T'S BAR 100夜 ART ZOYD
Les espaces inquiets Phase Ⅳ / ART ZOYD
音楽を好んで聴くようになったのは、キッスやディープ・パープルなどのハードロックがきっかけだったと思います。
すぐに、ピンク・フロイドやキング・クリムゾンといったプログレにはまり、同時にAORやソウル、フォーク、ジャズ、テクノ、クラシック、現代音楽など、幅広く聴くようになりました。
アメリカやイギリスだけでなく、南米、ヨーロッパ各地、アフリカなど、地域もいろいろ聴き漁りました。
アール・ゾイ(フランスのバンドなのでフランス語読みで)に出会った時は、思えば遠くまで来たものだ、と思ったものです。
いろいろ聴いてきたつもりでいても、世界にはまだまだ知らない音楽があるものです・・・。
イギリスにレコメンデッド・レコードというレーベルがあって、気になっていました。
前衛的な音楽を演奏するバンドがいくつもあって、それらを反ロックとか異端のロックと呼んでいたのですが、アール・ゾイはその流れで知ったのだと思います。
同時期には、ヘンリー・カウ や ユニヴェル・ゼロ などのレコードも買っていました。
美術大学に入って、さまざまな刺激を受ける中で、音楽でもこういうものを吸収したい時期だったのでしょう。
ただ、興味を持っていろいろなレコードを手に入れたはいいものの、正直なところ、ほとんどが、暗くて、重くて、難解で、何度も聴く気にはなれませんでした。
それでも、異端派との出会いは、ロックという音楽の概念を拡大してくれた、非常に貴重な体験だったと思います。
初めて聴いた時は、この音世界に圧倒されて、クタクタになったのを覚えています。
今は、Spotifyで飲みながら聴けるので、あの頃のような緊張はありませんが、やはり重く、シリアスですね。
ロックがクラシックと融合した、などというレベルでは無く、管弦楽によるパンク・ロックでしょうか。
なかなか選曲する機会の無い音楽ですが、人生を振り返るポイントの一つとして聴き直しています。
今さらですが、かなりカッコイイ。
半世紀早かった音楽です。