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涙のROCK断捨離 41.Roger_Waters「RADIO K.A.O.S」
ロジャー・ウォーターズ「RADIO K.A.O.S~混乱の周波数~」/Roger_Waters「RADIO K.A.O.S」
1987年
きみは、ロジャー・ウォーターズ派?、それともディビッド・ギルモア派?。
いや、私はシド・バレット派。なんていう酒飲み話しの場でも、なんとなく肩身が狭い、ロジャー・ウォーターズ派ですが、私はしっかり擁護します。
ロジャー・ウォーターズがいたからこそ、ピンク・フロイドは歴史に残る名盤を生み出し、最高のライブを行うモンスター・バンドになれたのだと。
このアルバムは彼がピンク・フロイドから離脱して発表した、ソロ2作目のアルバムです。1作目は、彼がまだバンドに所属していた時期に出されていましたので、独立した彼の1作目とも言えます。
アルバム全体を通して、ロック・オペラを構築するというスタイルが、このアルバムでも踏襲されていますが、前作よりも個々の曲は独立した作りで、物語を深く気にしなければ、気軽に聴き進めることができます。
女性のバッキングボーカル、SE(効果音)や管楽器の使い方、つぶやくようなボーカルとシャウトする声など、ピンク・フロイドで成功した要素はしっかり押さえて作られています。
ひょっとしたらピンク・フロイドの名前は彼が継いで行くのが正解なのではないかと、少しだけ思ったりもします。
アルバムとしては、良くも悪くも、癖が抑えられて程よいロック・アルバムになっていると言ってよいのではないでしょうか。
しかし、同時期に発表されたギルモア版ピンク・フロイドは、アルバム・セールス、コンサート・ツアーの実績でロジャー・ウォーターズに大きな差を付けて、ピンク・フロイドの正当な後継者であることを疑いのないものにします。
確かに、今聴き比べてみても「RADIO K.A.O.S」と「鬱」では、出来に差があると思わざるを得ません。
なので、大切なのは、ディビッド・ギルモアと比べたりするのではなく、ロジャー・ウォーターズのロック・オペラが好きか嫌いかというところだけかと思います。
ロジャー・ウォーターズが日本のことを嫌いでも、私は彼のことは嫌いではなく、むしろお気に入りのアーティストですが、正直に言えば、このアルバムはそんなにお勧めではありません。
これから聴かれる方は、このアルバムを発表する前後のピンク・フロイドや彼のソロも合わせて聴かれると良いかもしれません。比較して優劣を付けるというのではなく、そうすることでロジャー・ウォータズの個性がより理解できると思うのです。
Spotifyでも聴けます。
https://open.spotify.com/album/7ID0EuIjKxSNFw6dqOWDmo?si=pPkH9-QpSj2Pmj5b-UPZoQ
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Photo by Markus Spiske on Unsplash