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【短編小説】マスク

「マスクをしていると見えていない部分を脳が補完するんだ」
「……なるほど」
俺の話を聞いたリズは、顎に手を当てて納得したように呟いた。
「まぁ、あくまで仮説だけどね」
「でも、それなら納得できますね」
そう言って、リズは再び考え込むような仕草をした。
「リズ?」
「あ、いえ……なんでもないです」
そして、彼女は何かを誤魔化すかのように微笑む。
なんだろう? なんかちょっと気になるな。
「さっきから何を考えているの?」
俺は少し身を乗り出して、リズに問いかける。
すると、リズは僅かに顔を赤らめて視線を逸らした。
「えっと……その……」
そして、もじもじしながら口籠ってしまう。
そんな彼女を見て、俺はピンときた。
これはあれだ。
きっと俺に関係することに違いない。
だってリズったら、ずっと俺のことチラ見してたし。
間違いない! これはもう告白の前兆だ!! よっしゃあああっ!! 待ってろよ、俺の女神様!!
「もしかしてリズったら、俺のことを考えてたんじゃないのかな?」
俺は内心ニヤケそうになる表情を抑えながら、余裕たっぷりの態度で彼女に話しかける。
「そっ、それは……はい……。実はそうなんですけど……」
俺の言葉を聞いたリズは、観念したのか小さくコクリと首を縦に振った。
「あなたって、マスクを取るとヒョットコみたいな顔してますよね」
「へ?」…………。………………。……………………。
は? なんだそりゃ? 一瞬、目の前にいる彼女が何を言っているか分からなかった。
「ごめんなさい。今のは忘れてください!」
唖然とする俺に向かって、彼女はペコリと頭を下げる。
そして、そのまま逃げるようにして部屋を出て行ってしまった。…………。
一人残された俺は、暫くの間呆然とその場に立ち尽くしていた。

あとがき

本文は「AIのべりすと」で作成、挿絵は「Stable Diffusion」の「ACertainThing」で作成しています。

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