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『観光マーケティング入門』 第1章 観光マーケティングとは何か

『観光マーケティング入門』 第1章 観光マーケティングとは何か ―ディズニーリゾートの取組みから―

1.観光産業の定義と範囲

 観光産業とは何か。実はこれを理解するのは簡単ではない。というのも、日本政府が統計上利用している「日本標準産業分類」に観光産業はないからである。具体的には、①宿泊業、②交通運輸業、③お土産・道の駅など小売業、④ガイド業・エンタテイメント業、⑤施設・テーマパーク、⑥旅行業、⑦ガイドブック出版・観光メディアなどである。しかし、これらの事業は、「日本標準産業分類」では、バラバラに異なるものとして分類されている。例えば、宿泊・飲食業はひとつにまとめられているが、旅行業は「その他サービス」に分類されている。近年、観光庁が設立されて以降、産業横断的に観光統計の整備が進み、現在では観光GDPとして推計されるようになった。

 観光産業とは、狭い意味では直接的に旅行者から収入を得る産業として理解される。これは観光行動を「準備」「移動」「宿泊」「レジャー」という一連の行為を連続体として捉え、それぞれに対応するサービスを産業として規定したものである。移動は運輸業が、宿泊は宿泊業が担い、準備では旅行情報を集約する性格から旅行業が、レジャーにはテーマパーク、水族館から土産販売、飲食店、ガイド業に至るまで様々な観光産業が対応している。旅行業と、観光産業を混同する場合があるが、旅行業は観光産業の一分野であると考えるのが適当である。

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