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涙のROCK断捨離 69.MANIC_STREET_PREACHERS「REWAIND THE FILM」

マニック・ストリート・プリーチャーズ「リワインド・ザ・フィルム」/MANIC STREET PREACHERS「REWAIND THE FILM」
2013年

デビューからのキーマンであるギタリストのリッチー・エドワーズとともに、激しい自己主張を繰り広げたバンド・サウンドの90年代前半。
彼の失踪による解散の危機を乗り越えて音楽的な変化を遂げ、商業的な成功をつかむ90年代後半。
そこから自己を見つめ直すかのような「ノウ・ユア・エネミー」(2001年)、ベスト盤(2002年)、レア・トラック集(2003年)という悩みの時期を経て、ついにマニック・ストリート・プリーチャーズは再出発します。

素晴らしい曲の歌ものロックというスタイルで再スタートした彼らは、新たなファンを獲得しながらさらに飛躍を遂げますが、そんなステップの中で届けられたこの「リワインド・ザ・フィルム」は、異質なアルバムでした。

もう再出発後のスタイルのままで名曲を生み出していけば良さそうなものですが、このアルバムでは意外なことに、アコースティック主体の落ち着いた作風に大きく舵が切られています。
もちろん、それぞれの楽曲は悪くありません。マニック・ストリート・プリーチャーズでなければ、もっと褒めているかもしれません。
ただどうしても、全体としては躍動感に乏しくて、静かな曲においても深さが足りないような感じがしてしまうのです。
バンドが大人になったということなのでしょうか。
少々、置いてけぼりを食ったような感じです。
リリース当時は、まるでロキシー・ミュージックの「アヴァロン」を聴いた時のように、「これでこのバンドは終わってしまうのだな」という気になってしまいました。タイトルも、そんな感じですし。

しかし今、改めてこのアルバムを聴いているのですが、これは終わりを告げるアルバムでは無く、バンドが熟成を重ねる過程で必要なステップだったのかなと思い直しました。
というのも、その後にも彼らは音楽活動を継続していて、また素晴らしいアルバムを発表してくれているからです。

先入観無しに聴くのも良いとは思いますが、マニック・ストリート・プリーチャーズを知るのであれば、まずは他のアルバムから聴いていただくことをお薦めします。
いちばん古いものからか、いちばん新しいものからが良いと思います。

Spotifyで聴けます。


写真の使用許諾に感謝します。
Photo by Stefan Grage on Unsplash