-酒乱-
「酒乱」という言葉がある。
その名のとおり、お酒を飲んで乱れることを指しているが、良識ある大人であれば自らの許容量は把握し、乱れることは避けるべきである。
お酒を飲んで暴力を振るうなどあってはならない(お酒を飲まなくても暴力はあり得ないが)。
そんなことを言いつつ、この私も恥ずかしながら、周りの迷惑も顧みずにお酒で乱れたことが何度かある。
乱れ方は人それぞれ色々あるだろうが、私の場合、少し面倒くささが増すようだ。
基本的にお酒を多量に含むと愉快になり、ケラケラと笑い同じ言動を繰り返すのだが、その先は注意力が散漫となり、普段以上に動きが大きくなるためインテリアの破損等も免れない。
店員や友人に必要以上に絡んでいることはなんとなく知っている。
そんな面倒な私を、怒りもせず受け入れてくれた人がいた。
異業種交流会という名の華やかなパーティーに参加して、育ちの良さそうな男性3人組と出会った。
その日の内にカラオケでみんなで騒いだ後、帰りのタクシーの中で手を握られた。
実はこの時、2人の男性と一緒に帰った私は、右と左でそれぞれの男性に握られていた。
刺激的な状況に酔いしれていたが、個別に誘われたのは1人だけだった。
彼は、2,3歳下のMRだった。
顔も名前も忘れたが、年下の割に懐の大きなイメージしかない。
彼を含め、出会った日とは別のメンバーで合コンをした際に、私はやらかした。
キャパを相当に超えたらしい私は、彼を前に乱れまくったらしい(私にほとんど記憶はない。)。
そんな私を、彼は友人と共に介抱してくれ、後日笑い話にしてくれた。
それは、宿泊場所の確保のためによる優しさだったのかもしれないとも思う。
彼は浦和に住んでいて、帰りが遅くなる日は決まって私の部屋に泊まっていたからだ。
それでも、酒乱の私を目の当たりにした後でさえ、それまでと変わらず接してくれる彼に恋心は増すばかり。
でもそんなデキた男、私がパートナーになんかなれるわけないのだ。
私に幸あれ。