学園文化都市 ウメオ
「学園文化都市」
モリゼミ最後のオープンレクを受けて、真っ先に浮かんだのはこの言葉。
毎朝、私が通勤の時、駅で見かけるフレーズだ。
ウメオは、スェーデンにある人口約13万人の地方都市。
そして、その街で3万9千人以上の学生が学ぶ。13万人の街に約4万人の学生!
学園文化都市を標榜する私の地元である高梁市には、人口3万人に2千人程度の学生。それでも毎年10億円以上の経済波及効果を生み出してるだろうから、学生数約4万となれば、その経済効果は凄まじい。
大学は、学びの場だが、研究機関でもあり、先端研究をする場、すなわち「知の拠点」。
もたらすものは、効果はもちろん経済だけではない。そして、どうしてこの様な小さくても光るまちになったのか?
まちにとっての骨は都市構造。
まちにとっての筋肉はネットワーク。
そしてまちにとって心臓は文化である。
これは、ゼミで紹介された言葉だが、まさにウメオを象徴している。
ウメオ市は、1880年代の大火から、災害に強いまちとして都市構造=「まちの骨」を再生してきた。
そこに、人が行き交うネットワークのハブとして大学=「まちの筋肉」を作った。
そして、ウメオ大学は、規模を拡大し2009年には、芸術キャンパスを設置。
芸術、哲学、数理科学、社会科学、生物工学、情報技術、医学と幅広い分野を有し、学問が持つ知見、考え方を市民が使える状態にするOPEN SOURCEが進んだ。
2014年には、様々な文化事業にアーティストだけでなく市民も参加する大型イベント「欧州文化首都」を誘致。この事業は、5年間の準備期間を掛けて市民に醸成しながら開催することから、長期的に社会や経済の発展に寄与するものであり、地方都市のウメオが欧州各国に認知されるのみならず、市民に文化=「まちの心臓」が深く根付く大きな切っ掛けとなった。
まちの豊かさが文化を呼び、文化が更に人々を豊かにしていったのだ。
「経済は文化のしもべである。」これは、瀬戸内芸術祭の中心人物であり、アートによる地域づくりを実践してきたBenesseの福武總一郎氏の言葉だが、ウメオにもしっくりなじむ言葉だなと思った。
モリゼミでは、これまで、様々な国や地域の進んだ事例を取り上げてきたが、そのいずれにも、その土地が持つ歴史風土に基づく文化、危機的状況を打ち破るための実践の積み重ねにより培われてきた社会規範や文化が深く関係していた。
この先モリゼミのメンバーは、学んできた海外の優れた取り組みを日本で実装するために動いていくわけだが、その時も、それまで地域で培われてきた「文化」を強く意識しながら取り組むことが必須になるだろう。