牡鹿半島 島めぐり Self Guided Tour #3

網地島のメインロード

網地島めぐり

少し雲が多めの朝、予報では夜から雨。早めに降り始めなければ散策にはちょうどいい天気。一日かけて網地島を歩く。いそぐ必要はないので、8時からのんびり朝ごはん。昨夜はウニや刺身、白身魚の煮つけなど、たくさんの海の幸を堪能したので、あまり空腹を感じない。けれど、出された和食の朝食を前にすると、食べられてしまう。ドリップ式の食後のコーヒーをゆっくり味わってから出発の準備。

網地島二泊目も同じ宿なので、荷物は小さなリュックサックのみ。トレッキングの旅は、重い荷物をしょって歩かなければならないのがちょっとたいへん。同じ宿に二泊でののんびりトレッキング旅行を味わうと、次からもこれで、となってしまう。

みちのく潮風トレイル

新聞の特集記事で、日本のトレイルが紹介されていて関心をもったトレイル歩き。最初は北海道の大自然の中を、と考えていたけれど、事務局で聞いた連絡先であるNPOからは問い合わせにかんする返事なし。出鼻をくじかれ、電車での移動もたいへんそうなので、あきらめる。

トレイル情報をみていくうちに、みちのく潮風トレイルにあたる。HPも整備されていて、英語の案内もばっちり。モデルコースが紹介されていたので、旅のプランを考えるのにとても助かった。島であれば道に迷うこともないし、電車でのアクセスもいい。というわけで、今回は牡鹿半島の島めぐりの旅に決定。

これから海外の旅行者を呼び込むのであれば、わかりやすい英語での宣伝は必須。まだまだ整備されていないHPが多くて残念。とはいえ、じょうずに宣伝しすぎてたくさんの旅行者が海外から一気に押し寄せてきてしまうのも、受け入れ側は困るだろうし、旅行者にも不満が残るだろう。そのバランスがとてもむずかしいというのは、よくわかる。

熊野古道、中辺路の想い出

コロナ前に、熊野古道中山道を海外の友人と三人で歩いたことがある。滝尻王子まではバスを利用して、そこから熊野本宮大社まで、途中民宿へ一泊してのトレッキングの旅。

印象に残っているのは、海外からの旅行者の多さ。トレッキング中にすれ違ったのは、日本人よりも海外からトレッキングしにきた人のほうが多かった。きっと宣伝がうまいのだろう。そのときの旅も、海外の友人がサイトをみて、最初に提案してきた。

一人旅の若いポーランドからのトレッキング女子は、途中で泊まる宿がみつからなかったからと、前日歩き終わった地点まで翌日バスで戻り、そこからまた先に歩いていた。全行程を歩くことが目的できたとのこと。すごい! 宿が少ないのは残念だと言っていた。

そのときは欧米の人が多かったけれど、コロナ明けはどうなるのだろう。徐々に中国などアジア圏のトレッキング旅行者が増え、それも集団で押し寄せてきたら、自然を堪能しながらトレッキングという状況ではなくなってしまうのかも。それはそれで自然の流れでしょうがない、けど、少し残念。

網地島もそうなってしまう可能性がある。石巻からフェリーに乗れば気軽に来られるし、仙台から石巻は近い。仙台は東京から新幹線であっという間。アクセスはとてもよい。

そうなったらにぎやかになっていいけれど、のんびり静かな旅を楽しみたい旅行者はがっかりするだろう。それも残念な気がするけれど、島の人々にとって経済的にはいいこと。それで移住者が増えれば、小学校も復活するか? それはさすがになさそうだけれど、小学校がなければ若い世代は戻ってこられない。限界集落とよばれるところはどこも頭をかかえている問題について、またしみじみと考えた。妙案はどのこにもない。

未整備のトレイルとGPS

網地島はコンパクトで、一日あれば充分に歩ける距離。海岸ずたいをずっと歩けるのか、と思ったけれど、それはできず、島の中央を通るアスファルトの道を行く。とはいえ、真ん中を歩いていても問題ないくらい、車は少ない。

食べようか迷ったけれど、とりあえずやめ野イチゴ

地図の上では、みちのく潮風トレイルときちんと示されているもののほかに、白い点線でトレイルと思わしき道があった。それを目指して歩いていると、土手の上に道が見えた。少し歩いてみると、途中途中に案内のピンクのリボンが木々につけられていた。少し先にはシイタケ栽培と思われるビニール袋をかぶった木が束ねてあったので、歩けるだろうと判断して先に進む。

地図上のトレイル
最初はちゃんとした道
だんだん細く

だんだん道が細くなって、藪の中に入ってきた。目印となるピンクのリボンも少なくなってきて、引き返そうとしたところで、測量の印を発見。少し先には倒れた木にピンクのリボン。ここであってる、たぶん大丈夫、GPSあるし、と引き返すタイミングを失ってどんどん先に進んでいった。

とうとう、引き返すにもすでにどこを引き返していいのかわからない、というような状況に。このまま日が暮れてしまったら・・・。ふと、翌日の新聞の見出しが頭に浮かんできた。「無謀な旅行者、未整備のトレイルに入り込み行方不明」「迷惑な旅行者、捜索隊まで出して大迷惑」とかなんとか。

そんなことを考えつつも、ちょろちょろ流れる小川に沿って藪をおしわけながら歩きつづける。頼りにしていたのはGPS。見ると、急な土手の上には道がある、はず。木の根をつかみながら這い上った先には、道があった! ほっとしたのと同時に、文明の利器であるGPSに感謝する。でも、そもそもGPSがなかったらこの道は通らなかった・・・。なにはともあれ、なにごともなく抜けられてひと安心。

ちょっとしたトラブルはあったけれど、無事島めぐりの旅3日目終了。静かな海を眺めながらの一杯はおいしかった。

一日の終わりに、海を眺めて

網地島 朝から晩まで


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