SEOから"LLMO"へ
コインチェック マーケティング部の岡田(@sampling2x)です。
SEOならぬLLMO(Large Language Model Optimization)について少し調べたので、備忘録としてまとめました。
LLMOとは
LLMOは、ブランドがLLMの回答に含まれるようにするプロセスを指します。これは、SEOがウェブサイトを検索エンジンの結果ページで上位にランク付けするのと似ていますが、焦点はAI生成のテキストにあります。たとえば、消費者が「最高のランニングシューズは?」と尋ねた際、LLMがブランドAを推薦する確率を高めることが目標です。
LLMOが気になった背景
2025年1月、世界のウェブサイトのトラフィックランキング(Desktop)において、ChatGPTがトップ10に入ったのを見た時、マーケティング担当者として危機感をもう一段あげて、調査した方が良いと感じたためです。
消費者がモノやサービスを購入する主要なプロセスが変わる可能性があるということは、コミュニケーション方法もアジャストする必要があります。
The top 10 websites in the world for January 2025: ChatGPT reaches its highest ranking yet. pic.twitter.com/El919aNFuO
— Similarweb (@Similarweb) February 9, 2025
また個人的な検索行動の変化も影響しています。
最初はLLMに慣れませんでしたが、徐々に使用比率が上がっていき、直近は9割以上の検索行動がLLMに置き換わったという体験をしているためです。
どんな時に使うと便利か自然に学んでいき、「Evoked Set」(1位 Google 2位 X 3位 Instagram)が徐々に置き換わり、今では検索行動の純粋想起はLLMになりました。
私はアーリーアダプターかな?と客観的には捉えており、日本における総検索回数におけるLLMの利用はまだ低いと思います。
とはいえ、ChatGPTの堅調なトラフィックの伸びと個人的な体験から、このタイミングで一歩踏み込んでインプットしても良いと判断しました。
LLMOの重要性
現時点では、緊急度は低いが、重要度は高いと考えています。
前提として、私は検索エンジン最適化(SEOやリスティング広告を含む広い概念)も「たかがマーケティング手段の1つでしょ」と軽く考えていないです。
なぜなら消費者は商品やサービスを購入する前に、オンラインで情報収集を行い、意思決定に利用するからです。
上記の消費者行動を理解するのに役立つのは、Googleが提唱したZMOT(The Zero Moment of Truth)というフレームワークです。
インターネットや検索エンジンが普及する以前は、店頭で商品を見たり、実際に商品を体験することが、購入に大きな影響を与えていたのに対し、今の消費者は事前のオンライン上のリサーチで意思決定の大半を終えているということをあらわした概念です。

本記事を読んでいる皆さんも、商品やサービスの購入の検討段階で、オンラインで情報を集め、その情報をもとに意思決定をした経験をお持ちだと思います。
カテゴリーによって重要度は変わりますが、検索エンジン最適化に成功していることで、相対的に優位なポジションを築けている企業は一定数存在すると思います。
事前リサーチする媒体が検索エンジン(GoogleやYahoo!)から、LLM(ChatGPT等)にシェアが少しずつ移行している事実は見逃せない変化であり、シェアの高まりとともに重要度も高まっていくと考えています。
LLMO対策4選
①Googleの1ページ目へランク
まずはSEOを強化することが、LLMOにも直結するようです。
Googleの1ページ目にランクされているブランドは、LLMの言及と強い相関関係 (~0.65) を示す調査結果も出ています。
参考 : STUDY: What Drives Brand Mentions in AI Answers?
②信頼性と権威性が高い引用を使う
LLMは信頼性の高い情報源を好むため、権威のある専門家の発言や、業界誌の記事を引用することが有効のようです。
✅具体例
「ハーバードの〇〇教授は『この製品は市場を変える』と述べています」のように、信頼性のあるソースを明記する。
信頼性高い引用を使用したところ、可視性スコア(LLMの回答における記事の引用頻度、回答内での位置)が約40%向上(19.3 → 27.2)した調査結果が出ています。
参考 : GEO: Generative Engine Optimization
③具体的な数値を使う
LLMは具体的なデータを含む文章を信頼しやすいようです。
✅具体例
「2024年の調査で、ユーザーの35%がこのブランドを選んだ(参考文献)」のように、具体的な数値やデータを明記する。
この手法により、可視性スコアが約30%向上(19.3 → 25.2)という調査結果が出ています。
参考 : GEO: Generative Engine Optimization
④PRへ投資する(ブランドと関連トピックを紐づける)
ニュース記事や業界メディアで、ブランドと特定のキーワードをセットで掲載する ことで、LLMの回答に影響を与えらるようです。
✅具体例
「ハーマンミラー」というブランド名と、「人間工学」というワードをセットでニュース記事に掲載
📌 結果
「姿勢を改善するのに良い椅子は?」という質問に対し、ハーマンミラーが一番上に表示 された。
この背景には、過去1年間で273件の「人間工学」関連のニュース掲載(自社プレスリリースやPaid記事含む)があったことが影響している可能性が高いという考察が存在しています。
参考 : LLMO: 10 Ways to Work Your Brand Into AI Answers
最後に
今回の調査を通じて、2025年3月時点では「LLMO」というフレーズはSEO業界を中心に使われており、まだ広く普及しているわけではないと感じました。いまだマイナーな概念の域を抜けておらず、ポジショントーク的な側面もありそうです。
再掲になりますが、LLMOの重要度は業界やカテゴリー次第 です。
また、SEOのように長年の検証があるわけではないため、本記事で紹介した対策もすぐに陳腐化する可能性が高い です。
その前提で参考にしていただければと思います。