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お父さんになった日

自分の子どもが生まれた後すぐに出向いた性教育で、「父親としての自覚が芽生えたのはいつですか?」と中学生に聞かれ、「正直、今もありません」と答えた息子。

自分の子どもに愛情をもって接し「かわいい」「癒しだ」とは言うものの、一緒にいても子どもに興味関心が向いているようには見えませんでした。

そもそも、父親になるとはどういうことなのでしょうか?

父親の役割について阿川(2020)らの研究報告によると

家族システム内に存在する夫婦関係や父子関係に対し、社会の要請にも対応しつつ、父親として葛藤しながらも責任を持って主体的に関わり続ける

とあります。

何だか難しく言ってますが、要は母親と大差ないことのように思います。しかし「主体的」とありながら、あくまでも母子に関わるというスタンスであって、母親と違って具体的な育児上の役割があると認識されてはいないようです。

では、いったい父親としての自覚はいつ頃芽生えるのでしょうか?

前山ら(2018)の研究「第一子誕生前と誕生後における父親の心理的変化」では、大変興味深い結果が明らかにされています。

父親は、子どもの誕生前後に父親としての責任を感じており、誕生前には父親としてちゃんとしなければとの漠然とした責任感を抱き仕事へはさほど影響しないと感じているようです。

そして誕生後は、子どもに尊敬されるような父親になろうとする思いや子どもに好きなことをやらせてあげたいとの思いから、なお一層仕事を頑張る気持ちを持つとされています。

誕生前も誕生後も経済的に支えることが父親の役割と認識しているようです。しかし、仕事を頑張ろうとする思いと、実際に育児をしたり妻へのサポートを通して家庭も大事にしたいとの思いから葛藤を抱いていることもわかりました。

父親の役割とは、各家庭で違ってくるものです。一概に周りが父親像を押しつけることは、葛藤を抱く父親にプレッシャーを与えることになるかもしれません。

父親の役割が、主体的に育児に関わることだとすると、父親としての自覚が芽生えたり、役割に満足できるかは、妻とのコミュニケーションを通して、妻がどのように育児していきたいと考えているのかを具体的に知ることが重要となるのではないでしょうか。

はてさて、先日息子に会うと、子どもの仕草をキャッチしながらあやしていて、お父さんになってきたな〜と思いました。

「自分の子どもだな〜って思う?」

「思うよ。」

「どんなところが?」

「俺に似てる。」

たくさん接して、よく観察してるからだね。

子どもにとって、妻にとって、そして何より自分がなりたい父親になってね。

*阿川勇太, 中山美由紀.(2020).「父親役割」の概念分析.大阪府立看護学雑誌, 26(1), 9-17.

*前山莉枝子, 中村真理.(2017).第一子誕生前と誕生後における父親の心理的変化.東京成徳大学臨床心理学研究, 17, 88-96.

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