133夜 Let There Be Music / Orleans
この時代の音楽には、歌心があるんだよなぁ。
優しかったり、切なかったり、恋しかったり、、、現代の感性からするとセンチメンタル過ぎなのかもしれませんが、怒りや悲しみをダイレクトに表現する直截的なものとは違って、婉曲的かもしれないけれど深いところに届くような感じでしょうか。
激辛料理の辛さを競ったところで、本当に美味しいものには巡り合えません。刺激は関心を引きますが、感動とは別なのです。
オーリアンズに限ったことでは無いのですが、この時代の音楽は激辛食材や化学調味料まみれの料理とは違った、オーガニックな旨さがあります。
若いリスナーは、物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、しっかり噛み締めて味わえば、そこに滋味を感じられると思うのです。
ただ、改めて聴いてみて、確かに昔の味付けだなあと思うところはあります。
今のアレンジャーさんが録音し直してくれたら、もっと聴きやすくなることでしょう。
このアルバムで特に好きなのは、ヒットしたアルバム・タイトルの曲ではなく、「Dance with me」(これもヒットしましたね)です。
この曲だけは、昔の味付けのままでもイケます。
滋味は地味ですね。でも、旨いのよ。