割れたグラスは2人の未来を描いていたのかもしれない
そろそろ夏が終わろうとしていたあの日
窓辺のPCの前に置いていたグラスが落ちて割れていた
レースのカーテンが風に吹かれて、グラスを落としたんだろう
君との旅行中に偶然行った酒蔵のイベントで貰ったお揃いのグラスだった
普段なら、割れたグラスはすぐ捨ててしまうのに
一生懸命 割れた破片を集めて修繕した
このグラスは、ちゃんと直さなきゃいけない!って思った
グラスが割れたままだと、君との恋も終わってしまう感じがして
丁寧に、丁寧にグラスを修繕した
どうしても元通りに直したいと思った
「一緒に行った酒蔵のあのグラス、割れちゃった」
「でも、頑張ってくっつけたよ」
君は
「え~?そうなの?」
って....
俺は
「だって、思い出のグラスだからな」
「大切なグラスだよ」
って言った
今思うと不思議な感じだけれど
2人の行く先を描いていたのかもしれない
1度割れてしまったグラスは
もう完全には元に戻らない