日本未公開サメ映画⑭「Bull Shark2」
こんにちは、干支にサメ年を追加してほしい鮫サメ子です🦈🦈
2024年も残りわずか。年末年始のサメ映画選びで悩んでいる方に、今回は日本未公開の『Bull Shark 2』をご紹介したいと思います。
前作『Bull Shark』のおさらい
まずは前作について簡単に振り返っておきましょう。Bull Shark(オオメジロザメ)は、淡水でも生存可能なサメの一種です。近年のサメ映画で重宝されている理由は、無理な設定なしで川や湖にサメを登場させられるからでしょう。
物語はテキサスの小さな町が舞台。主人公のスペンサー・ティムズは、残念ながらアルコール依存症を抱える動物保護監視員。
町の湖でサメ襲撃事件が発生し、親友のノーラン・ホルトと妻のドッティの協力を得ながら、なんとかメディアに知られる前に解決を目指す...といった具合です。そして最後はサメを退治し、妻との関係も修復。アルコール依存症からの回復も果たして、めでたしめでたしで終わりました。
Bull Shark 2:より深刻化する主人公の苦悩
ところが続編では、希望に満ちていたはずのスペンサーが完全に糸の切れた凧状態に。せっかく克服したはずのアルコール依存症も再発してしまい、「もう二度と酒なんか飲まない」という固い決意も跡形もなく消え去ってしまったんです。職も失い、妻にも逃げられ、息子にも軽蔑され...前作では同僚や家族、自助会の仲間たちに支えられて何とかやっていけていたのに、今や彼らとも縁を切った状態なんですよね。
物語は、なぜか湖でバカンス(なぜ!?)をしていた若者3人がサメの餌食となるところから始まります。そのうちの一人、クリッシーの母親が行方不明の娘の捜索を依頼しにスペンサーを訪ねてきます。
当初は気が進まなかった彼だが、すさんだ日々から抜け出すための再起をかけて立ち上がります。
ただし、無職の身となった今、頼れるのは唯一の親友で野生動物保護監視員、その実は町の自由人(いわばヒッピー的存在)のノーラン・ホルトだけ。
ノーランの立場を借りて捜索に挑むことになるのですが、再開発に血眼な市長や保安官は「若者たちが失踪したのは湖が原因とは限らない」と一蹴します(冒頭で湖から遺体の一部が見つかり、明らかにサメの仕業と判明しているのに)
サメより人間ドラマ?
結局、スペンサーとノーランは力を合わせてサメを探し出し、退治することができました。...とまあ、前作とほぼ同じ展開なんです。サメとの対決シーンは意外とあっさりしていて、それが少し残念。その代わり、アルコール依存症の描写により多くの時間が割かれているんです。つまり、これはサメと戦う映画というより、酒と戦う一人の男の物語なんですよね。
それと気になったのが、スペンサーのブチギレやすい性格。これって実は、アルコール依存症の症状として意図的に描かれているのかもしれません。
特にノーランが軽いジョークを言った時の反応が極端で、完全無視するかブチギレるかの二択。正直、ノーランも友達選んだ方がいいんじゃない?って思っちゃいます(笑)
あと、ちょっと気になるのは、スペンサーが家の裏の池で釣りをするシーンがあるんですが、その池が問題の湖とよく似ているんです。全然違う池にするか、その設定自体なくても良かったかも。
だって「湖は危険!近づくな!」って言ってる本人が釣りしてるんですから、バカじゃないの?って思っちゃいますよね。
まとめ
さて、いかがでしたか。『Bull Shark 2』は、ホラー要素を期待して観ると間違いなく肩透かしを食らう作品です。なぜなら、これはサメ映画を装った、ある男のアルコール依存症との戦いを描いた人間ドラマなのですから。主人公スペンサーの酒断ち日誌、それにちょっとサメが出てきます、というのが正直なところ。
そして、実は今作、3作目まで出てるらしいんです。2作目を観る限り、まだまだ続きそうな雰囲気はありましたし。でも残念なことに、3部作どれも日本では未公開。サメ映画超大国を自負する日本としては、これは由々しき事態ですよ。
まあでも、「サメ映画」という先入観を捨てて観れば、意外と楽しめる作品かもしれません。人間の弱さやもがきが丁寧に描かれていて、それはそれで味わい深いものがあるんです。シリーズ完結編の3作目はどんな展開になるのか、気になりますよね。ぜひ日本公開してほしいものです。
それでは皆様、少し早いですが良いお年を。
シャークと共にあれ(May the Shark be with you…🦈🦈)