涙のROCK断捨離 83.THE_STROKES「IS THIS IT」
ザ・ストロークス「イズ・ディス・イット」/THE STROKES「IS THIS IT」
2001年
2000年代初頭は、ホワイト・ストライプスとストロークスだ、と言い切るようなロック・ファンは多いと思います。
シャープで音に切れ味があります。この時にしか出せない音、というのが出せている、ピチピチで活きがいいアルバムです。
このファーストアルバムが、彼らのベストでしょう。
(まだ現役で新譜も出しているので、ベストがどれとか言うのは失礼ですね。)
正直なところ、私の中では、この頃、ストロークスの優先順位は高くありませんでした。
この頃は、ブラック・アイド・ピーズなどアメリカのダンス系やアイドル系などのショー・アップされた音楽は悪くありませんでしたし、レディオヘッドやコールドプレイなど内省的なロック、リンキン・パークのラウド・ロックなどからは傑作と言えるアルバムが数多く発売されました。
様々な音楽を聴いていた時期ではありましたので、ストロークスのデビュー・アルバムは発売された時にすぐに買いました。
ただ、その時は「病んでないベルベット・アンダーグラウンドに魅力は無い」と切って捨ててしまったのです。
ヴェルヴェッツのようであり、モッズのようであり、踊れそうでもあり、粗野なようでいて繊細だったり。スカスカな音作りも戦略的で、ピュアな感じを演じてるようにも感じられて、、、、なんか小賢しい。
バンドのメンバーはニューヨークの裕福な家庭の子だったらしく、鬱屈した思いや世の中への不満も、どこか知性的でファッショナブルです。
田舎者のホワイト・ストライプスとは育ちが違って、垢抜けているわけです。
もちろん、都会育ちだとか家が裕福だからと言ってロック・スピリットが無いというわけではありません。これはバンド側の問題では無く、聴く側の問題です。
ストロークスのカッコよさは認めつつ、彼らをカッコイイと言う時の私の気持ちの中には、どこか都会のおぼっちゃまに対する嫉妬心のようなものが混ざってしまっていたかもしれません。
あれから約20年。私も少しは大人になりました。
こうした瑞々しいサウンドを素直に良いと思えるようになったようです。
どの曲も余計に付け足された音の厚さが無く、バンド・サウンドのエッジをシンプルに活かしています。
曲作りは、変にシリアスにも重くもならず、適度にキャッチ―でポップなところにセンスを感じます。
若さで駆け抜ける、11曲、35分。
何年たってもきっと色あせない、エバー・グリーンな瞬間が閉じ込められた良盤です。
Spotifyでも聴けます。
写真の使用許諾に感謝します。
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