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最終章:できたよ。学び旅@プノンペン

前回、前々回からのテーマ、ついにStaff Trip@プノンペンの本番です。
首都プノンペンには、美味しい、おしゃれ、トレンド、カルチャーを牽引してきたなどなど、いろんな形容詞がつくところがたくさんあって選ぶのが難しい。でも、今回は私たちが持っている課題感、2024年に磨きをかけたいところに照準を当てて、学びの物語をつくり、それからプノンペンの尊敬する先輩ホテルや友人のお店にお願いをして日程をつくりました。学びの骨組みに合わせて、盛り盛りに盛り込んだ2泊3日、さあ、行ってみよう!
この視察リストが、結構プノンペンの今おすすめしたいリストでもあるので、皆さんプノンペンを旅するつもりでぜひ〜。あと、物語が安定的に長いので、最後の「旅のそれから」だけ読んでいただくのも、アリです。


旅、本番、1日目。

まずは、今プノンペンで大人気のカフェ、レストランMaloopコンポントムから直行。
(車中は安定のカラオケだったそう。私は去年の反省を生かして、プノンペンで待つ。)
クラシックな建築と緑溢れる庭にカフェとレストラン、ギャラリーなどが併設。首都の日々の暮らしで自然を感じたい大人たちも映える背景でおしゃれにキメたい若者層にもリーチしていて、“自然とともに“というメッセージを受け取りやすく発信している場所

建物の2階から。エアコンなしの空間で楽しませるって結構すごい

私たちSambor Villageの持つ特徴が、今、都市部の人にとても求められているのだ、ということを体感してほしいなと思って。コンポントムでは自然は日々の暮らしの中に当たり前にあるのだけれど、都市部ではそれがある種の贅沢で、ファッションでもある。お客様がSambor Villageに来てくれる理由をみんなで共有できたらいいなと。

そして、お客さんになってみる経験も重要

かつては、このMaloopの2階で友人がギャラリーを営んでいて(今はもうない涙)、古い建築をこういうふうに再定義すると美しいよね、という話をするために訪問。一緒に行ったら、メンテチームが思わぬ食いつき。アートよりも、床と壁、電気の設備に。
私だけできたら、ここまで細かく意識に上らなかったよ、という部分が、みんなで来ることで表に出てくる。こういうボーナスが“みんなでみる“のいいところ。

床のクラシック様式タイルにワックスかけているかの検討

そして、コンポントムでは手に入らない、資材が使われているのを発見。これがあると、壁と天井の仕上がりのレベルが変わる。これ買ってください、と。やっぱり、現場で見ている人たちは見てるところが違うのよねえ。

このピロピロテープが、鍵を握るらしい

続いて。先ほどのMaloopと同じグループが運営しているKininへ。ハッピーアワーの間に、カクテルと前菜を体験しに。

ここもまた建物と庭の空気がとても良い
そして、前菜もまた、とても美しいのである

ここで、乾杯してから、この1年で1番思い出に残っていることは?の大発表会を開催。
「日本人のインターンたちが来てくれて楽しかった!」
バー担当の英語を話すスタッフがいう。やっぱ誰かが来るってエンタメだよね。
「2023の洪水の後に、みんなで掃除をしたこと」
そうだったねぇ、ちょっと忘れてたけど洪水あったわ。
「めっちゃ笑ったことも、泣いたこともいっぱいあって、それをみんなで経験したこと」
本当にねぇ、オーナーすぐ泣くしねぇ。苦労をかけるわ、みんなに。
「Booking.comのレビューでカレーがおいしくないって書いてあったこと」
キッチンのママ、そっか!職人だねぇ。普段寡黙だけど、刺さってたんだな〜。
一人一人聞きながら、2023年の洪水から駆け抜けた乾季の繁忙期を反芻する。2023年12月から2024年3月まで、実質3ヶ月以上、オーナー不在の中、本当に“みんながホテルを動かしている“っていう実感があったよね。
浸っている私の向こうで、このカクテルって何使ってるんだろう?この配合面白いけど、ちょっと酸味が強すぎる?あの建物、庇と瓦だけ新しくしたんだな、とか、リアルな話で盛り上がっている。みんなには完敗です。

1日目はここでは終わらず。本日のラストはディナー。ある意味この度の最初の山場。
尊敬する友人でもあり、私たちの暮らしに欠かせない街のイタリアン・ベッロさんへ。

ここではパスタとピザの研究が最大の焦点。友人であるオーナー夫妻のご好意で、特別に、対面オープンキッチンを間近で見せてもらったり、キッチン・バースタッフたちとの対話をしてもらったり、本当に感謝。

いつも本当にありがとうございます!

そして、実はこの時の出来事が、後にホテルで咲く。やっぱり、習うよりも“まねぶ“ことがすごく上手い人たちにとって、やっていることを見せてもらうのが何よりも効く。
まあ、それを発見するのは、それから少し後のお話。

学びの2日目

2日目@プノンペン。今日も朝から学びです(旅行じゃないね、ごめんねみんな)
1箇所目は、プノンペンでのサブオフィスというほどに通い詰めているSelapak coffee and eatryへ。

入り口に書いてあるbest coffee in town は伊達じゃない。
オーナーはいろんなところを旅して、今のトレンドを学んだというカンボジア人の素敵なお兄さん。確かにコーヒーはもちろん、サラダやフルーツ系のフードとドリンクの提供の仕方が上手い。もちろん、味も美味しい。ここでは魅せ方を吸収してほしいな。

オーナーさんにも偶然会えて、お話してもらう

お昼を終えて、自由時間?いいえ、まだです。
午後は、尊敬する格上の、その佇まいを学ばせてもらいたいガーデンヴィラのホテル、iRoha Garden Hotel & Resortさんを特別に見学させてもらうことに。

普段、宿泊者以外は入れないこちらのホテル。同業の大先輩であるオーナーさんにお願いして入れてもらい、私たちと同じように美しい熱帯の庭と、その中に建つ雰囲気のある客室を見せてもらう。こちらは、先輩ホテルの現場のマネージャさんたちとうちのスタッフたちだけでGo。同業種での交流もコンポントムではレアな機会だから、ここはもう皆さんにお任せです。と言ったら、きゃーっとはしゃいで進んでいく背中を見ながら、こういう同じ目線で現場同士の交流ができるって幸せだなぁと。

やっぱり現場同士が直接交流するって刺激になるよね

戻ってきてから、「ひとつひとつお部屋のテーマが違ったの」とか「ラグがカンボジアの織物ですごく良かった」とか、いろいろ話してくれて、そういう視点で見ているのか〜とむしろこちらが勉強になる。

さらに、夕食前。もう一踏ん張りの、セクション別活動!まずは、Barチーム。ホテルのバーで提供させてもらっているカンボジア産のクラフトジンMawsimを製作する工房とバーのツアーに参加させていただく。ここがまた素敵なんだ。

World Gin Award 2023 で金賞を受賞したこのカンボジア産のジンはホテルでももうひとつのカンボジアメイドのクーレンジンと並んでドリンクの花形。しかもそれが巨大な工場ではなく、どちらも小さな工房でほとんど手作業で製造されているというのが小気味よいし、大きな看板を背負っていない我らにも通じるところがある。その小さな場から突き抜けるような世界観を、お客さんに伝える最前線のメンバーと感じにいきたかった。

素材のひとつひとつの香りを教えてもらう

一方その頃、ハウスキーピングチームは・・。今回2泊させてもらったLa Choniqueで。

小ぶりだけれど設えは特上。室内のひとつひとつが美しいし、過不足なく寄り添われている感じがする。スパもプールも庭もないけど、それを逆手にとって街に溶け込む姿で価値を出している尊敬するこのミニホテルで、なんとハウスキーピングの様子を見学させてもらいました!後から聞いたら、見学のみならず、一緒にやらせてもらってた!こんなこと、普通ないよね。驚き。そういうオープンな精神も愛される秘訣なのだろう。終わった後には「うちではこうだけど、ここではこうだった。シーツの重ね方がこう違う。うちもこれはやりたいかも。この洗剤を探そう」などなど、興奮が続いている。

さらに、そのときメンテナンスチームは。
プノンペンに来る前から相談していた、スイートルームの改装用の壁材の買い出しに。

現場で色味を確かめ、必要な量を計算する

この材料もコンポントムでは販売していない。当たり前の光景に見えるかもしれないけど、こうやって実地で色味を検討できる場所まで普段は160kmあるのですよ。ものの20分で方針と色味と見積もりが決まり、戻ったら早速始めようと勢いが出る。やっぱりみんなで見るって最高だ。

さらにさらに、その頃、別チームは。
TukTukでキッチン資材の卸元に資材調達。普段プノンペンにいるのは私1人のため、みんな「これ購入お願いします〜」って気軽に送って来るけど、その大変さを体感してみなされ!と思って実際に仕入れ先、数箇所を一緒に回る。でも、あれ?こういう日に限って全てがスムーズに行く。普段は「え、パルメザンチーズこの銘柄じゃないよ」とか、もっといろいろあるのに!ちょと悔しいと思いつつ、tuktukでの移動中に、かつてメンバーがプノンペンで働いていた時の失敗エピソードなどを聞いて、大爆笑。

普段シフトが表裏の2人

日頃シフトの都合で一緒に過ごす時間がないスタッフたちもいる。地元では乗らないTukTukから街を見て「プノンペンの車はかわいそうだよ。せっかくかっこいいのに、ずっと駐車されて。TukTukの方が走り回ってて楽しそう」と。なるほどねぇ、その視点はなかったけど、確かにそうだわな。こういう他愛もない話から、みんなの視点と思想が垣間見られる。これが酒なしでできる、こういう時間も日常ではなかなかないよね。

こうして、全ての学びのセクションは終了。怒涛の2日間、お疲れさんした!
最後に、今プノンペンで広く愛されるSumi Labさんで打ち上げ。まあ束の間、非日常を楽しんでくださいよ〜。このあとから明日の午前中は、いよいよフリータイムだから!

過去5年で初めての日本食体験

このあと、予算抑えめの1次会を我慢してくれた彼らを、ローカル焼肉の自主2次会へ見送り、学び要素ゴリゴリめのStaff Trip 2024は無事に終了。ここまでお付き合いいただいた皆様、ありがとうございます!

旅のそれから

そして、ここまでが2024年6月の話。
この旅のあと、当初からやると決めていたSuite roomの改装以外、Sambor Villageの日々はそんなに変化しているようには見えませんでした。表面的には。
でも実は、表からは目につかない小さな小さなところで、変化は始まっていた。そして、その変化が目に見えるうねりになって出てくるのは2024年の後半のお話です。

ホテルとして「ありたい姿」をどうやって、そこで働くみんなで醸成するか。
オーナーは話す言葉も、育った文化背景も違う外国人であり、働くチームも同じ地域の出身ではあるけれど、日々の生活環境は違う。パソコンに手を触れている時間が長いメンバーもいれば、牛や魚や川の方がずっと距離が近い人もいる。同じものを見ていると思っていても、それぞれが目にしている世界は実は全然違う。1人ひとりの毎日は、本当に全然違うんだ。でもホテルという場では、その違う毎日を生きる人たちが集まって、ひとつの世界観でお客さんを迎える。
私たちが、今のこの世界に提案したいことは何か。
このホテルを通じて見せられる姿は何か。感じてもらいたいことは何か。
大事なことほど、言葉では、難しい。
でも、同じ空間、空気のなかに立つことで、それぞれがそれぞれの方法で受け取る。
あいまいで不確実に見えて、それぞれの人という土壌に降りて、違う芽が出てくる。
その芽が育って、その場所の空気が醸される。

この2024年のStaff Tripも、半年以上経って振り返ったときに、大きな大きな財産になりました。この旅で“空気を感じる“ことに力を貸していただいた、それぞれの場所を育てる素敵な先輩、友人たちに改めて、本当に本当にありがとうございます。

どんな変化があったかは、また、次の物語で。




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