-バツの理由-
地元に戻ってきてしばらく経った頃、妹からある男性を紹介された。
妹の直属でない上司の友人。
うん、かなり遠い。
「離婚歴はあるがイイヤツ」という事前情報どおり、彼はとてもいい人だった。
彼は県外に住んでいたけれど、海外出張や東京の実家に帰省する際に行くから、と紹介されて比較的すぐ会うことになった。
彼の知り合いがやっているという居酒屋で、あれよあれよと日本酒一升を空けてしまった私たち。
会って知らされたバツ2だという事実も、あまり気にならないほどに楽しく酔っ払った。
電車の駅まで送ってもらい、別れ際に予想外にも情熱的なキスをされる。
簡単に恋は始まった。
2回目のデートでも、特に気になる点が出てくることはなかった。
彼は、ホントにいい人。
一緒にいて、ましてやお酒の席で、これほどまでに違和感を感じない相手も珍しい。
だからこそ、彼が二度も結婚に失敗していることがにわかに信じがたかった。
3回目のデートで決めようと思った。
このまま結婚前提のお付き合いを始めるのか、それともご縁がありませんでしたとなるのか。
2軒ハシゴして、バーに移ろうと誘い出し、ホテル街に迷い込む。
「俺が勇気出せばいいだけなら行こう!」
誘い方も好きだった。
どこにホテル街があるのか知っているのは私の方なわけで。
・・・初めて見る彼の無理なとこ。
離婚原因は、2回とも奥さんの浮気だったらしい。
申し訳ないが納得。
私もきっと、浮気しちゃう。
彼が3度目の結婚をしたと聞いたのは、私が離婚するちょっと前。
私に幸あれ。