サイトの試作(テキストのみ)

 



画像はイメージです


 さて、架空鉄道のミカキューはいずれサイトにまとめようと考えているのですが、個人的にはミカキューがどんな会社であるかとかどんな歴史的経緯をたどってきたのか、どんな運行形態をとってるのかについては「一切の」興味がありません
 俺の興味はただ「どんな線形の線路をどんな車両がどんなセッティングで走っているのか」それだけです。なので基本「そこだけ」を抽出したサイトを作りたいなと考えました
 そこでミカキューのサイトでは一人称視点、つまりある運転士の視点からすべてを語ろうと考えています。この運転士はミカキューの開業前にいわゆるオープニングスタッフとしてミカキューに採用された人で、もともとは国鉄職員。分割・民営化を前に行われた余剰人員整理の際に「国鉄の将来を見切って」職を辞し、地元の紹介で経験者としてミカキューの立ち上げに30歳で入社したという設定
 ミカキューの運転・保線といったシステムは名鉄に範をとっているため、開業までの間は名鉄の研修センターで名鉄の社員と一緒に講習を受け、ミカキューでは運転業務の傍ら乗務員の指導育成にあたったことでしょう
 割と現場一筋で2012年に定年退職するも、その後も嘱託として関工場で技術指導をしたり、今ではほぼ内燃車の動免を持っている運転士がミカキューにはいないため、郡上八幡のトロッコ列車の運転をしたりしているようです
 …とまあそんな人となりを設定して、サイトには以下のような文章を載せてみたいと思います。試作Ver.なのでサイト公開時にはまったく違う文章になるかもしれませんが…


■8200系
どこまでも伸びる電流食い

●それはまるでGTカーのよう

 8200系はミカキューの新鵜沼〜美濃間電化開業に合わせて1992年に5編成、その後美濃白鳥までの高規格化完成に合わせて2編成が投入された一般形車両だ。ミカキューとしては初の電車となるため、当時の乗務員は名鉄の養成所で名鉄の社員と一緒に運転を学んだのを思い出す
 半年間の研修が終わって初めてミカキューで8200系を動かしたときは、天気が良かったこともあって「どこまでも速度が伸びる電車」というイメージだった。名鉄の研修で使われた電車が6000系とか6500系だったんだけど、6000系は出だしこそ軽いものの60km/hを超えるあたりから加速が苦しくなり100km/hに到達するともういくらノッチを叩き込んでも速度が上がらない。そんな電車だった。あ、6500系に悪い印象はないよ? あれは気持ちよく速度が乗るいいクルマだった。名本線の本宿あたりをかっ飛ばすに最高のクルマだった
 で、8200系は80km/hを超えても加速が衰えず、120km/hでも0.5km/h/Sくらいの加速力が残っていてとにかくフラットに速度が乗ることに驚いた。言うなればGTカーのような安定性を感じる。名鉄の車両部長が「駅間1kmをターゲットにしたクルマはと駅間4kmをターゲットにしたクルマではコンパクトカーとGTカーくらい違いがあってしかるべきだろ」と言っていたが、なるほど駅間距離の差がミカキューと名鉄の味付けの違いなのだな、とハンドルを握って理解した
 そのような「GTカーのセッティング」を施しているため8200系はギアリングが5.28と浅く、三菱の180kwインダクションモータ、MB-5028Aはトルク型低回転モータという組み合わせになっているのだろう。とにかくその重厚な落ち着いた走りは「なるほど名金間を結ぶというコンセプトはこういうことなんだな」というのがひしひしと伝わってきた

●電気食いという代償

 とにかく美濃以北の駅間距離が長い区間で特急の邪魔をしないようにというセッティングで組まれた車両だが、それ故に低速ではギアリング5.28の代償でとにかく電流食いなのが困ったものだった。具体的にはフルステップの5ノッチでモータあたり250A、4ノッチでも177Aが設定されていたはず。それ故に8200系は安定した集電電流を確保するため2パンタにせざるを得なかったと車両部長が言っていた。そのくらい電流食いなのだ
 本線格である新鵜沼~鶴来間では変電所がガッツリ電気を供給してくれたので特に問題はなかったのだが、美濃太田~関口間は饋電設備が脆弱で、8200系は電流制限がかかって朝ラッシュ時は4ノッチ以上投入禁止の措置が取られていた。これは1列車分の電流量しか流れていない区間にラッシュ時は2列車走るためで、1モータあたり125Aまで、つまり3ノッチの117Aまでしか流せなかったわけだ。当然応荷重装置も殺さなくてはいけないので朝の電車は速度がまったく出せず、たった9.4kmの区間で日中11分15秒で走れる区間を15分45秒もかかる有様で、「LE-Carより遅いのか!」と当時はびっくりしたものだった。ちなみに開業時のLE-Carは同区間を15分で設定されていた。とにかく美濃太田駅発車直後と関口駅進入の登り勾配にはほとほと悩まされた。5ノッチに入れたい気持ちを抑えて3ノッチでのろのろ上がっていくのは本当にストレスがたまる
 ミカキューの運転士は基本、力行時に一旦3ノッチでマスコンを止めて、それからおもむろに5ノッチに入れるのだが、この動作もいわゆる「美濃太田対策」として「教育」されるからだ。基本動作の徹底は運転士の基本だが、ミカキューでは3ノッチどめが「基本動作」というわけだ
 一方ブレーキはMBSA-1Aだからレスポンスもよくしっかりと効く。ただ、モ8250+ク8200というつなぎでT車は遅れこみブレーキなので、モ8250が先頭になる鶴来ゆきでかつ下り勾配の終端にホームがある瀬名駅に止まる際などは、ブレーキを掛けても後ろのク8200が勢いづいて後ろから押してくるのでかなりヒヤッとする。あれは気持ち悪いからなんとかしてくれと要望を出した結果、リノベーションの際に0.5M+0.5Mの組成になって見違えるような特性に変わった。言ってみるもんだな
 もうひとつどうにもならなかったのが空気ブレーキ。積雪の大きな石川県内を走行する際、ブレーキパッドと車輪の間に行きを噛んでスキッドしてしまうことがままあった。通常は耐雪ブレーキを装備してブレーキパッドを車輪に軽く当てて運行するのだが、車両デザインについて監督してくれた名鉄は、基本暖地を走る鉄道会社なので雪について甘く見ていたところがあるのは否めなかった。なんと竣工当時のブレーキパッドは合成制輪子だった! しかもユニットブレーキなのでパッドは片押し式。これはいくらなんでもあんまりだということでブレーキパッドだけでも鋳鉄制輪子に切り替えたものの、慢性的な制動力不足は解決しなかった。結果2002年以降積雪地帯の普通車運用はディスクブレーキの8000系にスイッチすることになってしまった。
 さて、リノベーション車に話を戻すと、空制はともかく回生ブレーキは応答性が劇的に改善した。とにかくブレーキの応答性がこんなに変わるもんだと感心した
 8200系のコントは最末期とはいえGTOで500Hz程度までしかパルスを出せない。それ故に非同期モードの不安定さや雨天時の応答性の悪さは結構気になっていた。研修のときに名鉄で6500系を転がしたとき、あれは界磁チョッパだったと思うんだけどあのシャープなレスポンスに比べるとフィーリングはかなり落ちた。特急なら停車回数が少ないからこれでも我慢はできるんだが8200系は普通車だ。小雨の日の乗務はホントしんどかった
 だけどリノベーション車は750Hzくらいまでパルスを出せるし加えてコンピュータの処理速度が劇的に上がった。そのため再粘着計算がものすごく的確になって130km/hからでも安心して突っ込めるのだ。そのときはもう退職間近だったけど全車リノベーションしたら普通車の乗務がだいぶ楽になるな、って思ったものだ
 しかし予算の都合なのかリノベーションは2編成で終わりで、残りの5編成は当面2編成から捻出した機器を共食いしながらやりくりするんだそうだ。ご愁傷さま

 ……とまあこんな感じのテキストを集めてサイトを構築したいなと考えています。改めて文章読んでもまだダメダメです。国鉄で研修を受けた空気が主人公に全然感じられません。もう少し背骨となる思想に「国鉄的」なものを入れないと元国鉄職員という設定が活きません。ていうかこれでは意味がありませんね。国鉄職員と民鉄の社員では、同じ鉄道員でもしぐさ・考え方から違うんですよ
 まあ、完全一人称視点の架鉄サイトは今まで作ったことないので出来のほどはどうなるのかわかりませんが

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