ホンネシリーズ 安芸高田 X 石丸伸二 X 応援
地方自治体のYoutubeがかつてないほどバズってます。
石丸伸二市長と中国新聞(次長&支局長)の議論。大きな価値を持つ議論です。なぜなら日本と地方が乗り越えるべきすべての課題がこの議論の中に凝縮されているからです。また、市長と市議会における課題も同様です。
また、色々な対立軸を見ることができます。たとえば
エリートと半エリート
是々非々と慣習・慣行
革新と保守
目的と手段
前者が市長、後者が議会・新聞です。
市長と議会との対立はこちらの広島ホームテレビのビデオがわかりやすいです。
私は変化を起こす人を応援するので、石丸市長を応援しています。応援する前に市長の相手である議会と記者を考えてみましょう。
ちなみに最後に中国新聞も応援しています。
市長の相手である議会と記者を考えてみる
地方新聞の記者とは
地方新聞は地方の大学卒が勤める会社と思います。おそらく文系出身者が多い。とはいえ業界自体が斜陽なので、稼ぎたい優秀な人はすでに退社しているでしょう。その中で残っている人はどういう人でしょうか。
多 多くない収入をあてにして与えられた仕事をなんとなくやっている人
中 やめたいけど転職先が見つかるまでのつなぎとして勤めている人
少 いわゆるジャーナリズム精神に溢れた優秀な人
上の方が多いでしょう。これは新聞に限らず一般的な会社でよく見られる分布です。
新聞記者は潰しの効かない仕事と言われています。記者のスキルと経験が他に活かしにくい、と。デスクのもと取材する力、新聞文法における文章力、取材対象者との特殊な対人関係能力。一方、地方は勤め先が多くないので地方新聞に一度入るともう抜け出せない。既存の体制の中で空気を読んで、いろいろな長に従って細くしぶとく生きていくしかありません。
素直で善良な「地方」の記者と議員との戦い
人材の流動性が低く付き合う人間が固定化されていると、地方の権力者に従うしかない環境ができあがり、変化やよそ者を嫌がる空気が出来上がります。そして
論理ではなく空気を読むことが強制されます
また、固定化された環境と仕組みの中で、ゆっくりと流れる時間の中で生きる人びとは言論ではなく慣習に従うことを是とします。これはある意味、面倒な思考や調整、議論をスキップできる最適化されたうまいやり方とも言えます。ただし、致命的なデメリットがあります。それは
事実と論理、科学をもとにして対話して物事を進めることができなくなる
というデメリットです。水は低きに流れるので、人間は慣習と慣行を正とするのです。慣習と慣行に従うこと、これは目的ではなく手段です。手段は往々にしてすぐ目的化されます。「世界で一番住みたい」と思えるまちを作るという目的・結果が最優先のはずですがそうではなく、慣習と慣行に従うという手段の方が優先されてしまうのです。
そのため物事を大きく変えるためには(良い方向であれ悪い方向であれ)、今の世の中で良いとされている慣行をぶち壊す必要があります。そのときはハレーションが起きます。平穏な生活に慣れた人びとはそういう騒ぎ、争いを嫌がります。
また同時に人は責任を負うのを嫌がります。みんな結果責任を取りたくないのです。人間全員です。
「世界で一番住みたい」まちを作るという結果に責任を追いたくないので、「慣習・慣行に従え」とひたすら連呼
するのです。だから過半を占める議員や新聞が以下のようなことを言うのは自然なことと言えます。
市長に賛成をしてほしいなら根回しするのが当たり前。慣行に従って根回しという手段をとりなさい(そしたら丸く収まるでしょう)
先決処分という手段をとった石丸市長がいけない(その結果、市の魅力が増える可能性を潰したとしても知らんぷり)
議員との調整不足は市長の責任。適切な手段を取りなさい。どういう手段を取るかは市長が考えなさい。(普段慣行に従うだけの人生だから手段なんて考えられない)
ちなみにわたしは議員や新聞記者をディスっているわけではありません。人間的で自然な言動を取っているので、むしろ、大変素直で善良な方々なのだろうと思います。市民の一定の支持を得て議員になっているし、会社組織の中で一定の役割を与えられていることからも推定できます。(彼らが非合法・非人道的なことをしている場合を除く)それゆえ彼らには
石丸市長は既存の慣行を破る悪者であり破壊者
に見えているでしょう。価値の紊乱者ってやつです。
「地方」を変える
これは不治の病あるいは難病です。バカは死ななきゃわからないという言葉があります。言葉の通り世代が若返りながら少しずつ治癒していくのが自然でしょう。あるいは難病を診断して臓器を丸ごと入れ替えるくらいの大手術ができる医師が必要です。ただし医師つまり外部からの圧力が必要なので自己統治が求められる地方自治体にこれは難しいでしょう。
しかし、石丸市長ができる手段は他にもあります。①全治はできないとしても重要な部分から治していく方法。あるいは②随所に自浄作用を組み込んで治癒をスピードアップする方法。もしくは、③お上の力を借りてトップダウンで変えてしまう方法。
石丸市長は賢明なので全て検討されて実行に移しているでしょう。しかし③はどうでしょうか。地方は中央に弱いので、政府あるいは(地方有力者よりもさらに権威を持つ)強い権力者から言われたら、議員たちはきっと従うでしょう。地方自治に反している点が問題ですが。ただ、彼らは理念や論理よりも権力と慣行に従う人たちなので、何かしらの道はあると思います。例えば
ガツンとやれる中央の政治家を議員にぶつけるとか、知識人や財界人をぶつけたら
簡単に行くでしょう。もしくは
彼らが格上と考える自治体や規模の大きな地方自治体から指摘
すれば揺らぐでしょう。例えば日本国政府な広島県や広島市の人たちです。前述の通り地方自治の観点から外れますが。
中国新聞については、
全国の有力紙や世界的なジャーナリストから批判
されたらすぐに転回するに違いありません。ジャニーズの問題がBBCに取り上げられたら日本のマスメディアがようやく重い腰をあげたのと同様に。彼らは慣行の中でただ政治権力者を監視しているだけなので、権力の本質を理解していません。同時に彼らは素直な人たちなので権力や権威に弱いのです。
議論について
日本は和を以て貴しとなす文化です。議論や対立を恐れ嫌がります。それゆえ空気を読んだり慣習に従ってもうまくいかないような、どうしても対立関係が生じそうな場面に出くわしたら、表立って議論するのではなく裏で根回しをするのです。
(また、きっと心の中では年長者を敬うべきだと思っているでしょう)
和を尊ぶという点で議員と記者は評価できます。善良な人々なので。一方、表立って是々非々の議論をしないので、オープンな場での議論の力は低いです。多種多様な人間がそれぞれの主張をしあいながら一つのゴールを目指して結果を出していくという経験が少ないのです。慣行の中で固定化された人間の中で生きてきたので。
地方の半エリート人材である新聞記者は周りから尊敬されます。それゆえ権威性を保つために失敗を恐れます。特に彼らマスコミが敵とみなす権力者から、新聞記事についてダメ出しをされることについては考えられないほど嫌がります。プライドがズタボロに切り裂かれるような気持ちになります。しかも平穏な日常をぶち壊された気分になります。そのため、場合によっては、どういう人であれその権力者を引き摺り下ろそうとする人もでてきます。
地方新聞社の記者は議論が嫌いなのです。そもそも議論が何かすらわかっていません。長いこと議員でいる人たちも(びっくりしますが)オープンな場での議論が苦手です。
中国新聞社のミッションを見てみる
中国新聞ホームページに記載されているミッションには以下のように書いてあります。
「事実を集めること」「確かに報じること」が原点であり、ミッションの一部のようです。そのため、「事実を報じること」については期待できます。ただし事実を公平に伝えるという点については言及されていません。つまり、公平性と公平性を保つための「論理」や「知性」については期待できないかもしれません。
また「無数の事実」とありますが、「無数の」事実を拾い集めたらとてもじゃないですが正しく情報編集できません。なぜなら無限の情報処理能力か無限の時間が必要になるためです。「表現の仕方」については言及していますが「情報の編集」については言及されていません。したがって「編集能力」については期待できないかもしれません。
ファクトベースであり、編集能力を持っており、流されやすい慣行や手段の目的化に負けない、社会に貢献しうる新聞社がいたらいいなと思っています。中国新聞はどうでしょうか。
また、記者会見の現場で発言する際は明瞭かつ簡潔な言葉で、ちゃんとマイクを使って、喋ることができる新聞記者がいたらいいなと思います。記者会見という彼らの仕事場で、彼らの仕事道具の1つであるマイクを十分に使えない記者がいるのはなぜなのでしょうか。書くのは得意でも話すのは不得意なのでしょうか。ただ記者会見で質問をするのも記者の仕事なので、マイクが正しく使えないというのは記者の能力不足を示す一つの証と言えるでしょう。
仮に中国新聞の情報編集能力が低いとした場合、それはミッションに掲げられていないので当たり前と言えるかもしれません。ただ記者会見の場においてはマイクは正しく使ってほしいものです。仕事の一つなので。
記事を書くときに議論しないの?
多様な人が集まる中で何か結論を出すときは議論が必要です。多様な意見を集約して一つの結論に至るまでの間に当事者の意見を聞いて戦わせる過程でコンセンサスを得やすくなりますし落とし所を探ることもできます。正反合を目指すこともあります。
結論を出すということは、当事者同士で、情報を曝け出した上で、各当事者の利益をできるだけ損なわず、かつ当事者全体の利益を最大化するための一つの解を出すということです。
記者だから議論の能力が低い。というのは言い訳でしょう。多様な市民の意見を集約して1つの記事という結果にするさいに議論は必要です。
新聞社の中では議論はされていないのでしょうか
新聞社の中はブラックボックスです。新聞社の中で誰がどのような議論をしたのか、なぜその論調の記事としたのか、意思決定の中身は公開されていません。(一方議会は公開されています)前に述べた通り、地方の新聞社というのは硬直化する傾向にあるので、よくわからない長・偉い人が慣行の中で意思決定をしています。市長や議員よりもはるかに長い間権力の座にいる人が意思決定をしているということもありえます。それはつまり、権力の腐敗を導きます。
取材源の秘匿は、ブラックボックスの1つの理由でしょう。しかし今の時代クローズドであること、透明性がないことは世間から支持されない弱点の1つです。
中国新聞社が、市長から記事の内容について質問をされたら
「お答えする必要はありません」「個別の記事について説明する必要はないと考えている」「記事に書いてあるものが全てです」
と言っていました。対話を拒否しています。記事ができる過程と記事自体について説明をすることを頑なに避けていました。真意はどうかわかりませんが、私の目には以下のように映りました。
市長と新聞社は対立関係にあるかもしれないが関係者である。関係者同士で意見を戦わせて切磋琢磨して欲しいのに、新聞社が一方的に対話を拒んでいる
市長は実名で顔出しをしておりオープン(正義)だが新聞社は名前は出ているが顔出ししておらずクローズド(悪)である
新聞社は政治権力の監視役であるが、それを盾に市民の代表である市長に偉そうにしている。市民を馬鹿にしているし下に見ている
隠すということは何かやましいことがあるに違いない
記事を一方的に公開するだけで批判を受け付けないという態度はいかがなものか
新聞記事は出したもん勝ちである。
それに比べると市長は記者会見の場で、記者に申し開きの機会を与えている。あまつさえ記者はその機会に対して文句を言っている
対話も議論も大切にして欲しいと思います。市長に対しては議会と対話せよ。と言っておきながら新聞社は市長と対話しない。これもダブルスタンダードです。非論理的です。慣行に従うだけの人たちだからダブルスタンダードになるのです。
この記事はこういう事実から成り立っている。論理的にも矛盾がない、誰にとってもわかりやすく誤解がない。公明正大に、自信と誇りを持って自分たちの記事を朗々と説明できるそんな記者がいてほしいものです。もちろんマイクを正しく使って大きな声で。
解決策
先ほど述べた通り私は市長を応援しています。なぜなら正義の味方の立場にいるからです。その立場とは、実名、顔出し、オープンです。
ただし、新聞社も本来は市民の味方であるはずです。市民の支持を得られるはずです。そのためにどうすれば良いのか、シンプルに考えると以下の通りです
記者が実名かつ顔出しで記者会見に出席しましょう
対話型の新聞あるいはSNSに記事を投稿しましょう。オープンに誰でも参照できて投稿できる記事のシステムを開発しましょう。少なくとも、市長に負けず、今すぐ利用できるSNSとITを駆使しましょう。Youtubeチャンネルに投稿しましょう。なぜその記事を書いたのか途中の議論を公開しましょう
どういうまち、どういう政治、どういう新聞社があるべき姿なのか市民とともに考えましょう。(手段ではなく結果にフォーカスするために)
市民のためになる報道とは何なのかを改めて考えてみましょう。昔ながらのやり方(経営方針、編集方針)に従うだけだと、斜陽の新聞業界の流れに従って、まっ逆さまに収入も名声も落ちていきます。志を持った意欲的な社員の方が率先して中国新聞を変えていってほしいと願います。ただし非常に困難だと思います。
なお、記事の内容的にスキャンダルや言葉遊びに終始するのはやめてほしいです。安芸高田市が注目を浴びている今がチャンスです。思い切って、日本全国の市長と議会との対立の状況や、他の国の市政の状況、地方の改革の状況、地方自治体とメディアの関係、そういう中国新聞だからこそやれる、読者が誇りを持てるような新聞記事をたくさん投稿してほしいと思います。
市長が否定できず思わず取り入れてしまいたくなるような示唆や提言を含んだ、論理的かつ科学的なファクトベースのメディアであってほしいと思います。
ちなみに石丸市長もひとりの人間なので過ちを起こすこともあります。逆によいこともするでしょう。その意味で健全な対立関係が必要です。負けっぱなしはよくありません。勉強と研鑽に努めてください。
市政だけではなく新聞社にも改革を望みます。
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