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奈良がよかった

国内だけど今まで色々と私は旅をしてきた。多くの場所を行くのではなく、良かった場所があれば繰り返し行く旅の形が多い。

旅の良し悪しは勿論景色や食べ物かもしれないが、私は人当たりである。
どんなに景色が良くても人当たりが悪ければ旅の後味が悪く、見た景色の思い出も全て吹っ飛んでしまう。私は地元の人と接するために旅をするようなものである。

まあまあ旅をしてきた私にとって奈良は特別だった。勿論、奈良以外にも人当たりも良くて思い出深い場所もある、しかし奈良へ行った時の私の気持ちの状態もあり、色々な事が重なり奈良が良いと思った。

数年前に私は京都へ一人旅へ行った。
京都もお気に入りの土地の一つであり、勿論リピーターで来ていた。日程が5日間あったのでスケジュールを色々考えていたら、ふと京都好きの母に連絡してオススメを聞いてみた。そしたら奈良の法隆寺行ってみればと言ってきた。奈良か、関東に住んでるが修学旅行でも行き先が奈良だったことがない。それは地元の市内の特別な事情で行けなくなったらしい(京都も含む)。

しかし、私が幼い頃に奈良へ一度行った事があり、鮮明に覚えているシーンがある。
あれは何かのイベントで母と団体バスに乗って奈良に来ていた。車酔いする私のために私と母はバスの1番前に座っていて何処かで停車していたある夜、私がぼーっとしていると、窓をトントンと叩く音が聞こえた。外を見ると私の大好きな当時超人気アイドルグループ光GENJIのしかも推しの諸星君が私に手を振っているではないか!!しかもその後ろにメンバーもいる。キャー!と私は手を振返したその瞬間、実は乗っていたバスが女性専用車でバスが揺れるかの如くギャーっと大騒ぎになった。諸星君とメンバー達が皆んなに手を振ってくれて、コンサートの移動中なのかあの鉢巻きをしてキラッキラの衣装を着たままだったし、仕事じゃないのにサービス精神最高だった!
最初に私にトントンとしてくれたのはたまたま1番前に私だけが幼い子供だったからで、他の皆はずっとお姉さん達だった。諸星君の子供への優しさにも今でも感動してる。

前置きが長くなってしまったが、兎に角、母の言う法隆寺へ向かうことにした。

京都駅から奈良駅を経由するのだが、まず奈良駅の荘厳さに驚く。
外国人が多いのは京都と変わらないが京都はアジア系が多かった気がして、奈良駅は欧米系が多かった。そこは趣味によるのだろうか。

電車を乗り換え法隆寺最寄駅に着き、歩いて法隆寺へ向かう。
静かな街で優しい山々が覗き、所々に花畑が広がる。ふわふわ優しい気持ちになっていく不思議な感覚になり、お浄土に近いような「まほろば」ってこう言うことかなと思った。

法隆寺に着くと平日だからか人がドンといなくなる、有難いけど。
法隆寺の入場チケットを切ってくれる入り口のおじさん優しかった。何か声をかけてくれた。入っていくと客よりも多い案内の方々、優しかった。おじさんと言うよりお爺さんや年齢層の高い方々だった。皆さん法隆寺がきっと大好きなのが伝わってきたし、皆さん作務衣を着てるのもよかった。

見学している間、ここにあの聖徳太子がいたのかと私の浅い歴史の知識に思いを馳せた。するとすごいことだなと改めて感動し、法隆寺見るもの全てに感激した。法隆寺の本堂の裏が覗ける場所があり、裏には何もなくて殺伐としていたのだが、そこを眺めていたら涙が出てきてそこでたくさん泣いた。(謎の人になってる…)整備されていないけど、ここにも歴史があったのかなと思いを馳せていた。

塔本塑像(とうほんそぞう)を見た衝撃。釈迦に関する四つの説話から四つの場面を塑像の小群像で表しているらしい。京都ばかり行って京都の仏像とかしか見ていないから、日本のお釈迦様に関する古い群像を見ることが出来、京都とはまた違う日本の仏教のルーツを見れたことの感動。仏像や仏画などの見方が変わりそうだと感じた。

百済観音を見た。教科書で見た事がある感動もあるが、日本の仏像のルーツを知っていく事への感動を覚えていった。そしてこの時代の仏像は線が優しいと感じた。見てると優しい気持ちになれるのだ。優しい気持ちになれるって正に仏様を拝む真意な気がする。(私談)

とっても満足して法隆寺を後にした。
あ!後、修学旅行生が何組も団体で来ていた。通りすがると皆さん観光客にご挨拶してくださるのね!初めはめっちゃびっくりして、誰!?誰に!?と思ってしまったけど、慣れてきた。皆んな偉いわねぇ。ちょっと私一人だと恥ずかしいけど笑

満足して帰りにお土産を買う。ガランガランの法隆寺前のお土産屋さん街。でもお店の人も優しかった。17時のチャイムが鳴るがその音色が似合う街だ。

帰りに夕飯を食べようとひたすら駅に向かう。途中に大きなレストラン「和食さと」を見つけた。そのレストランから歩いてきた道を振り返ると優しい山々がまたこちらを覗いていた。その山々が優しくて優しくて涙が出てきた。すると気がつくとウォンウォン店の駐車場で山を見ながら一人でずっと泣いていた。ちょっと前に色々な事があって慰められている気がした。今思うと大した事ではなかったが。

気が済むとレストランへ。それを見られていたのか、目が真っ赤だったからかわからないけど、レストランに入るとめっちゃ店員さんが優しかった。席に案内されると店員さんは私の目線より下になるために腰を下げて接客してくださった。優しい言葉遣いとゆっくりとした話し方でオススメなども紹介してくださった。チェーン店だと思うのに、いちこんな私にここまでしてくれてびっくり!こんな優しい接客は生まれて初めてだった。

レストランの窓から見える奈良の景色が身に沁み、私は奈良は最高だと噛み締めた。母、奈良を勧めてくれてマジでありがとうだよ。




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