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【短編小説】ブラック企業

「わーい!」
「魔王様、機嫌がいいな」
「えへへ。だって、今日は勇者が来ない日だからね! お昼寝するぞぉ!」
「魔王様、私も一緒に寝るから待ってよ」
「うん、待つぅ!」
魔王城は平和であった。
しかし、それは一瞬で崩れ去ることになる。
「……勇者?」
「はい。勇者です。この世界に悪をもたらす者を排除するためにやってきました」
「あれ? 今日は来ない日じゃなかったっけ?」
「そのはずでしたが、魔王がいると聞いてきたのです。大人しく討伐されてください」
「やだぁ! 私、まだ死にたくないぃ!」
「魔王のくせに情けないですね。では、死んでください」
「うわあああん! 助けてぇ!週一ぐらい休ませてよぉ!」
魔王は泣きながら懇願した。
しかし、勇者はそれを聞き入れず、剣を抜く。
「問答無用。さようなら」
「ひゃあああああっ!?」
「待て!勇者!!」
そこに現れたのは、労働基準局の人間だった。
彼は手に鞭を持っており、それをしならせて勇者を打つ。
「ぐあああっ!?」
「私達は、ブラック企業を許さない正義の組織、労働基準局です」
「よくやったわ! 流石は労働基準局!」
「いえ、当然のことをしたまでです」
「ふざけるな!お前らは一体何なんだ!」
「勇者、あなたは魔王に対して、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準が守られていません」
「ううっ……」
「というわけで、あなたには労働基準法違反の疑いがあります」
「そうか……これで勇者に毎日のように討伐されることはなくなったんだ……」
「はい。これからは週に一回だけになります」
「よかったぁ……」
こうして、魔王は救われ、魔王城には平和が訪れた。
「お昼寝するぞぉ!」

あとがき

本文は「AIのべりすと」で作成、挿絵は「Stable Diffusion」の「ACertainThing」で作成しています。

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