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T's BAR 71夜 ASIA

ASIA

産業ロックから10枚連続で選曲すると書いていたのですが、11枚目になってしまいました。

このグループの登場を知ったときには、産業ロックのカテゴリーではとらえていませんでした。
というのも、プログレ好きなら泣く子も黙るスーパー・グループだったからです。

今さらですが、触れないわけにいかないので軽くメンバーをなぞってみます。
ギターのスティーブ・ハウさんは、元イエス。
ベースのジョン・ウェットンさんは、元キング・クリムゾン他多数。
ドラムのカール・パーマーさんは、元ELP。
キーボードのジェフ・ダウンズさんは、元バグルスとイエス。
簡単に言えば、イエスとクリムゾンとELPが合体したわけです。

(イエスとクリムゾンとELPが合体するなら、ジョン・アンダーソン(Vo)とクリス・スクワイヤ(B)+ロバート・フィリップ(G)+ビル・ブルーフォード(D)+キース・エマーソン(Key)だったらどうだったかなー、とか、架空のバンドを思いめぐらすのは楽しいですね。)

なので、このバンドは最初から別格扱いでした。
ロジャー・ディーンさんのイラストは、期待感が高まりました。
ただ、アルバムを買って何度か聴くうちに、これはなんだかマズイことになった気がしました。
大好きだったプログレッシブ・ロックの時代が完全に終わったような気がしたからです。

この頃、イエスは「ドラマ」を発表して、すでにバグルスに乗っ取られていました。クリムゾンは「ディシプリン」を発表して、エイドリアン・ブリューがゾウの鳴きまねをヘラヘラ笑いながら演奏していました。ELPは「ラブ・ビーチ」で熱射病にかかって、とっとと解散していました。
他のプログレ・バンドも、音楽的な転換が必要だと焦って、様々な成功・失敗を繰り返していました。
いずれにしても、シリアスでストイックな長尺ものは敬遠される時代でした。

さて、エイジアです。
ポップで乗りの良いロックに切ないメロディで味付けした楽曲は耳馴染みが良く、演奏技術も超一流。使われている音色はトレンド感があり、アレンジも複雑になりすぎず、過去のキャリアを感じさせない見事な出来。
実際、ヒット曲も出て、元プログレ・バンドの転身としては大成功です。
(次のアルバムも同じ路線でヒットしました。)
アルバムを通して聴いても、文句の付けようが無いのですが、コレジャナイ感が拭えません。
これは、やはりイエス+クリムゾン+ELPではなく、ジェフ・ダウンズ・バンドだったのでしょう。

ちょっと距離を置いて聞いてみると、産業ロックじゃんか、ということで、10枚セレクト+1枚として選んでみました。

勝手にプログレ御三家の合体を期待した私が悪かっただけで、非常にクオリティの高いアルバムです。
毒にも薬にもなりませんでしたが、あの頃、よく聴いていたなぁ・・・。



サヴァイバー や スターシップ は、アルバムで聴いてないので。