまでにやりたいこと」って実はそんなにないはずなので、一度整理してみることをおすすめします。
旅行へ行く・美味しいものを食べる
これに付随して良い人間関係を作っておくことも意識しています。
最近は物を買っても満たされることが少ない。その瞬間は満たされますが、満足感が長続きしないような気がしています。反面だれかと過ごした時間というのは、その満足感が長く続く実感があります。
一緒に過ごす人がいるだけでなく「どう過ごすか?」もまた重要だと思っていて、そのために「どこかへ行く」「何かを体験する」ということも重要だと思っています。
そこで王道なのが旅行と食事。やはり自分が関係を続けたいと思う人と時間を共有すると時間やお金の使い方に後悔が残りません。
ちなみに自分の中での「関係を続けたいと思う人」の線引きは、「自分の時給以上の満足感が得られそうかどうか?」です。これは最近副業を始めた影響で、時給がはっきり数字で決まっていると無駄な時間を過ごした時に「この時間副業してればxxx円稼げたのに」と思うようになりました。この尺度を持てると人間関係以外にも読書や勉強会などでも、無駄な時間を損切りできるようになります。
人生の出口戦略を考えておくことの意義
意義は、人生を豊かに生きられる(であろう。だって私はまだ死んでないので)ということもありますが、日々の行動にブレがなくなります。
ゴールが明確に定まっているので、日常のあらゆる選択が「なんとなく」ではなく「目的を達成するために何を選ぶか?」に自ずとなっていくはずです。
ここで話を最初のすてにゃんさんの記事からの引用に戻すと、結論として人生の出口戦略は人それぞれでいいのです。ただし、何かしらの戦略を持っておく必要はある。
そうすることで周りの声に惑わされることがなくなるし、自分にとって本当に必要なことに集中できるようになるし、自分にとって本当に価値があるものにお金を使うことができるようになるはずです。
おわりに
最後は永遠の名作・『ショーシャンクの空に』より、自身の冤罪を証明できる唯一の証人を失い、それでも生きることを諦めなかった主人公・アンディの台詞で締めておきます。
私は必死に生きます。