-きみはペット-
20代前半にして、成人していたかも忘れた男の子を飼っていた。
身長が高くて、かわいい顔立ちの彼は、人妻となった同級生と不倫をしていた。
おとなしい性格だったが、やっていることは結構エグイ。
その見た目の爽やかさから想像できなかったが、それも若さゆえの暴走だろう。
中々会えない不倫相手だけでは有り余る性欲を処理しきれなかった彼を、出会い系で知り合った私が面倒を見ることになったのは、ほんの数週間だったと思う。
当時、車を所有していなかった私は、彼を送り迎えによく利用していた。
街外れのシティホテルで一緒に泊まる予定だった相手が急遽帰り、一人残された私は彼を呼んだ。
コトを済ませた後に、彼に私の友人を迎えに街に行ってもらい、友人をホテルへ連れてきてもらう。
そして彼一人を帰す。
何度もホテルを往復することについて、彼は文句一つ、嫌な顔も見せずにその任務を遂行した。
私は、恋に落ちるのも早いが飽きるのも早い。
彼に対しては、「好き」という感情より「かわいい」し「便利」という想いしかなく、彼のことを面倒だなと思うようになるのも必然であった。
メールや電話を無視しているのに、連絡を続けてくる彼。
「無視されていることにいい加減気付きなさい」
面倒見の良かったお姉様(私)の豹変。
ただ飽きたという理由で、懐いたペットを放置した挙句、簡単に捨てた。
最近また、そういう男の子が欲しいなと思うけど、アラフォーの自分に懐かせる自信がない。
お金で買うしかないんだろうな。
私に幸あれ。