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132夜 French Kiss / Bob Welch

ボブ・ウェルチさんは、その経歴のわりに名前の知られていないアーティストかもしれません。
このアルバムは、フリートウッド・マックからパリスというバンドを経て、ソロ活動を始めた1977年の作品です。
力の抜け具合が気持ちの良いポップ・ロックで、センスの良さを感じる作品なので、もっと評価されても良いと思うのですが、当時の市場の評価はまあまあ良好というくらいだったと記憶しています。

彼が参加していた頃のフリート・ウッド・マックは、ブルースからポップ・ロックへと方向転換して、売れるバンドに変化を始めます。
しかし、何が原因だったのか分かりませんが急に脱退して、パリスというロック色を強めたバンドで活動を始めます。
どちらのキャリアでも良い仕事をしていたと思うのですが、もったいないことです。

1977年は、けっこう話題のアルバムがリリーされた年でした。
中でも彼の抜けたフリートウッド・マックが名盤「噂」をリリースしたのが同時期だったことで、その話題に便乗する形でボブ・ウェルチさんのアルバムも紹介はされていたと思います。いくつかのシングル曲は、ラジオでもよくかかっていました。

改めて聴いてみて、やっぱり悪くないと思います。
なんならフリートウッド・マックよりも洗練されていて都会的です。
名盤とまでは言わなくても、ロックとポップとAORを上手くミックスさせたお洒落な佳作です。
ギターがしっかりフューチャーされているのも気に入っている点で、個人的には、こうして久しぶりに聴きたくなるくらいに好きなアルバムです。

難を言えば、小さくまとまっていて無難な作品かもしれません。
誰からも嫌われない代わりに、熱烈な支持も得られないようなポジションにいる感じなのです。
ファンの方は、もっとロック色の強いものを求めていたのかもしれません。

でも、何かBGMが欲しい時、これを選曲しておけば、かなりの確率でOKだと思います。

うーん、どの曲も悪くない。むしろ、かなり良い。
ジャケットもイケてるし、もっと売れても良かったのになぁ。