『観光マーケティング入門』第2章 観光のニーズとウォンツ―なぜ人は旅行をしようと思うのか―
『観光マーケティング入門』第2章 観光のニーズとウォンツ―なぜ人は旅行をしようと思うのか―
1.ニーズとウォンツ
(1)人間の購買行動の背景
観光マーケティングとは、観光産業や観光地がマーケティング活動を効果的に実施するための法則や理論を体系化したものであり、その定義は、観光者に価値を提供し、観光者に顧客満足を与えながらお金をはらってもらう仕組みのことである。観光者に価値を提供して満足を与えるには、観光者が何を求めているかを理解するのが出発点である。人は、なぜ旅をしようと思うのであろうか。この章では、観光者の購買行動の背景について考えてみよう。
(2) 顧客とは何か
顧客とは、自社の商品・サービスを販売する対象である。すでに購入してくれている顧客だけでなく、購入の可能性のある範囲までを含めてとらえる必要がある。新しく購入してくれた顧客を新規顧客、既に購入してくれている顧客を既存顧客、そして購入する可能性のある顧客を潜在顧客と呼ぶ。また、顧客は個人の消費者に限らず、企業や流通業者、行政機関が対象となる場合もある。企業が消費者に対して販売を行うことをB2C(Business to Consumer)といい、企業が企業や団体など法人に対して販売する行為をB2B(Business to Business)と呼ぶ。
(3)顧客の欲求とは何か
なぜ顧客はモノやサービスを購入しようとするのかを考えるには、欲求とは何かを知る必要がある。人間が何かを欲しがるという行為の背景にあるものとは何であろうか。欲求とは、人の行動を駆り立て、それを方向づける心理的な行動の要因のことである。分かりやすく言えば、欲求とは、何かが欠乏・不足した時にそれを満たすために行動を起こそうとする心理的な状態と言ってもよいだろう。では、欲求とは何かを理解するために、下記のモノやサービスの欲求とは何かを考えてみよう。
【問題】次のモノやサービスの欲求とは何か、またなぜ買おうとするのかを考えてみよう。
① コンビニのおにぎり
② マキュアージュ
③ 電動ドリル
④ 七五三の写真
⑤ ハワイ旅行
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