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125夜 American Utopia On Broadway / David Byrne
けっこう前の話しですが、観る人はいるのだろうか?と思って映画館に足を運んだところ、意外にもお客さんが入っていて驚きました。
デイヴィッド・バーンと言えば、1970年代後期から80年代の音楽シーンに大きな影響を与え続けたバンド、トーキング・ヘッズのフロントマンですが、ここ最近はメジャーなヒットはありませんでしたので、若い世代では聴いたことが無いという方も多いかもしれません。
ただ、リアルタイムで「Remain in Light」(1980年)の洗礼を受けた世代には、忘れることのできないアーティストなのです。
「American Utopia」は、小さなホールでのライブをおさめた、いわゆる記録映画的なもので、過度な演出や映画的なファンタージ―はありません。
そして、このシンプルさは映画の作りだけではなく、そこで展開されるパフォーマンス自体が、音楽によるコミュニケーションの本質を知的に追求したものになっていて、研ぎ澄まされ、削ぎ落された表現の先にある、ミニマムな豊饒さに満ちたものなのでした。
観た後に誰かと感動を共有したくなる、素晴らしいパフォーマンスであり、それが地味ながらもロングヒットを実現している要因だと思えます。
音楽は素晴らしいですし、往年のヒット曲には心が躍ります。
ただ、音楽だけを切り出しても、ちょっとこのライブの良さは伝わらないので、是非、映画で体験して欲しいと思います。
(なんと、今でも僅かながら劇場公開されていました。)
映画の中で彼が選挙について語るシーンがあります。
若い方は特に、この映画を観て、選挙に行きましょう。