女子高生足元

-センパイ-

私はきっと、年上の男性の方が合っているんだと思う。

長身で、なんでも要領良くこなす長子の代表のような女であるがゆえに、あまり他人に弱さは見せられない私。

それが、年上の男性であれば、素直に甘えることができるかもしれないからだ。


初めて好きになった年上の人は、それでも一個上でしかなかった。

一般ピープルのくせに、無理して中高一貫の女子校に進学した私は、多分中高を共学で過ごした女子に比べ、男性に対しての免疫は低かったはずだ。

だからこそ、少し優しくされただけでも恋に落ちるのだ。

いや、どんな数の男性を相手にしたところで、今もそれは変わらない。


周りのお嬢様に水準を合わせて遊ぶため、私は人知れず地元でアルバイトをしていた。

同じ店にアルバイトで入っていた彼は、もちろん別の高校に通う一つ上の、年齢もバイト歴も「先輩」。

少女マンガで当たり前のようにあるそのシチュエーションを、アルバイト先で初めて体験する。

せんぱいっ♡

彼は、後輩の私に優しく指示指導するだけではなく、もちろん至る所で手を貸してくれる。

夢見た想像通りの「センパイ」だった。

そこでのアルバイト自体は長くは続かなかったが、彼とは彼が高校を卒業してからも連絡を取り合った。

一足先に進学した彼に車で迎えに来てもらい、バス停に並ぶ学年を超えた女子達に見られながらの帰宅は、なんとも言えぬ恍惚とした快感だった。

彼氏の車によるお迎えは、女子校における一大ステータスだ。

それまで車を運転する男性を父親しか見たことのなかった私にとって、彼の運転する姿はときめき以外の感情を排除したし、男子学生のほとんどが一度はハマる、シェイカーを振っての彼作のカクテルに酔い知れていたのも当然だ。


私達女子校育ちは、大人になってからの同窓会の楽しみなんて何一つない。

どれだけ大層な男を掴まえ、どこに住み、どんな生活をしているのかと、マウンティングする場でしかないからだ。

当時の淡い恋心を再燃させるとか、ましてや焼けぼっくいに火が点くなんてこともない。

当時は相手にしなかった人も、この年になれば何かしらの飛躍を遂げている人もいるだろう。

そんな昔なじみの巨大婚活市場を持ち得ない私は、なんだかこれから先の出逢いに圧倒的に不利な気がしている。


私に幸あれ。

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