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【休業すべきなのか】あるキャンプ場オーナーの苦悩 ~今こそ勇気の声を届けたい


日々悩むキャンプ場


新型コロナウィルス感染拡大の中、緊急事態宣言、外出自粛の強化、一部の休業要請を受けて、

私たち一人一人の行動がどうあるべきかが問われています。


このような行動変容の中、キャンプ場各所も今後営業するべきか否かの対処に日々苦慮されています。

ここ数日、複数箇所のキャンプ場と情報交換をし、その苦悩を実際の言葉で様々お聞きすると本当に心痛みます。

昨日のことです。

懇意にしている某キャンプ場オーナーからあるメッセージをいただきました。

このキャンプ場は緊急事態宣言下7都道府県のひとつにあります。


※尚、以下の会話は先方の了解を得ての公開です。プライベートに関わる部分は一部省略しております


変わってきた状況の中、営業を続けべるきか、休業すべきか


「(前略)非常事態宣言や休業要請をうけて、当キャンプ場はどう対応すればよいか悩んでおります。

もし可能であれば相談させてください。

経済的理由などを抜きにして、現時点でキャンプ場は、営業を続けるべきか、休業するべきか。

先週までは、衛生面に気をつけながら息を抜く場所があっても良いのではないかと思っておりましたが、

現時点では大分状況が変わってきたのではないかと思ってます。(中略)

ご意見を伺うことが出来ましたら幸いです。」

短文でありながらも、直面している事柄の苦悩を間近に感じるものでした。

私も早計には答えられず、一度よく噛み締めたのち、以下のように返答をさせていただきました。

この答えはすべてのキャンプ場に当てはまるものとしてではなく、

あくまでもご相談いただいたキャンプ場様に応えるものです。

「ご連絡、そしてご相談ありがとうございます。

さまざまな状況下、みなさまのご心情、経済事情などを思えばただただ心痛みます。


その上で・・私の現在の結論は「休業」の選択をお願いしたい、です。


なぜならば外出自粛の目的は、新型コロナウイルス蔓延阻止である以上、

公共の必要性を帯びていないこと以外の行動を促進してしまえば、その大きな目的の破綻をおこしてしまうからです。


みなさまのお仕事のそのものではなく、

キャンプという行為をみつめると、それは「レジャー」であり、字のごとく「余暇」であって、

その行為自体は緊急時での公共性は帯びていません。


今開業を続けてしまえば、もしかしたら理解を得ていない方からの批判の対象となってしまうかもしれません。

また実際、開業を続けることが暗に外出と移動を喚起していると捉えられてしまったら、

それに対してなんら正統性を求めることができないのが「今」なのだと思います。


あくまでもこれは「今」です。

なぜ「今」かといえば、それは緊急事態宣言のもと、ウイルスの拡大を防ごうとしている現在進行形だからです。

これがいずれ減少傾向になった時、その時にはまた違う空気感や流れが起こり、フェイズが変わっていくと考えられます。


私のようなものが休業してくださいというのはある意味無責任極まりないと思います。本当に。

しかし、今は心を鬼にしてそうお伝えしなければこの国難を防げず、そして多くの方の健康と命を守っていけない、苦渋の上での返答です。

(中略)

〇〇さんにこういう決断を迫るなんて、本当に心苦しいです。

このようなお悩みを話されたのは、それだけに真摯に思いつめていらっしゃったことゆえと察します。


どうか独りで悩まれず、私のような者でよければ、不満でも不平でも遠慮なくぶつけてください。

その上いまいちど心整え、中長期をどうしていくかの見極めを行ってみてください。

いずれの結論であっても〇〇さんのお考えを私は支持いたします。

(後略)」


これに対してしばらくして以下のような返事をいただきました。


「ありがとうございます。心動かされました。

(中略)

多分・・・私自身SAMさんに背中を押して欲しくて、連絡させて頂いたのだと思います。

おかげさまで腹を括ることができました。

私の家族とも共有し、同じ悩みを持つ仲間とも共有しました。

相談してよかったです。

本当にありがとうございます。

(後略)」


私も意見をころころ変えてきた一人


腹を括るということがどのようなアクションになるのかはこれからです。

しかし前述の通り私はいずれの結論であっても支持します。


強制ではない以上、なにが正解なのか、なにがオンリーワンの答えであるかは誰にも判りません。

また、全国にあるキャンプ場において、すべてが一律の環境にはなく、

一律ではないゆえ、考えにも行動にも差異が起こるでしょう。


私自身を振り返っても、2月、3月、主張していたことが大きく変わっており、

まさに「朝令暮改」といわれても仕方がありません。

その責任を知らぬふりを出来ず、日々悩んでいました。

そのくらい場面場面で大きく選択肢の変更を求められ、さらには行動変容を求められてきた、

まさに、過去にはない混乱の数か月であったと思います。


どうしたらキャンプ場の心の痛みをやわらげられるのか


このオーナーがおっしゃった「腹を括る」の一言。

キャンプ場だけでなく、利用していく側のキャンパーも腹を括ってどういう選択を為すか、

今後、日に日に変わっていく世情と「相対的」に鑑み、都度都度の判断をしていくしかないと思います。


キャンパーはキャンプ場に行けないことがストレスにはなっても、

それを生業としている方々は別にして、直接的な経済的打撃を被ることはありません。

だからこそ今は動くことの我慢の時です。

いっぽうキャンプ場は、このままでは死活問題となってしまう可能性もあります。


キャンプ場の現在の苦悩を少しでも和らげる、そして未来に向けて勇気づけることが我々から何か出来ないか・・

体を動かしてキャンプ場へ向かうことは難しくとも、

なんらかの「声」をキャンプ場へ届けることは今の時代可能です。

新型コロナウイルスとの闘いで、キャンプ場がキャンプ場として悩むだけではなく、

私たちもその心の声を共有し、ともに悩み、できたら苦悩を少しでもやわらげ、

どうにかして未来に向かう勇気を「声」として渡せないかと思います。

いままで、多くの歓びを与えてくれたキャンプ場へ今こそ感謝の意をもって。

キャンプ場の語源であるラテン語のカンプス(campus)は平らな場所=それは戦時の野営をする場所、つまり戦場そのものを意味するものといわれます。

キャンパーも今は「戦友」として、キャンプ場と共にありたいと思います。


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