『サンガジャパン』全36巻を並べてみて気がついたこと
10年間作り続けた『サンガジャパン』
これまで編集してきた『サンガジャパン』も、株式会社サンガの事業停止により、休刊を余儀なくされてしまいました。
『サンガジャパン』は2010年に創刊し、その後、2020年刊行のVol.36まで刊行してきた仏教総合誌です。
今、サンガの元社員にできることは何だろうか?
そう問い続けるなかで目に留まったのが、自宅の本棚にある『サンガジャパン』の背表紙です。
もしかしたらこの中に、新生サンガのアイデアがあるのでは?――ふとそう思って、本棚の『サンガジャパン』を取りだし、あらためて並べてみました。
本棚にある全巻を並べてみる
この10年間、編集し続けてきた『サンガジャパン』ですが、こうして並べることは初めてかもしれません。
なんか懐かしいですね。当時の記憶もいろいろと思い出します。
そんな感傷に浸りながらも、一冊ずつ並べてみて、気がついたことあります。
それは、「全36巻が僕の手元にない」ということです。
Vol.7 「少欲知足」
Vol.9 「上座仏教と大乗仏教」
Vol.15「戒律」
Vol.17「仏教とキリスト教」
Vol.22「瞑想を語る」
Vol.29「苦」
Vol.32「身体と瞑想」
この7冊が抜けています。
どうして手元にないのでしょうか?
会社の書棚に置いておいて、「そのうち持ってくればいい」と思っていたからですね。
でも、事業停止の当日に即日解雇となったので、手元に残すような余裕もありませんでした。
「そのうち」なんていう時は、永遠とやってこないのかもしれません。
『サンガジャパン』を未来に向けて続けること
こうして『サンガジャパン』を並べてみて、まず感じたのは、「抜けている号を手に入れて、全巻揃えたい!」という衝動的な気持ちでした。
でも、だんだんと「そういうことでもない」と思うようになりました。
読者のみなさんに読んでもらいたくて作ったので、自分が編集した本を自分で全巻持っていても、たぶんそれは、ほんとうの喜びではないのです。
だとすれば、何をすればよいのでしょうか?
『サンガジャパン』の中に詰まっているのは、たくさんの執筆者の方々、そして読者のみなさんの仏教への想いです。それを伝え、育んでいくことが、『サンガジャパン』が背負ってきた役割なんだと思いました。
だとしたら、僕たちができることは、『サンガジャパン』でやってきたことを、未来に向けて続けることなのでしょう。
それはもしかしたら、これまでとは少し違ったスタイルになるかもしれません。
でも、世界で必要とされている仏教の魅力を、これからもしっかり皆さんにお伝えしていくことができれば、それは『サンガジャパン』を継続していくことになるのだと思っています。
今度はみなさんと一緒に、新しい『サンガジャパン』を作っていけたら嬉しいです!
(佐藤由樹)