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2024.06.15 ART-SCHOOL TOUR 2024"Today Forever" HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1 ライブレポート

「解散も視野に入れた」という諦めと混乱の境地をくぐり抜けて、木下理樹は戸高賢史に「一緒にバンドをやってくれないか。バンドにお前が必要だ」と真っ直ぐに伝えた。これまでどんな困難な状況にあってもその歩みを決して止めることのなかったART-SCHOOLの命運は、木下理樹をある程度知る者ならば誰もが「らしくない」と思うその一言によって、こうしてつなぎ止められた。バンドでの安定した関係をなかなか築くことのできない木下理樹というミュージシャンは、それでも誰よりも激しくバンドであることを欲し、そして最後に帰る場所となるバンドはやっぱりART-SCHOOLでなくてはならないのだ。

ART-SCHOOL LIVE at STUDIO COAST 2011.12.09 ライナーノーツーより(一部省略)

戸高賢史(以下トディ)、ART-SCHOOL加入20周年記念ツアーに行った。帰路で思い出したのが上記に引用したライナーノーツだった。今回のライブを見て感じたのは「トディがART-SCHOOLを愛している」のは勿論だが、それ以上に「木下理樹(以下リッキー)がトディを愛している」ということだ。相変わらずトディがいなければMCは成立しないし、「俺が曲作っちゃうと小難しくなって、木下さんがギター弾けなくなる」と言われる始末だ。トディあってのART-SCHOOLであることは間違いないだろう。しかしそれだけではなく、リッキーが言っていた「バンドに2人ソングライターがいるのっていいなあと思って」というMCにもそれが表れているのではないかと思った。きっとこれからもリッキーはトディを愛してるだろうし、それにきっとトディは答えてくれるだろう。そう思わせてくれたスペシャルなライブだと思った。
余談だが、嬉しいことにこのライブは1stアルバム「Requiem For Innocence」のサブスク解禁が発表された翌日に開催され、MCでリッキーが「今までYouTubeの無断転載で聴いてたから..」と告白し会場がどっと沸いた。世も末ですわ。

以下は楽曲ごとのレビューです。ネタバレ注意。


Moonrise Kingdom

正直「これか〜。もっとレアな曲がよかったな」と思った。他の公演では「プールサイド」とか「左ききのキキ」とかをやってたというのに。でもやっぱシューゲイザー好きとしてはこの曲非常に良い。足から全身に音が響く感じがスゴい。

EVIL

これも「木下理樹生誕祭」で聴いたんだよねぇ..。ただこういう「かつての定番曲」を最近再びやってくれてるのは非常に嬉しい。まさに「邪悪」という曲名の似合うグランジソング。

テュペロ・ハニー

マジかよ!調べたら実に15年ぶりぐらいの演奏。リバーブのかかったギターが最高。

FLOWERS

空っぽの君でいいさ
そのままの君のままで
俺は俺で 君は君だ
俺は俺で

FLOWERS 歌詞

この歌詞に救われた。それしか言えない。

夜の子供たち

「アンドロイドの精子」ってパワーワードすぎるな。大好き

LITTLE HELL IN BOY

アートスクーラーなら嫌いな人がいないB面集「Cemetery Gates」から!!アルバムの中では地味だなと思ってたけど、深みがあって良い曲!

アイリス

イントロの前にベースラインが印象的なアレンジがされていておもしろかった。ライブで聴くのは2回目だけど、やっぱ疾走感ある曲はライブ映えする!

ガラスの墓標

嬉しい!大好き!少しテンポが速いイントロからもう最高。ラスサビ前にナカケンがベースを弾き忘れた点を除いたら完璧でした。

イノセント

おいおい最高かよ!実に7年ぶりの演奏。イントロの逆再生みたいなイントロのギターや、疾走感あふれるサビなど、聴きどころの多い曲。

BUTTERFLY KISS

2連続「LOVE/HATE」からの選曲!シューゲイザーバンド・ART-SCHOOLの実力が存分に発揮された楽曲といってしまおうか。素晴らしすぎる..

それは愛じゃない

また「Cemetery Gates」からの選曲!ファン以外からはあまり知られていないけど、アートのギターポップの名曲といったらやっぱりコレだね!

クオークの庭

やっぱトディ歌唱の曲も披露されるのかなと思ってたけど、まさかこの曲が演奏されるとは!!多分今回のライブ以外で演奏されたことないんじゃないかな。リッキーの作曲に影響を受けながらも、他の曲にはない独特な世界観が良い。

エイジオブイノセンス

これもまたレアな選曲。爽やかながら、どこか秋の陽気を感じる曲。

SANDY DRIVER

レアかつ疾走する曲が続く。こちらは1stミニアルバム「SONIC DEAD KIDS」から。古い曲だったからか、MCの時にトディが「これ知ってる人いないよね..」と言っていた。めっちゃ好きだしスゴい嬉しかった。

Mary Barker

トディ曲2曲目。「クオークの庭」とは違う爽やかな楽曲で良い。なんかこれ歌ってるトディの声って斉藤和義に似てる気がする。

SKIRT

これもめっちゃ嬉しいな!個人的にアートの中でも1番好きなアルバム「SWAN SONG(DISC1)」にも収録されてるし、何回も聴いた曲だから感動もひとしお。

ローラーコースター

なんと「14souls」からのレア曲!なんか一時期かなり好きで聴いてたから思い出込みで嬉しい。

Teardrops

まさかのトディ曲3曲目!こちらは昨年リリースの最新作「luminous」から。これもリッキーの作る曲にはないメジャー感があって良い。

Promised Land

最近の曲..と思ったけどもう「YOU」って10年前のアルバムなのか..最高。

KILLING ME SOFTLY

この曲やるなんて1mmも思ってなかった。完全に封印してたもんだと思ってたし、トディが「1万年ぶりぐらいにやります」と言っていたが、多分「14souls」のリリースツアーでもやってなかったんじゃなかろうか。これを機にもっと演奏してくれると嬉しい。名曲。

BOY MEETS GIRL

確実にこの日一番フロアが盛り上がった曲。さっきまで静かに聴いてた人も、この曲始まった途端、頭振るし手も振るし飛び跳ねてた。色んなレア曲聴けた今日のライブだけど、一番「みんなアート好きだなぁ」と思ったのはこの曲だった。

Bug

本編のラスト曲。「luminous」の表題曲で、美しいシューゲイズナンバー。

Just Kids

アンコール。再始動後は毎回やってるし、実にライブ向きの良い曲だなと思う。

汚れた血

思わず声出たけど周りの反応はそうでもなかった。11年ぶりの演奏らしい。ここに来てまだレア曲を残せるART-SCHOOL、恐るべし。

ロリータ キルズ ミー

アンコールもラスト。やっぱ盛り上がること間違いなしのナンバー。やっぱ定番曲が一番目に見えて盛り上がる。

FADE TO BLACK

「明日も仙台でライブするから、これで終わりと思ってたけど..」と言いつつもダブルアンコールに応えてくれたART-SCHOOL。やはりラストは定番のこの曲。定番曲からレア曲まで26曲もやってくれた。本当にありがとう。去り行くメンバーに「トディおめでとう」という観客からの声が温かかった。

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