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「サンガ」に学ぶ幸福のメカニズム(アルボムッレ・スマナサーラ)

アルボムッレ・スマナサーラ(テーラワーダ仏教(上座仏教)長老)
サンガ新社設立記念コラム「私たちの幸福とは」。アルボムッレ・スマナサーラ長老には、特別に「仏法僧の三宝の一つである『サンガ(samgha、僧伽)』から学ぶこと」というテーマで寄稿いただいた。和合を価値として2600年の歴史を築いてきたサンガのあり方から、これからの時代に必要な幸福のヒントを学びたいと考えた。また、「サンガ新社が果たすべき役割」についても教えていただいた。

人類にずっとある、幸福を妨げる問題

 人類に、昔も今も、そしてこれからも一貫してある大きな問題は「私」という一言に集約されます。みんなこの「私」に引っかかって、社会から自分を孤立させてしまうのです。一方で「私」という肉塊は、なかなか一人勝手で孤立したままでは維持できません。だからみんながみんな、「私のもの」というものを作ろうとします。土地や財産などの“物”から、家族や子ども・友人たちなどの“人”まで、全部「私のもの」にするのです。
 問題は、隣にいる人も「私」と思っていますから、その人も地球のものを「私のもの」にしようとすることです。 それで奪い合いという現象が成り立ちます。土地や財産はもとより、人々の奪い合いまで起こります。政界も人の奪い合いですし、時にはある組織に洗脳されて、子どもたちが家庭から奪われることだってあります。「親なんか関係ない」と言ってその組織に入ったきりになったりするのですね。
 とにかく世界戦争から二人の喧嘩まで、すべて「私のもの」という錯覚から現れるのです。その錯覚が世界の人類に大きな問題を惹き起こしています。人類社会の抱える問題に「私」「私のもの」という概念から現れているのだとすれば、やるべきことは決まっています。「私とは何か?」と科学的に調べることです。しかし、はっきり言って人類はそれはやらないし、やりたくないのです。前提を抜きにして、「私は尊い存在である」「私は偉い」という態度でいたいのです。

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