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T'S BAR 28夜 PETER HAMMIL

PH7 / PETER HAMMILL

昨夜、「元ジェネシスのピータ・ガブリエル」と書いていて、ピーター・ハミルさんのことも「元ヴァンダーグラフジェネレータ―(以下、VDGG)」って紹介しがちだなぁ、と思い出したのでした。

そもそも、VDGGが有名ではないので、「元」と言われてもピンと来ないでしょう。
音楽雑誌「Fool’s Mate」の雑誌名は、ピーター・ハミルさんのアルバムタイトルから付けられたのだよ、と説明を重ねても、この雑誌自体を知らないでしょうし、なんとも紹介が難しい。

40年ほど前、海外の情報を得ることが容易では無かった時代にあって、「Fool’s Mate」は、マイナーで前衛的なロックの情報を届けてくれる貴重な雑誌でした。
ここで紹介されたアーティストのレコードを求めて、代々木や渋谷の輸入レコード店に出入りする高校生が私でした。

雑誌「Fool’s Mate」は、ピーター・ハミル信者による同人誌のようでしたので、興味を持った段階でかなりフィルターがかかっていたかもしれません。最初から「ピーター・ハミルは凄い」という先入観を持って聴いたものです。
でも、本当のことを言えば、あまりしっくり来ませんでした。
英語が分かればもっと好きになれるハズだと、自分に言い聞かせてアルバムを買いながら、自分のセンスの無さを呪ったものです。

ただ、この雑誌がきっかけで、4ADやクレプスキュール・レーベルのアーティストや、英語圏外の音楽、様々な前衛音楽に興味を持つことができたことは収穫でした。

社会人になり、購読しなくなっている間に、雑誌は編集方針が変わったようで、別のものになっていて残念に思ったことがありました。
最近は書店に行っても音楽雑誌のコーナーに立ち寄ることも無いので、どうなっているのか分かりません。
なんだか「Fool’s Mate」の思い出話しみたいになってしまいました。

ピーター・ハミルは特別な魔力のあるアーティストとして刷り込まれていましたし、どのアルバムを聴いても、表現者としての凄さは伝わってきます。
ただ、聴き込みが足りないのか、やっぱりなんだか自分との関係性が築きにくいと感じてしまいます。
もうこれは相性というやつなのでしょうね。

でも、昨夜から 次はピーター・ハミルさんでいこう と決めていたので、比較的に落ち着いたトーンの「PH7」を選びました。
これが彼のベストだというわけではありません。
昔は地味だと思ったアルバムですが、今の耳には逆に聴きやすいです。