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T's BAR 68夜 REO SPEEDWAGON

Hi Infidelity / REO SPEEDWAGON

中高生の頃は、REOスピードワゴン と スティックス と スーパートランプ を並列に感じていましたが、実は根っこの部分がけっこう違っていました。

70年代初期から活動していたもののパッとせず、産業ロックの流れで成功したバンド、という共通項はあるのですが、REOスピードワゴンは他のバンドと違ってプログレ色が無く、骨太のアメリカン・ロック・バンドでした。

産業ロックが大衆受けした要素として、ポップで親しみやすいメロディ、ハードなサウンド、感動的なアレンジやコーラスなどがあって、バラード曲の良し悪しは大きなポイントでした。
そういう点から、AORやプログレの素養があるバンドは、成功パターンに適合しやすかったと思えます。

REOスピードワゴンは良いバンドでしたが、残念ながら彼らのようなバンドはたくさんあったので、この方向性のまま頭角を現すのは容易なことではありませんでした。
しかし、このアルバムで、彼らは急に都会派のロックに転身します。
曲も演奏も洗練されて、まるで別のバンドのようです。
バラードでヒット曲も出します。
ポップ・ソングのオールディーズ臭さも、むしろ狙ってやった感があり、逆に新鮮に聴こえます。
さらに、シングル曲以外のものでは、ロック・バンドとしての実力を発揮してもいます。

長く売れないロックをやり続けた過去を振り切って、このアルバムで成功を掴んだ REOスピードワゴンでしたが、ここから3枚の傑作アルバムを作って燃え尽きます。

ドゥービー・ブラザーズが、垢抜けないアメリカン・ロックからAORに転身して大成功の後に解散してしまった展開が思い起こされます。

個人的には、ドゥービー・ブラザーズはAORに転身する前の垢抜けない方が好きなのですが、REOスピードワゴンの場合は、産業ロックに寄った、この時期の方が好きです。

アメリカン・バンドの、終わりが始まったヒット・アルバムです。