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初めての一眼レフ。PENTAX K200D
筆者が初めて手に取ったカメラはOLYMPUS CAMEDIA C-700 Ultra Zoom。2001年、まだデジカメが200万画素とかの時代に発売された10倍ズームコンデジだ。小学生ぐらいの頃に家族からそれを借りたのが「写真を撮る」という初めての体験で、高校時代に写真部に入るまでフィルムカメラというものには触れたことがなかった。そんな世代だ。
ある程度自分の足で好きな場所に出かけられる年齢になった頃、初めて自分用のカメラを手に入れた。それがPENTAX K200Dだった。当時特にカメラに関する知識は仕入れていなかったので、PENTAXを選んだのにもそれほど深い理由はない。
「野外でカエルや虫をよく撮ります。水辺で使うことが多いかもしれません。予算はこれぐらいで、よく分からないけど倍率の高い便利そうなズームがいいです」
とカメラのキタムラの店員さんに伝えたら提案されたのがK200Dだった。
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キタムラから自宅へ向かう途中のファーストショット。
望遠端200mmでSS1/20という暴挙も手ブレ補正がかなりカバーしてくれた。
なお、人の家の車。
K200Dというカメラは、当時のPENTAXのエントリーモデルにあたる。
上位機種としてK20Dも発売されていた。PENTAXはデジタル化からフルサイズ市場参入までがかなり長かったブランドで、2016年にK-1が発売されるまでKマウント一眼レフはより高性能なハイエンド機種、ややコストを抑えたエントリー機種というAPS-C機2本立てのラインナップが続いていた。
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こうしてみると、HOYAやRICOHの子会社化〜合併期間の手探り感があるような気も。
同時期の転換点的な他社製品も並べつつ。
だけど網羅はしていないし取りこぼしがあります、すみません。
厳密にはどれがどれの後継機なのか分かりづらい、ちょっとややこしい構図なのだが何にしてもK200Dは「主にアマチュア層をターゲットにした本格仕様の防塵防滴カメラ」という位置づけだった。
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一眼レフとしてはかなり軽量に作られている。
以下、K200Dの特徴を書き連ねるとこんな感じ。
ボディ内手ブレ補正
前身にあたるK100Dで開発されたSR(Shake Reduction)機構を引き継いでおり、磁力でセンサーを浮遊させてシャッタースピード約2.5〜4段分の手ブレを相殺することができる。ミラーレス世代のカメラでは当たり前になりつつあるボディ内手ブレ補正だが、現在でもサイズやコストの理由からかエントリー機への搭載は見送られることが多い。9万円という価格帯のカメラでオールドレンズを含むどんなレンズでも手ブレ補正を利用できたのは、当時の状況では小さくないメリットだったと思う。
余談になるがK100Dとの違いとして、マウントがレンズ内モーターを駆動させる接点がついたものに更新されている。絞りレバーを残してカプラーが廃止されたKAF3までのレンズであればAFが使える(HPの仕様表ではKAF2までとなっているがKAF3でも問題ない)ので、同じ手ブレ補正つきのCCD機でも運用の幅がぐっと広がる点は見逃せない。細かいことを言えばマイナーアップデート機のK100D Superの時点でレンズ内モーターには対応済みだったのだが、細かいことなのでよしとする。
防塵防滴
これもエントリー機種では現在も見送られることが多い機能。K200Dは2003〜2010年に発売されたエントリー機種の中で唯一防塵防滴に対応している。「中級機並の機能を盛り込んだ準エントリー機種」という意欲作でもあり、立派な肩液晶が搭載されているところからも意気込みを感じる。そのコンセプトはK-mで一度途絶えたものの、4年後にK-30以降の機種で引き継がれることとなった。エントリー機種でも防塵防滴システムが組めるのはよく言われるPENTAXの長所のひとつだ。ただしK200Dの発売時点で防滴仕様のレンズはDA★16-50、DA★50-135、DA★200の3本しかラインナップされていなかった。K10Dの時代の開発インタビューによると、レンズの防滴非対応は致命的ではないという考え方だったようだ。
当社がかつて発売した「LX」という密封構造の一眼レフ機の際に表現したことと同じですが、レンズは丸い筒の組み合わせで作られていて、そもそも内部まで水が入りにくくなっています。程度にもよりますが、大きな心配はないはずです。(製品企画室 畳家久志氏)
乾電池駆動
K200D、どういうわけか最近中古相場がやたらと高い。オールドデジカメのプチブームみたいな側面もありそうだ。後述するCCDセンサー採用というのも理由のひとつだろう。そして最大の理由は、単三電池×4で動く乾電池駆動方式であることだと思われる。貴重な中古市場や動作に不安のある互換バッテリーを調達する必要がない。余談になるが、K200Dはエントリー機種としては珍しくバッテリーグリップ(縦グリップ)としてD-BG3が発売されていた。これも乾電池式なのだが、やはりここでもK200Dに中級機並の機能性を持たせようというメーカーの意図が窺われる。
もちろんコストカットが無いわけではない。ボディはエンジニアリングプラスチック製なのでマグネシウム合金に比べると衝撃などで割れやすく、光学ファインダーもペンタプリズムではなくエントリー機種でよく採用されていたペンタミラーとなっている。
1020万画素CCDセンサー
K200Dは現在主流のCMOSセンサーへと切り替わる直前のカメラで、Kマウント機としてはこの次のK-mが最後のCCDセンサー採用機種となった。2020年代の愛好家の間では様々な議論が繰り広げられており、CCDセンサー機はこってりとした色のりだ、温もりがある、発色が良いといった意見がよくある。これはセンサーの性能というより当時の画像エンジンの設計の問題のような気もするが、ともあれ使っているとRAWデータでもCMOS世代のカメラよりこってりとした色のりを感じる。噂の真相を試してみたい人にとっては購入の検討材料になるのかもしれない。
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ボディ内補正がこう、防塵防滴がこうと言っても結局カメラとしての性能はどうなんだという話になる。
現在使ってみると1000万画素はスマホで撮影するより情報量が少ないし、CCDセンサーは高感度撮影にめっぽう弱い。晴天下では持ち前の発色のよさで見栄えのする写真を量産してくれるが、少し雲がかかっただけで感度と画質を天秤にかけながら撮影することになる。
しかし、結論からいえばこのカメラは2025年現在でも定期的に使っている。気軽なスナップなら、明るい単焦点と組み合わせれば特に困るところがない。「17年前のカメラでこんなに写っていいの?」と思ってしまうほどだ。なんなら現在のメイン機材より断然軽い。
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幸いにも健康なWi-Fiカードを所有しているのでスマホへの転送もできるし、1000万画素(3872×2592px)はおおむね4K画質に相当する。SNSやブログ用であればこの画質でいいんだな、と思うと買い増しした防湿庫の機材達から目を背けたくなる自分もいる。
ちなみに連写性能はRAWで1.1コマ/秒、JPEGでも2.8コマ秒。バッファは驚愕の4枚。当時の他社同等機と比べても明らかなウィークポイントとなっている。トリミング耐性も無いしシャッタースピードを稼ごうとすると高感度ノイズがつきまとうので、K200Dで野鳥やスポーツを撮影しようと思ったら大きな制約が伴うことは覚悟しなければならない。
最後に挙げておきたいのがK200Dのシャッター音。どちらも1/25s。
ドゥシャッ!
あーいいですね。
最高。写真撮ってる感ある(意見には個人差があります)。
ミラーレスとスマホがいっそう普及し、静かなカフェでこのサウンドを轟かせたら白い目を向けられてしまう時代がぼちぼち来るかもしれないと思いながらこれからも大事に使っていきたい。
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