「えんとつ町のプペル」はリンゴ味
【注意!!】この記事は「えんとつ町のプペル」の盛大なネタバレと率直な感想が書いてあるので、未視聴の方はお気をつけください。
▼ことの始まり
時は2020年12月25日夜に遡る。
多忙な年の瀬、急に4時間ほど時間が出来た僕は何気なくツイッターで投票を投げかけた。
流石「鬼滅の刃」、この圧倒的な人気、俺も鼻が高いよ…。
正直、僕は自分のフォロワーは白井サモエドが酷い目にあってトホホ~になってるのを嘲笑する「悪」だと思っていたので、この結果に驚いた。
むしろ、「くそ~~!俺は鬼滅を見たいのにフォロワーがプペル推しならしょうがねぇ~~!!」ってノリで行こうと思ってたからちょっと残念だったりもした。
日本は民主主義国家なので、もう鬼滅見るしかねぇな!と思ったら、リプライが数件きたんだ。
蛇…!圧倒的蛇…!!
アダムとイヴが楽園を追放された原因になった生き物は実在した!!
地面をニョロニョロと這いつくばる悪魔から唆されたら、イヴの様に純粋な僕が「えんとつ町のプペル」のチケットを買ってしまうのも仕方がないんだ。誰も責めることは出来ないんだ。だってイヴは無垢だから…。
楽園(鬼滅)がすぐ横でチケット売ってるのに…、どうしてこんな…。
運命やいかに…!
▼視聴後
はい。
お疲れ様でした。
でもね、良い所も悪い所もあったよ!それを話すよ!
▼ココが良かった!
・キャラクターの声、演技が自然
芦田愛菜を筆頭に俳優・女優が声を勤めているが、かなり自然な演技でノイズにならなかった。コレは本当に凄い。
・背景の雰囲気
背景がけっこう綺麗。
・EDソングが良い
声が綺麗。
・わかりやすいストーリー
原作が絵本なので、スタートからゴールまでわかりやすいストーリー、オチ。王道を行っている。
▼ココが悪かった!
・わかりやすすぎるストーリー
よく言えば王道、悪く言えば退屈なストーリー。
映画を見ていて「こうなるんだろうな」と先の展開を予想すると、その通りになる。10個予想すると9個くらい当たるので、ワクワクもドキドキもせず退屈。
・挿入歌の入れ方が下手くそ
新海誠ぶってんじゃねぇ。
・アニメーションが粗い
背景の綺麗さに比べると、キャラの3Dモデリングや動作に少し粗さを感じた。
・メッセージ性が強すぎる
「夢を諦めない」
「自分を信じて行動する」
「キミは無価値じゃない」
「下を見るな、上を見ろ」
こんな感じの熱いメッセージが込められていたはず。子供に見せるならとても良い。キングコング西野のこういう熱い所は好きだ。
それは解るのだが、ただその量が多すぎる。何度も何度もこれらのメッセージが出てきてくどかった。映画処女作で「情報を引き算」するのは難しいと思うから、今後に期待したい。
・「子供向け」でも「大人向け」でもない
原作が絵本だから「子供向け」の映画なのだが、「大人が見ても泣ける」「大人だからこそ見れる」という流れありきの舞台設定やストーリー展開があった。
「アンパンマン」や「ドラえもん」の映画の様にストレートに「子供向け映画」を作った方が、結果として視聴した大人の心に刺さると思うが、それが無かった。子供と大人、どっちにもいい顔をしようとした感がいなめない。まぁ、最近「ドラえもん」の映画もそういう印象が出てきたけど…(「ドラ泣き」とか)
▼総評
「えんとつ町のプペル」は星2.5、50点くらいの映画だった。
普段から映画や本などで「物語」に触れてきた人にとってはストーリーの退屈さが致命的になる。でも、あまり「物語」に触れていない、展開を先読みしない人には星3.5くらいの映画になると思う。
だから「プペルはつまらない」という感想もあれば「プペルは面白い」「感動した」という感想があるのは良い。その人の持ってる土壌はそれぞれ違うのだから。
ただ、普段から物語作ったり、本を沢山読んでそうな人がプペルを絶賛していたら正気を疑う。西野と親交があるなら、面と向かってダメ出しは出来んかもしれないけどさぁ。
こういう所がキングコング西野を信用できなくなる所じゃないかなぁ。ゴットタンで劇団ひとりと戦ってる西野はあんなに面白いのに。
反面、東野のこういう所が信用できるなって。
▼最後に
キングコング西野はマーケティングに力を入れていて、色々なアイディアを考えてトライ&エラーをしている。その発想力や行動力が僕は結構好きだ。
ただ、今回の映画公開にあたって、オンラインサロンのメンバーを中心に展開したマーケティングは僕は嫌いだ。特に「エンドロール後に拍手することを指示」したことが。
創作物への拍手は受け取った相手が自然と、心の衝動から起こるもので、誰かに指示されてやるものでは無いだろう!?
「良い物は黙っていても売れる」とは思わない。売れるために色々な手段を講じなければいけないと思う。でも、その手段に「いやらしさ」が感じられると、途端に冷めてしまう。そして、消費者はその「いやらしさ」を敏感に感じ取ることができると思う。
「えんとつ町のプペル」は、僕には「いやらしい」映画だった。
西野には創作を続けてもらいたい。でも、今は「作品の質を上げる」よりも「作品を売る」ことに傾きすぎてる気がする。プペルはもっと良くできたのではないだろうかと、そんな気がする。
ぶっちゃけさぁ!著書で「信用を得ることが大事」って言っているのに、一部の人以外から信用失ってるぞ!!「信者キモい」「宗教」って言われてることをネタにしてるけど、お前が大事にしたい「信用」をドンドン失ってるって自覚しろよ!!!今また信者がアレコレやってるの見て凄いゲンナリするわぁ!!!!評判が微妙だったら、その事実を受け止めて次の作品の質を上げろよ!!!!!
余談。
翌日に僕はまた映画館に行った。
楽園を追放されても、自分の足で次の楽園を探しに行ける。何故なら僕は、知恵の実を食べたのだから。
おしまい。
▼追記
「プペル観た反動で名映画見たくなって見た『若おかみは小学生!』の感想が書いてないやん!」と言われたので、追記。蛇は残酷なことを言うなぁ。
視聴前
視聴終了
ほんとにね。
「若おかみは小学生!」の監督は「茄子~アンダルシアの夏~」の人で出来の良さに納得。茄子、とても好き。
今度こそ、おしまい。