Harmony 2 新しい風を感じるコミュニティ、「Sushi Summit KL」が5月開催決定


常に新しいものにチャレンジし、成長するコミュニティを作りたいと思っています。


気がつけば5月です。
5月、私が心から楽しみにしているイベントがあります。それは「Sushi Summit KL」です。

Sushi Summit KLは4年前、寿司の文化をマレーシアに住んでいる人にもっと楽しんでほしい、寿司文化をより深く知ってほしいということで私が企画を始めました。
新型コロナウイルスの影響で2年間開催することができませんでしたが、今年の5月に3回目の開催することが決定しました。開催まで共に努力してくれた皆様に心から感謝すると同時に開催できることをとても嬉しく思っています。

このイベントはAPW Banserという会場で5月22日、4回に分けて開催されます。各回には20名のお客様がいらっしゃいます。(チケットは既に完売しています)。

この20名のお客様に向けて6名の寿司職人が各回5名ずつ参加し、合計20貫のお寿司を楽しんで頂くイベントです。


少し話が脱線しますがお許しください。
なぜ寿司を「貫」と数えるのでしょうか?

お寿司には独特の数え方があります。「貫」と数えるのは握り寿司や軍艦巻きのみです。巻き寿司は一本、二本、切り分けると一切れや、一個と数え方が変わります。手巻き寿司は一本、二本と数えます。 そして寿司を持ち帰る際に箱に入れますが、折り詰めになった寿司は一折り、二折りと数えます。そして(私の店では使用していませんが)寿司桶に盛り付けられた寿司は一桶(ひとおけ)、二桶(ふたおけ)と数えます。

これはあくまでも日本語での言い方です。英語ではお寿司は単にpieceでカウントします。


ちなみに「貫」とは古式の重さの単位です。現在の重さに換算すると一貫は約3.75キロ。お米1合をグラム換算すると約150グラムです。お米だけで換算すると一貫は25合になります!25合あれば私は寿司を一体何個握れるでしょう?


一貫は思った以上に重いのに、なぜお寿司を「貫」と呼ぶのか。益々謎は深まります。諸説の1つを振り返ってみましょう。
当時の江戸前寿司は現在より大きいサイズで握られていたと言われています。現在のお寿司は基本的に25g前後です。江戸時代の江戸前寿司は大きめで一貫平均40gとだったと言われています。そして一人前の握り寿司は大体9種類、合計で大体360グラム程だったと言われています。
かっこいいことが大好きな江戸っ子は(実際は0.1貫ですが)この一人前の寿司を「目方一貫分の握り寿司」と呼んでいたそうです。「貫」とは当時は「一人前のお寿司」を数える時に使用していたのです。


では1つの握り寿司を一貫と呼ぶ様になったのはいつからか。それは昭和からという説が有力です。昭和!つい最近です。そうなんです、お寿司というのは実は歴史が浅いのです。
同時に寿司文化は新しいことを貪欲に取り入れていくパワーがあります。
江戸前寿司は常に最先端の挑戦をし続けています。


私はこのSushi Summit KLでは文化を広めると同時にマレーシアで感じる新しい風を取り入れたいと思っています。Sushi Summit KL では6名の寿司職人が参加します。皆、様々なバックグラウンドを持っています。そしてこの場は職人の順位を決める場所ではありません。

思い浮かべてほしいのは音楽フェスです。音楽フェスでは順位を決めることはありませんよね。そこで演奏される音楽を楽しむために多くの人が集います。集う人はそれぞれお目当てのアーティストがいます。同時に初めて聴くアーティストとの「出会い」を楽しみにフェスに参加してると思うのです。
出演アーティストは自分のファンを楽しませたいと同時に他のアーティストのファンとの新たな出会いを楽しみにしています。

フェスに参加した観客同士も様々な出会いがあるでしょう。フェスというのはまさに常に新しい風を取り入れるコミュニティだと思うのです
私はSushi Summitでこの様な様々な出会いの場、そしてそれぞれが新しい風を感じて取り入れる場にしたいと思っています。


Sushi Summitで振る舞われるお寿司には基本的なルールしかありません。「お米とお酢とネタを使う」これだけです。あとはそれぞれの自由です。


寿司という伝統を守らなくていいのか!というご意見もあると思います。しかし私は思うのです。先程の「貫」の由来を振り返る文章を読んでいただいたら同感して頂けると思うのですが、実は江戸時代というのは現在から約160年しか経っていません。たった160年です。そして当時の寿司というのはとても先進的で常に新しい文化を取り入れ「進化」してきました。

江戸っ子は変化を恐れることはありませんでした。常に新しいものを取り入れていたのです。


私はそのような江戸っ子に深い敬意を持ち続けています。なのでこの様々なバックグラウンドの職人が様々な寿司を披露することを心から楽しみにしています。同時にSushi Summitを訪問して頂くお客様と新しい風を共有できることを心から楽しみにしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?