見出し画像

【短編小説】弟子入り

俺は俺の道を行く。
「あ、あの! 私も連れて行ってください!」
「え?」
突然、俺に駆け寄って来た少女はそう言い放った。
「わ、私も……あなたみたいになりたいんです」
「いや、俺は俺の道を行くからダメだ」
「そ、そこをなんとか……」
「無理なものは無理だ。諦めろ」
「なっ!? そんな事言わないでくださいよぉ〜」
泣きそうな顔で懇願してくる少女だが、こればかりはどうしようもない。
俺はこれから引きこもり生活を満喫するんだからな。
「じゃあ、こうしましょう? 私がこの村にいる間だけ、弟子にしてください」
「やだね」
「な、なんでですかぁー!」
「だって俺、魔王を倒したから、もうこれからはゆっくり過ごすんだよ」
「……へ?」
「だから、魔王倒したから、勇者辞めたんだ」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
驚愕の声をあげる少女。
まあ、当然の反応だろうな。
魔王を倒した奴が次の日に普通に過ごしているなんて聞いたら驚くに決まっている。
「でも……」
「いいか? 俺はこれからスローライフを楽しむんだ。だから、付いてくるな」
そう言って立ち去ろうとすると、また少女は声をかけてきた。
しつこい奴め……。
「俺の障害となる者は排除していくつもりだ。例えそれがお前であってもな」
俺は少し強めの口調で言う。
すると、少女の顔色が変わった。
「わかったわ。それじゃ、私と勝負して、あなたに勝ったらついて行かせてもらう」
ふむ、なかなか度胸のある女じゃないか。
良い目をしているな。
だが、それでも俺は負ける気がしない。
「よし、わかった。それでいこう」
こうして俺は、謎の少女との決闘を受けることになった。
決闘と言っても殺し合いをするわけではない。
どちらかが降参するか戦闘不能になるまで戦うというルールだ。
「よし、かかってこい」
俺は手招きをして挑発する。
しかし、その瞬間だった。
「〈ライトニング〉!!」
いきなり魔法を放ってきたのだ。
俺は咄嵯の判断で避けたが、頬をかすったようで血が流れる。
危なかった……。
「おい! いきなり攻撃してくるとか卑怯だぞ!」
「何言っているんですか? これは真剣を使った決闘ですよ? それに私は魔法使いですからね。先に攻撃するのは当たり前でしょう?」
ニヤリと笑う少女を見て確信した。
こいつ……かなりのやり手だと。
俺は勇者として召喚され、この世界に来てから色々な相手と戦って来た。
その中には当然、剣士や格闘家などもいた。
だが、どいつもこいつも弱すぎて話にならないレベルだった。
しかし、今目の前にいる少女からは、並々ならぬオーラを感じる。
おそらく、相当強いのだろう。
だが、それでも俺には勝てないだろうな。
「とどめよ! 〈ホーリー・クロス〉!!」
少女は光を帯びた剣技を放つ。
「うわあああ!! やられたあああ!!!降参!!もうやめて!!」…………。
うん、やっぱり俺って弱いかも。
「ふぅ……これでやっと認めてもらえましたね。って言うか、全然強くないじゃないですか!」
「うるせぇ! お前が強いだけだろ!」
「はぁ……こんなんじゃ先が思いやられますね……あなたの弟子になるのやめるわ」
「なんだと!?」
こいつ生意気すぎるだろ! 俺のことを舐めてるとしか思えない。
よし決めた。
「弟子にしてください」
「え?」
「お願いします」
俺は土下座をして頼み込む。
プライド? そんなもの犬に食わせればいい。
今はこの少女に認められることの方が大事なんだ。
「仕方ありませんね〜そこまで言うなら弟子にしてあげましょう」
「ありがとうございます」
俺と戦った剣士や格闘家、魔王って弱かったんだな。俺、天狗になってたぜ。
これからは謙虚に生きよう。

あとがき

本文は「AIのべりすと」で作成、挿絵は「Stable Diffusion」の「ACertainThing」で作成しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?