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開幕戦から見えた、メルセデスとアストンマーティンの憂鬱

F1 2021シーズン開幕戦から1週間以上が経ちました。
開幕直前に戦力予想をしましたが、当たっている部分と外れている部分が見えてきました。
今回は特にローレーキコンセプトを採用した2チームから見えたレギュレーション変更の影響を書き留めたいと思います。

ローレーキコンセプトが戦闘力に悪影響??

開幕前の予想では「メルセデスはレッドブルに相当追いつかれている」と記載しました。その理由は、レッドブルが昨年のリア周りのトラブルを解消しながらも、フロア面積減少に対応して来たこと。
そして何よりHONDAパワーユニットの大幅進化したこと。
と考えていました。

ただし、
事前のテストではメルセデスとアストンマーティン共にリアが若干不安定ではあったものの、進化したメルセデスパワーユニット特にタービン周辺の不具合があったことや、それにともない本格的に出力を出していなかったことから、
開幕戦では高い戦闘力を発揮、やはりメルセデスが半歩前に居るのでは?と考えていました。

この予想。浅かったようです。

ハイレーキ VS ローレーキ

近代のF1はレーキ角とホイールベースの理念について大きく2つのトレンドに分かれています。

一つ目が、レッドブルに在籍する鬼才エイドリアン・ニューウェイが先鞭をつけトレンドとなっていたショートホイールベース×ハイレーキコンセプト。
ハイレーキは簡単に言うと、車体後方を高く、前方を低くすることで、フロアの下の流速を高めることでより多くの負圧を生みだすことを目指した設計。※より詳しい解説はネット上の沢山の記事がありますのでそちらに譲ります。

もう一つが、メルセデスが採用している、低いレーキ角ながら、細いノーズで大量の空気をフロアに導く。フロア面積当たりに発生する負圧は少ないもののフロアの面積を大きくすることでダウンフォースを稼ぐと同時に長いホイールベースで物理的なグリップを高めるというコンセプト。

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2019年のマシンで比較
メルセデスのマシンの方が、ホイールとホイールの間が長く、車体後方の持ち上がり角度(レーキ)が緩やかであること。レッドブルはマシン全体が前傾していることが分かると思います。

ハイレーキのコンセプトは、空力的なアプローチであるが故に、風速や風向に影響される。また、フロア下を流れる空気が横から漏れないよう、これまた空気の壁(エアカーテン)を作ってシールする必要が出てくるので、ますます空気の流れを掌握する必要が出てきます。

2020シーズン。ハイレーキを突き詰めたレッドブルのマシンはリアがナーバスになり過ぎて、コーナーの途中でリアの加重(ダウンフォース)が突然抜けてしまうという現象がテストから頻発。やはりこれ以上空気の流れをコントロールするのは無理なのではないか?
という話が生まれました。

レーシングポイントの躍進による勢力変化

そして、昨年。
メルセデスのコンセプトを踏襲、フロントノーズからローレーキのコンセプトを採用したアストンマーティンの前身であるレーシングポイントが高い競争力を発揮したことで、
急激に「ハイレーキコンセプトはもう古い」「エイドリアン・ニューウェイの時代は終わった。」と一気にハイレーキ限界説が本格化したように思います。

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フロアレギュレーションの変更

そんな中で、マシンのダウンフォースを10%程度削減することを目指し、FIAがフロア面積に制限を加えるレギュレーション変更を発表。高いレーキ角を採用し、空力によって高いダウンフォースを稼いでいた空力マシンは大きくダウンフォースが失われ、メカニカルグリップへの依存度が高いメルセデスとアストンマーティンは失われるダウンフォースが少ないのではないか。

少なくとも僕はそう思い込んでいました。

ところが、
ふたを開けてみると
フロアの面積が減少したことが、空力に頼ったハイレーキコンセプトではなく、
フロア面積に頼ったローレーキ&ロングホイールベースマシンであるメルセデスとアストンマーティンの方がより大きな影響が出ているようです。

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こうして文字にすると、面積に頼っていたローレーキ&ロングホイールベースマシンが影響を受けるのが当たり前に思えますが、まったく想像が出来ていませんでした。。。

これまで、ホンダやルノー、フェラーリとは一段違うパワーが出ている。と言われてきたメルセデスですが、本当に良いマシンを作っていたことが改めて理解できます。

同じパワーユニットを搭載するウィリアムズがダントツの最下位を走っているので、「パワーユニットではない」という事はなんとなくは理解していたつもりですが
本当に、やはりマシン自体で重要なのはトータルパッケージなんですね。

正直、開幕戦を見る限りは今年はレッドブルが優勢でスタートしました。
今後もHONDAパワーユニットの進化と高いダウンフォースによって今後の一般的なサーキットで、より強さを発揮することになると思います。

ただ。
僕はF1に対して常にビジネスやマーケティングを重ね合わせて見ています。その観点からメルセデスというチームは非常にロジカルにやるべきことを理解し、最短速度で、間違いなくやるべきことをやる。
それが可能なチームだと思っています。

おそらく、フロアの変化が自らのチームにどのような影響を及ぼすか、そしてハイレーキコンセプトのマシンに対してどのような影響を及ぼすのか。
当然理解しているはずで、このままその影響をもろに受けて弱くなってしまう。
そんなことを許すはずがない。

そう信じています。

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開幕予想でも記載した通り
今年はレッドブル優勢の序盤から、どんなスピードでメルセデスが追い付いてくるかが見どころになりそうですね。

マシンのアドバンテージがあるときにしっかり勝つ。
レッドブルは数年ぶりのマシンアドバンテージを活かせるかどうかというチーム力が問われるシーズン。序盤は絶対に取りこぼしは厳禁。
開幕戦は、さっそくレッドブルが取りこぼしをしてしまったという印象です。開幕戦の4コーナーでの追い抜き。これが最終的な順位の決定に大きな影響を及ぼす可能性も大きいと思っています。

そして開幕から2週間の休息。これも個人的にはメルセデスに有利に働くのでは?
まだまだ始まったばかりのF1から目が離せませんね。
楽しみに4月16日を待ちましょう。

今日はここまで!!

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