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【短編小説】優しい大人への旅路

「……なるほど。それは確かに、そうかも知れませんね」
「ええ、まあ、そんな感じです」
と、私が言うと、彼女は、にっこり笑った。
「どうも、ありがとうございました」
私は、彼女の笑顔を見て、心が軽くなるのを感じた。私の思い過ごしかも知れないけれど、この人なら信用しても良いような気がしたのだ。それに、今朝は、何だか気分が重かったから、誰かと話してみたかったということもあった。
「私でお役に立てることがありましたら、いつでも言って下さい。私、あなたの味方になりますよ」
と、彼女が言った。
「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですから……」
私は礼を言って、頭を下げた。
そして、もう一度だけ、彼女を見た。
彼女は、まだ微笑んでいた。
その顔には、先程までの厳しさはなく、ただ優しいだけの表情だった。
私は、ふっと思った。
この人は、何か辛い経験をしたことがあるのではないかしら?
だから、こんな風に、他人を思いやれる優しさを身につけることが出来たのではないだろうか……。
そうだとしたら、私よりもずっと大人なのだなぁ、と、私は思った。
もし、私が大人になった時に、今の私のような優しさを持てるようになるかどうか、ちょっと自信がない。多分、無理だろうと思う。
だって、この人に較べたら、私の悩みなんて、取るに足りないもののように思えたから……そう思うと、急に恥ずかしくなった。
さっきまで、あんなに悩んでいた自分が、馬鹿みたいに思える。
もう、悩まないことにしよう。悩むこと自体、無駄なことなんだわ……
私は、彼女に挨拶をして、部屋を出た。
ドアを閉める時、また、彼女と目が合った。
その時、なぜか、お互いに笑い合うことができた。

あとがき

本文は「AIのべりすと」で作成、挿絵は「Stable Diffusion」の「ACertainThing」で作成しています。

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