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涙のROCK断捨離 114.INXS「Full Moon, Dirty Hearts」

インエクセス「フルムーン・ダーティハーツ」/INXS「Full Moon, Dirty Hearts」
1993年

これ以降のアルバムを買うのを止めてしまった、私の中ではインエクセスに見切りをつけたアルバムだったように記憶しています。
今、改めて聴いてみると、そんなに悪くは無いのですが、良くもありません。
「ライブ・ベイビー・ライブ」以降大きく高まった期待値は、前作「Welcome To Wherever You Are」に続いて、今作でも下回ってしまいました。

アルバムに収録されているレイ・チャールズとデュエットした「Please」は、なぜこの曲を一緒に歌うのかピンと来ず、プリテンダーズクリッシー・ハイドと一緒に歌った気怠いスローナンバー「Full Moon,Dirty Hearts」は、あまり心に響くところがありませんでした。
どちらも悪くは無いのですが、せっかく大物ゲストを招いた良さが発揮されていないように感じられたのです。

アルバムを通して聴くと、彼らをビッグにしたファンキーなロックチューン、以前から欲しいと思っていたスローナンバー、ゴリゴリのハードロックなど、バラエティに富んだ内容になっています。
ただそれが、「カラフルで楽しい」というよりも、「散漫で迷いを感じる」という評価になってしまうのです。

バンドとして成功のピークを体験した後も、誠実に音楽を続けようとしたことによる試行錯誤なのかなと好意的に捉えたりもしますが、リスナーは我儘ですから、自信満々でフェロモンをまき散らしていた頃の方が良かったと、勝手なことを思ってしまうのです。
残酷なことに、インエクセスって何が良かったんだっけ?と思い直してしまいます。

何度も言いますが決して悪くは無いのです。
なんというか、普通に良いロック・アルバムなのでした。

余談ですが、スター・ヴォーカリストのマイケル・ハッチェンスが亡くなった後、2005年に発表されたアルバム「Switch」に入っている「Afterglow」は好きな曲です。
こういうスローナンバーがもっと早くにあって、シングル・ヒットさせていたら、バンドのその後は違っていただろうなぁ、と思わずにいられません。
アルバムを購入していないのでレビューしませんが、収録されている曲のクオリティは高くなっていただけに、惜しいですね。

Spotifyでも聴けます。


写真の使用許諾に感謝します。
Photo by Jen Theodore on Unsplash