【F1 2020新車レビュー】スクーデリア・フェラーリ新型マシン SF1000
F1の雄フェラーリ。2020シーズンを戦うSF1000を2月12日(水)イタリアでお披露目しました。タイトルを争う3チームの1つ。見てみましょう。
■チームデータ
運営企業 :FERRARI SPA
チーム名 :スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ
シャシー :フェラーリ
エンジン :フェラーリ
■背景
言わずと知れたF1の雄フェラーリ。1950年から始まったF1世界選手権から参戦を続けている唯一のチーム。2008年を最後に優勝から遠ざかっている。
2019シーズンは開幕前テストで圧倒的な速さを見せていたにも関わらず、開幕戦のオーストラリアGPからメルセデスに太刀打ちできず。
「ストレートでは早いが低速コーナーで遅い=ドラッグが少なくて、ダウンフォースを生めていないマシン」という特徴をシーズンを通して覆すことはできなった。更に、特定の条件の時だけエンジンパワーが極端に上がっているというデータをもとに、「パワーユニット」レギュレーション上何らかの違反をしているとして他チームから疑惑を指摘され、FIAが規約を一部明確にすると極端にパワーが落ちたことから確証は無いものの何らかの不正を行っていたという事は暗黙の事実として知られている。
2020シーズンF1での1000レース目を迎えることから「SF1000」という名称のマシンで参戦。代表のビノットさんは「レギュレーション自体が変わっていないので、見た目はSF90によく似ているかもしれないが、全ての部分をアップデートした全く別物であることを約束する。」とのこと。
さてさて、どうなのでしょうか?
■新車(SF1000)
■ファーストインプレッション
ぱっと見は昨年のSF90から微調整?と思う位代り映えしないマシン。色がどんどん濃い赤になっていくトレンドは止まらないみたい。でもよく見てみると、かなり大きな理念の変更がされていることに気が付く。
とにかく昨年の課題だった「ダウンフォース」を生み出すために色々な修整がされているみた。
1、一見変わっていないノーズ
見るからに昨年の踏襲というノーズ。ところがよく見ると、ノーズ全体が長くなっていて、フロントウィングを極力遠くに設置しよう(=ダウンフォースを増やしたい)という意図が濃くなっている。
マクラーレンが先鞭をつけたノーズ横のスリット構造を今年は採用せずに、昨年途中から取り入れたノーズ横のパーツを含めて空気を通すトンネル構造にすることでその後の整流効果を高めていると思われる。
一方でノーズ後方のスリットが3枚から5.6枚になり、全体が長くなっている。
ノーズから取り入れた空気を強い意思を持って整流しようとしている意思が見える。
2、フロントウィング
ハースとも似ている形状、昨年よりもハの字がシンプルな形で外側に気流を押し出そうとしている。
※昨年の最終版と色が変わっている位なのでテストにはまったく別のウィングを持ってくると思われる。
3、フロントサス
これも、面白いことにハースと同じような形で空力効果を生むための形状。
後で各通りサスから一連で縦方向に空気を制御しようとしている。
4、バージボード
=サイド=
こちらも大きく変わったところ。
一番前のフィンが高くなって、1枚構造から3枚構造に
底部もより前に位置させることで積極的に空気を取り入れて制御しようとしう意思を感じる。
※上:SF90(2019)、下SF1000(2020)
=前=
横方向の構造物を増やすことで、気流を上下方向に分ける事でダウンフォースを増やそうとしていると想像する。これはレッドブルのRB15の考え方を参考にしていると思われる。
5、バイキングノーズ復活?インダクションポッド
昨年から継承した小さな三角形を維持。その横にはバイキングノーズが復活。これも空気を縦方向に空気をコントロールしようという意図。効果がどうかわ分からないけど、懐かしくてワクワク。
6、レッドブルに近づいたサイドから後方
サイドポンツーンから取り入れた空気を意図的に下方向へ導くように、カウル上面を潰す形に変更。※シェルとUPSのロゴがつぶれているので分かりやすい。
ハースの車体がなぜそうしたのか疑問だったけど、フェラーリが採用していることでなんとなく理解。車体後方をコンパクトにするためにおそらくパワーユニット含めパッケージングを変更していると思われる。なので、今年のフェラーリエンジン搭載車はこのような形になると想像。
そしてもう一点、車体後方が握りつぶしたようにコンパクトになっている。レイ・バンロゴが直立しているのでなんとなく分かると思うけどより絞り込まれている。
この特徴も、レッドブルが突き詰めてきた理念。
■総括
昨年はグレーゾーンをついたエンジン出力を頼って、ストレートが速い車だったけど、同じことが出来なくなったため、昨年の設計思想に対して無理やりにダウンフォースを生もうとしている印象。
車体前方は昨年のフェラーリ理念を継承しながら、車体後半をレッドブルスタイルを取り入れている形。
実際は走らせてみないと分からないけど、理念の違うふたつの構造をそんなに上手く繋げるのだろうか?良いところ取りで、最高のパフォーマンスを生む可能性もありながら、
理念を融合させられない場合、今年のフェラーリは・・・。なんてことにもなりそうな印象です。
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