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【現役NGO職員が挑戦】准認定ファンドレイザーへの道 #4

こんにちは、イタガキ(@gakisan2)です。

前回の投稿では、日本の寄付の現状とこれからについてお話しました。

まだご覧になっていない方は、下のリンクからどうぞ!

【現役NGO職員が挑戦】准認定ファンドレイザーへの道 #3

今回は、いよいよファンドレイジングをしていくための方法についてインプットした学びをアウトプットしていきます!

今回のインプット教材

前回に引き続き、教材はこちらを使わせていただきました。

鵜尾雅隆「改訂版 ファンドレイジングが社会を変える(非営利の資金調達を成功させるための原則)」(三一書房)

財源のバランスとシナジー効果を意識する

NPOの財源をその特徴を大きく分けると以下のとおりです。

・寄付/会費:使途の自由度は高く、調達効率は低い
・助成金/補助金:使途の自由度は低く、調達効率は高い
・事業収入:使途の自由度はやや高く、調達効率は中程度

寄付や会費は自由に使える反面、集めるのが難しかったり、寄付者に対するケアが必要になります。

一方で、助成金や補助金は、一気に大きな金額を得られる分、使える範囲は事業や活動など限定的で人件費などには使えず、期限付きであることが多いです。

事業収入は、上記2つに比べると使途も効率も良いように見えますが、ビジネスとして考える必要があるため、企業などの競合といった課題もあります。

ファンドレイジングを考えていく上で、多くの財源をバランスよく確保することがリスクヘッジ、ひいては安定した活動につながるため重要であると言えるでしょう。

また、これら3つの財源をバランスよく確保することで、シナジー効果も期待できます。

シナジー効果とは、相乗効果のことで、ここではそれぞれの財源がプラスの影響を与え合う状態を指します。

例えば、寄付や会費が増えれば、その団体が提供するサービスを購入する人も増えたり(事業収入の増加)、社会的信用にもつながり助成金や補助金の獲得にもつながります。

したがって、ファンドレイジングを進めていく上で重要なことは、財源の多様化とシナジー効果を発揮させることであると言えるでしょう。

個人寄付の獲得に向けたステップ

さて、本書では個人寄付の拡大に焦点を絞り、以下の7つのステップを紹介しています。

ステップ1 組織の潜在力のたな卸し
ステップ2 既存寄付者・潜在寄付者の分析
ステップ3 ボランティアの巻き込み
ステップ4 コミュニケーション方法や内容の選択
ステップ5 ファンドレイジング計画の作成
ステップ6 ファンドレイジングの実施
ステップ7 感謝・報告

これはある程度活動や実績がある団体にとっては、非常に有効な手順であり、今すぐ全て実行すべきだと思います。

一方で、設立間もない団体にとっては実行できないことが多いように思います。

私が所属するNGO団体ルマナイサモアは、2018年に設立したばかりの団体です。

現在、団体の財源の多様化を目指し、最初の一歩を踏み出したばかりです。

したがって今回は、本書で紹介されているステップの中でもステップ1だけに焦点をあて、考えていきたいと思います。

ファンドレイジングの基本「夢+物語+場」を考える

ファンドレイジングが成功するかどうかは、NPOの持つ潜在力を最大限発揮できるかが重要です。

まず考えるべきことが、「夢と物語と場があるかどうか」です。

「夢」とは、NPOが活動を通じて実現したい状況、すなわちビジョンです。

「物語」は、ビジョンや団体のことをよりイメージしやすくさせるストーリー。

「場」は、夢と物語を社会と共有するための機会を作ることです。

この夢こそが、NPOにとってファンドレイジングをする上で最も戦略的に活用可能性のある経営資源であり、

それをより伝わりやすくし、「共感」を得やすい形にするのが物語であり、それを潜在支援者に伝えることができる場を設定するかが大切です。

ルマナイサモアの場合で考えると、

夢(ビジョン)が「自分らしさを表現できる未来」の創造であり、

物語(ストーリー)は、今のところ団体を立ち上げるに至った私たちメンバーそれぞれの思いがそれになるでしょうか?

私であれば、協力隊で自分の価値観や人生までを変えてくれたサモアへの恩返しが、今の活動に繋がったいくつかの出会いなどが夢を伝える手段となりそうです。

そして「場」は、今はコロナの影響でどうしても団体ホームページや、Facebookページ、twitterなどのオンライン上になっていますが、今後オフラインでも多くの人に伝えることができる場の創出をしていく必要がありそうです。

団体の事業価値を伝えるメッセージの3階層化

自分たちが行っている活動の価値を伝える際に、多くの団体は「受益者(支援の対象)」を中心に語ります。

つまり、その事業を行うことで「受益者」にどのようなサービスを提供でき、どのような変化が期待できるかといった視点です。

これを本書では、メッセージの第1階層と呼んでいます。

これはNPOの団体の活動のクオリティを担保するものであり、大変重要な部分ではあるのですが、多くの団体がここで止まってしまっているようです。

すべての人たちが自分たちの活動に関心があるわけではないため、より広い層を巻き込んでいくためには、少し違った切り口から活動の価値を伝える必要があります。

自分たちの活動が、団体の事業分野、またはその地域社会にどのような影響を与えるか、それを伝えるのがメッセージの第2階層になります。

さらには、国、行政、日本社会、日本人の価値観にどのような変化を与えるか、それがメッセージの第3階層です。

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(メッセージの3階層構造,p.122)

第2階層や第3階層を考えていくこそが、より広い潜在寄付者にリーチするために大切です。

ここでまた、ルマナイサモアにも置き換えて考えてみたいと思います。

来年から始まる予定の教育支援事業の一つである「サモア小学校における教員研修プロジェクト」で考えてみたのが以下の通りです。

第3階層 グローバルに学び合える社会、パラレルキャリアを通じて自分らしく生きることのできる社会に
第2階層 サモアと日本の教員同士が学び合う機会、寄付やボランティアを通じて国際協力に携わる機会の創出
第1階層 サモアの教員の指導力向上、生徒の学びの質の向上 

今回のまとめ

・ファンドレイジングで重要なことは、財源の多様化とシナジー効果を発揮させること
・潜在的支援者に対して、団体のビジョンをストーリーを通じて共有し、共感してもらう機会を創出する
・団体の活動の価値は、その受益者だけでなく、支援者や関係者、業界や地域、そして社会にとってどのような変化をもたらすのかを常に意識する

今回の教材には、さらに実践的なファンドレイジングのコツや手法が紹介されています。

その辺りについては、団体のファンドレイジングを本格的に開始していくタイミングでまたインプット&アウトプットしていきたいと思います。

次回は、また新たな教材でアウトプットしていきます!


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