【F1 2021新車レビュー】マクラーレン新型マシンMCL35Mを徹底考察
ついに2021シーズンのF1マシン第一弾が発表されました。
個人的には最も見ごたえのあるチームだと思っているマクラーレン。
さて、どのように変わったのか?
ワクワクが止まらない‼️
■チームデータ & 背景
運営企業 :McLaren Racing Limited
チーム名 :マクラーレンF1チーム
シャシー :マクラーレン
エンジン :メルセデス
20シーズン、ジェームス・キーの加入により戦闘力が向上したマシンMCL35で、8シーズンぶりにTOP3に返り咲いたマクラーレン。
今シーズン、パワーユニットをルノーからメルセデスに変更したことで、パワーユニット自体のレイアウトにどうアジャストするのか?
アジャストするだけではなくて、可能な限り方向性も変更するのか?
前年のマシンを振り返りたい方はこちらからどうぞ!
■新車(MCL35M)
■ファーストインプレッション
今年のF1は昨年ホモロゲーションされた構造からは、基本的に変更が出来ず、
変更する場合は与えられたトークン(チケット的な)を使う必要があります。
ただし、トークンを使って変更できる箇所はおおむね1つだけ。
ホモロゲーション:「承認」
世界的なCOVID19の感染拡大による参戦チームの財政負担を減らすため、20年から21年にかけてマシン開発を抑制するレギュレーションを発行。
20年シーズン中のマシンをFIAに対して「翌年使用するマシン」として申請。承認されたものを使う必要がある。
この条件が前提の中で、パワーユニットをメルセデスに乗せ換えることで、マシン後半の構造変更にトークンを使い果たしてしまうマクラーレン。
基本的には大きな構造の変更はできず、変更して良い空力パーツのみを変更することになります。
なので、マシン前半部分は、昨シーズン末のマシンからのキャリーオーバー。
しかしながら、後半部分の空気から、マシン設計の思想に強い意志を感じます。
1、キープコンセプトなフロント
まず、フロント回りで昨年のシーズン前画像と比較すると、フロントノーズが目に入りますね。
そう、昨年レーシングポイントも採用した、
細いノーズと先端が少しラウンドした形状。
そしてラウンドしたノーズ下でウィングを支えるステーという
メルセデス型のノーズに変更されていることが分かります。
ただし、これは昨シーズン途中に一度投入していたノーズだったりもしますので、基本的にはキャリーオーバー
ノーズは空力パーツではなく構造物なので
マシン後部の構造を変更しているマクラーレンは
昨年のうちに投入しホモロゲーションさせていましたね。
このノーズの特徴は何と言っても、
フロントウィングの後方への空気の取り込みボリュームを増やすことができるという点。
これは
「ノーズの下から車体の下に整流した空気を取り入れる」
というコンセプトから、
「まずは大量の空気を取り入れて、バージボードなどで整流する」
というがメルセデスによって生み出された新たなトレンド。
マクラーレンもこれにしっかりと追随してきています。
そしてもうひとつの変更が、ブレーキのエアダクトの形状変更。
昨年よりもダクトの下部を絞って上部を拡大しているので、ここでもより地面に近い部分の空気を後方に流す。という意志を感じますね。
2、メルセデスへの変更で劇的に変わったマシン後半
A:フロアのレギュレーション変更
マシン後半でまず触れないといけないのは、レギュレーションによるフロアの変更。※(A)の部分
これは今年、よりリア周りのダウンフォースを抑えるために、フロアのリア部分の幅やスリットなど複雑な形状に対して、レギュレーション変更によって制限が入ったため。
ジェームス・キーさんも、「これによって失うダウンフォースは少なくない」と発言されている通り、各社この部分の対応には苦慮しそうです。
B・C:メルセデスへの変更でシェイプ
そしてここからが、パワーユニットをルノーからメルセデスに変更したことで生まれた大きな変化。
Bの部分に注目するとわかりやすいですが、
サイドポット直後がもの凄い勢いで絞り込まれています。
これは絞り込んでも熱処理的に問題が起こらないメルセデスパワーユニットの恩恵もあるはず。
更に後方※Cの部分(実は若干膨らんでいる部分もありますが、ここはパワーユニット構成の問題)とにかく前半部分がコンパクトなメルセデスパワーユニットによって、車体全体をナローにすることが出来ていますよね。
サイドから昨年マシンと比較すると、
サイドポッドの下部がよりえぐれていることと、
取り入れた空気を真下に落とすという昨年のウィリアムズやメルセデス同様のコンセプトに変更されています。
特にこの部分がこの構造になることで、サイドポッド下部から取り入れた空気、そして上部から強制的に下方へ落した空気を少しでもフロアを経由させて、リアウィングの下から高速で送り出したいという思想。
下の写真でわかるのは
Eの部分吸気口の下の抉れが強くなっているという事と、
Fの部分
よりマシンサイドがよりナローになっているということ。
※水色のラインの下の文字がより立って見えていることが分かると思います。
3、ヘイローのマウント部分が車体上部の清流を担う
上の写真赤丸で囲んでいる部分。縦方向のフィン形状になっていて、更に昨年のマシンよりも後方まで延長されていることが分かります。
これによって車体の側面の空気をより強い意志で後方へ導いているものと思われます。
この辺りは、空想でしかありませんが
パワーユニットがコンパクトになったことでフロア上部に十分な空気を導けるようになったことからも、上部の空気はしっかりと上部でコントロールすることが出来るようになったのではないかと。
4、レーキコンセプトの変更
これはもう、「そんな風に見える」という世界なのかもしれませんがw
メルセデス型のノーズへの変更、そしてパワーユニットの搭載によってマシン後方の哲学もメルセデスに近しくなったMCL35M。
これまでレッドブルに代表されるようなハイレーキ(車体が全体的に前のめりになっていることでダウンフォースを生み出す)コンセプトが若干薄くなっているのではないかと。
レーキ角(リアタイア前のフロアの高さと、フロントタイア後ろのフロアの高さの差)が昨年のマシンよりも若干緩やかになっている。気がします。
5、総括
全チーム中唯一、パワーユニットメーカーを変更したことでマシンの思想が大きく変更された感のあるマクラーレンMCL35M
しかしながら、レギュレーション変更や構造物のホモロゲーションルールに適合するために、昨シーズンから準備を進めてきたジェームス・キー率いる開発チームの周到さを感じます。
今年は、第二集団から一歩抜け出る存在になる可能性、レースによってはレッドブルを食う。そんなことさえ期待できるのではないでしょうか?
「マクラーレン・メルセデス」の名を冠して、強者復権なるのでしょうか。
今日はここまで!!
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