分からなさの中に|6月24日開催レポ
こんにちは!天王山安楽寺オリジナル企画「さむ活」プロデューサーの山田です。
さむ活とはお坊さんの修行のひとつ「作務」から生まれた非日常体験企画。仏器みがきやお地蔵様そうじ、落ち葉かきや護摩堂そうじなど、お寺ならではの体験を通してゆっくり過ごしてもらおう、リフレッシュしてもらおうというものです。
▼次回は7月30日(日)開催です
このレポートでは毎月開催するさむ活の様子をお届けしつつ、わたくし山田の頭の中に浮かんだ問いや実感をお伝えしながら、安楽寺らしいお寺の在り方を探っています。
お客様をお待ちする時間
この日も9時にさむ活がオープン。今年の開催は4回目。いつも9時~10時の間はさむ活スタッフもゆったりタイムです。
受付やドリンクコーナーのあしらいを終え、住職せいはんさんや坊守あきさんとお話をしたり、さむ活のインスタを更新したり……
「そういえば山田さん、今月の月刊住職ってまだ読んでないですよね?」
と、せいはんさん。みなさんご存じでしょうか、月刊住職。仏教専門の月刊誌です。あれはいつ頃だったでしょうか。せいはんさんの口からぽろっと漏れた「月刊住職」というパワーワードにすっかり魅了された山田。まさか全国の住職さんのグラビアが載ってたりするのか!?とテンションが上がったものです。
残念ながら住職さんのグラビアは掲載されていないのですが、住職さんにとって実用的な寺院情報が満載の読み物雑誌です。これがね、なかなかシブくて面白いんですよ!気になる方はこちらの公式サイトをご覧ください。
4月にさむ活に参加してくれた鈴鹿大学の学長、川又さんが、月刊住職6月号の記事でさむ活について取り上げてくださったんです。ということで、せいはんさんから月刊住職をお借りして拝読しました。
さむ活に参加いただいた時の感想も交えながら、お寺に人を呼び込む実践事例の一つとして丁寧に考察してくださいました。山田の存在についても触れていただいて嬉しいなあ。川又さん、いつも温かくさむ活を見守っていただきありがとうございます。
回を重ねるたびに「大体10時くらいにお客様が来るだろうな~」と予想がつくようになっているので、オープンの時間も少し遅らせてもいいのかも?でも、お客様が来られるまでの「待ち」の時間が結構好きなんですよね。
今日はどんなことが起こるかしら。誰が来るかな。天気はどうなるだろうか……と、どうなるか分からないけど、分からないからこその漠然としたわくわくやドキドキが楽しい。余白と言ってもいいかもしれません。
ミステリーさむ「あじさいの挿し木」
「今日はあじさいの挿し木をしてみましょう!」とせいはんさん。さむ活はいくつかの”定番さむ”とその月ならではの”季節さむ”をご用意しているのですが、今回の季節さむは当日に決定!ミステリーツアーならぬミステリーさむですね。この分からなさやライブ感が安楽寺の大きな魅力の一つなんだよなあ。
ミニ黒板にホワイトボード。「あ!今日はこれにしよう!」「あれもやってみよう!」と現場で生まれるアイデアをすぐに表示できるアイテムたち。便利ですよね。
計画しないこと/決め切ってしまわないことで遊びが生まれて、予想もつかない楽しみや出来事が広がるのが今年のさむ活の特徴かも。
スタッフの関係性も面白いんです。
住職せいはんさんはアイデアマン。安楽寺の「今これが面白い!」をいち早くつかんで具現化してくれます。
坊守あきさんと私は事前に準備をしておくと安心してその日を迎えられるタイプなので、自分の担当部分をしなっとセッティングしてスタンバイ。せいはんさんのアイデアを面白がったり「あっ」と驚いたり、時には「えっ?」と聞き返したりしながら(笑)一緒に楽しんでいます。
あじさいって目で楽しむことが多いですが、こうして挿し木にして持ち帰り育ててみるという楽しみ方もいいですね。参加者のみなさんも初体験だったようで「へえ~」「なるほど」の連続。じっくりとお花を選んでいる姿もとっても楽しそうでした。
あじさいは土の性質で花の色が変わるそうなので、おうちでどんな色の花が咲くか楽しみです。
初開催!さむトーク
さてさて、この日は新企画「さむトーク」を開催!これまた面白いことになりましたよ~
さむ活には一人でじっくり無心になれる側面もあるんですが、誰かと一緒にやると自然と会話が続いていく会話促進機能もあるんです。さむトークはそんな効果をいかして、住職せいはんさんが最近気になっている方をゲストにお招き。一緒にさむを楽しみながらいろんなことを聞いちゃおう!というトークセッション企画です。
今回のゲストはsuuさん。あわら市在住の西洋占星術の占い師さんです。origin suuというお名前で活動されています。公式インスタグラムはこちら……🌙
そもそもなぜ占いなの?というところからトークが始まり、suuさんの中にある占いへの思いや、空間や服装への意識、せいはんさんとの共通点など
二人の掛け合いによって話題がどんどん広がっていきます。
もともと会社員として働いていたsuuさん。転機があって占いの道に進み、生業として活動を始めたのはつい最近だそうです。西洋占星術の占い師として星が示すものをちゃんと伝えなければと、一人ひとりの鑑定に丁寧に取り組まれている姿勢がとっても印象的でした。お客様がリラックスできるように、鑑定をする時の空間や服装、お茶にまで配慮されているんですって。すごい!
参加者のみなさんからも共感や関心の声がたくさん上がり、終始和やかなムードでトークは進行しました。中には質問をくださったり、過去に受けた占いへの思いを語ってくださった参加者さんも。
面白いなあと思ったのは、「占いで未来が分かるもの?」「星のまわりが人に影響するって、実際には何が起こってるんですか?」と、占いへの純粋な質問もさらっと飛び出したこと。これって実はすごいことだと思うんです。
もし今回のトークが何かのメッセージを含んでしまっていたら、例えば広告や宣伝みたいな目的を持ったものだとしたら、「?」と思ったことを聞ける空気ではなかったかもしれません。
さむをしている人、話をしている人、聞いている人がただそこに居る状態。suuさんやせいはんさん、参加者のみなさんが自然体で居てくれたからこそ、柔らかい空気が生まれて、フラットな関係で言葉を交わすことができたんじゃないでしょうか。
うーん。この企画ってものすごく奥が深いんじゃないだろうか。ポイントはやはり安楽寺という場所と「さむをしながら」というシチュエーション。そしてゲストさんをはじめ、この場を共有してくれる方たちが持つ、ゆるくてあったかい何か……
言葉にできずもどかしいですが、あえて置いておくことにします。
どんどん長居してください
この日、遠く富山からお越しくださったお客様。あじさいの挿し木と仏器みがき、精進スイーツにプチ瞑想とたくさんの体験をしてくださいました♪ 実は午前中には坊守あきさんの酵素づくり教室にも参加してくださいました。
「ここちよくてすっかり長居してしまってすみません」とおっしゃったのですが、いえいえとんでもございません。「どんどん長居してください」「そういうコンセプトですから」と、さむ活スタッフはうれしい気持ちでほくほくです。
参加してくれる皆さんが長く居てくださるということは、この場所がここちよく、長居できる安心感があるということ。それはさむ活にとっても、もちろん安楽寺にとっても本当に望ましいことです。
さむ活は9時から17時までと時間の枠がちゃんとあるので、受け入れるスタッフもある程度の目途を持って対応できます。これが本当のフリーダムだったら、「いつまで続くのだ?」と不安になる瞬間があるかもしれませんね(笑)
さむ活以外のお客様が来られた際にも、スタッフが3人いることで隙間なく対応することができます。「今ちょっとイベントやってて~💦」と焦る必要がなく、むしろそのイレギュラーがさむ活空間をさらに面白くしてくれるので大歓迎なんです。
忘れちゃいけないのは、イレギュラーや予想外を一緒に楽しんでくださる参加者のみなさん。さむ活スタッフが一時的に手が回らないときにも、「いいんですよ」「ゆっくりしてくださいね」と優しく声をかけてくださって、本当に助けられています。
お客様をもてなそう、どんどんサービスして喜んでもらおう!という一方的なものではなく、参加者のみなさん、ゲストのみなさん、そしてさむ活スタッフのみんなで空間をつくりあげている。そういう感覚があります。
さてさてさて。さむ活はこれからどうなっていくのでしょうか。次回は7月30日(日)開催です。良かったらぜひ、遊びに来てみてくださいね。