Double Standard

 ヘタリアが好きだけど、反ナショナリズム。
 そんなダブスタを抱えているのが、この私。

 現実の国家のどうしようもなさ、そして自称保守の目も当てられない蛮行を見知っている分、ヘタリアのキャラクターは好きだけど、国として彼等を見ることは、当然ながら出来なくて。

 この国の場合だと、キャラクターは「本田菊」に相当するわけだが、一部のいわゆる「日領ヘタクラ」のまぁ酷いこと酷いこと……前の記事でも言及したけれど、2Pカラーの彼を「日帝」と呼んで祭り上げるわ、好きじゃなかったら売国奴・非国民扱いするわ……そんな薄っぺらい輩の「保守のシンボル」にされている彼が、正直云って気の毒である。

 私にとって「国」という概念は、ただの「単位」や「枠組み」でしかない。その土地の民族を大まかに纏める、「その程度の存在」だ。
「その程度の存在」を過大評価する一部の輩の思考が、私には分からない。そして、過大評価された「その程度の存在」のために、死んでいった過去の戦争の犠牲者を思うと……本当の本当に、いたたまれない。彼等は必ずしも、国を守るために、自ら望んで死んだのではない。国が彼等をそのように誘導し、追い詰めたのだ。すなわち国が、彼等を殺したのだ。

 そんな血塗られた過去を背負うことになった「その程度の存在」を、魅力的なキャラクターとして具現化した日丸屋先生は当然ながら罪深いし、先生の作品に出会い、愛してしまった私も勿論罪深い。嗚呼、何と果てしなき地獄の連鎖だろう。

 それでも……せめて私だけは、キャラクター達を「ただの人間」として見たい。生まれた以上いつかは死ぬ、「ただの人間」として。必ず人名で呼び、国名では呼ばない。何故なら彼等な「ただの人間」だから。
 苦し紛れだと、自分でも思う。だけどその行動だけでも、立派な「ナショナリズムへの抵抗」に成り得るのだとも、私は考えている。

 面倒臭いヘタクラだな……と思っただろう、其処の貴方。だけど……過去の悲惨な歴史をヘタリアとダブらせ、萌えたり愉しんだり、あるいは非難したりこき下ろしたりする、そんな不謹慎極まりない奴等よりかは、幾分かマシだと思って欲しい。

 同じ穴の狢でも、私はあんなろくでなし共と、同じ場所にはいたくないのだ。

いいなと思ったら応援しよう!