【2/3】スマートエネルギーでまちづくりを!~自治体が進めるRE100電力調達~(SCI-Jウェビナー全文)
前半 村中さんのプレゼンテーションはこちら
後半 エナーバンク プレゼンテーション 具体的な自治体の取り組みのご紹介(佐藤さん)
登壇者紹介 佐藤 丞吾氏
株式会社エナーバンク 共同創業者COO
佐藤さん エナーバンクの佐藤です。私の方から具体的な自治体さんの電力調達を紹介させていただきたいと思います。
はじめに私の簡単な自己紹介からさせていただければと思います。私自身はもともと建設コンサルタント会社の国際航業に20年ほどいました。その中で、官公庁自治体さん向けにスマートシティとかまちづくりとかエネルギーのコンサルティングを17年行い、最後の3年は社内ベンチャー制度を活用して太陽光や蓄電池導入効果・電気&ガス料金診断サービス「エネがえる」の立ち上げ・運営を行なっていました。スマートシティ開発の事業にも取り組み、スマートシティ開発を推進する社団法人の理事を務めていました。2018年に国際航業を退職し、エナーバンクを創業しました。
リバースオークションの話に入っていきます。官公庁自治体さんにおいてはリバースオークションの取り組みは聞き慣れない仕組みかなと思うのですが、もともと平成24年ぐらいからリバースオークションの取り組みは官公庁公で研究されていました。こちらの総務省の地方公共団体の財政制度に関する研究会というのが行われていまして、この中で入札による方法と随意契約による方法にリバースオークションを使うということは特段問題ないということになっています。
こうした経緯も踏まえまして、当時平成24年ぐらいから、神奈川県、川崎市、愛知県長久手市、愛知県西尾市、などいくつかの自治体では取り組まれていた仕組みです。
当時からリバースオークションをやられているのですけど、電力についてはリバースオークションの事例はこれまでなかったです。昨年からは我々のエネオクを利用していただきながら、官公庁自治体さんにおいてリバースオークションの仕組みを使って RE100の電力へ切り替えが進んできている状況です。昨年、北は北海道の地方環境事務所さん、南は沖縄まで全国各地で我々のサービスを使っていただきました。RE100の切り替えをこれまで150の契約でご支援させていただいて、全県で電気料金の削減も合わせて達成させていただきました。平均の削減率としては9.8%ほどで、RE100の達成をしつつ電気料金を下げたということになっております。
昨年は環境省さんの方を中心にご利用いただいていますけど、徳島県さん、名古屋市さん益田市さんといった、地方公共団体の皆様からもご利用が始まっているサービスになっております。
少し具体的に自治体さんの取り組みの紹介をさせていただきますと、まずは徳島県さんの事例紹介です。徳島県さんの方では、当初県の担当者の方が、自分たちで契約を切り替えていこうということでいろんな会社さんに連絡をとって切り替えを検討していたのですけども、なかなかRE 100のメニューの取り扱いがなかったり、今より電気で料金が上がるという回答ばかりの結果を受けたりして、一旦自分たちで切り替えるのは断念されました。そういった中で、先程ご紹介した環境省のガイドブックに弊社のサービスがあり、弊社へお問い合わせ頂きました。
エコみらいとくしまというところで使っていただきまして、低圧電灯・低圧動力という契約をトライアル的にご利用いただいてRE100に切りかえたところ、削減率21.1%を達成しました。今年度引き続き他の施設への適用も検討いただいている状況です。
続いて益田市さんの事例の紹介になります。益田市さんの場合は、弊社との間でリバースオークションの運営業務委託を締結させていただきました。こちらの契約に基づいて、益田市さんから小売電気事業者さんへ、オークションを実施するので参加したい小売電気業者は入札参加申請をしてくださいという公告を出していただきました。新たに2社の小売電気事業者さんにも参加していただきながら、オークションを実施して契約の切り替えを実施したという案件になります。
益田市さんの場合、下水道ポンプ施設など比較的電気料金の削減が難しいとされる低圧の動力が中心だったのですが、このオークションによって6%の削減を実現できたという案件になっております。
こちらが入札の経過になりますけれども、通常の一般競争入札のやり方でいきますと各社1回しか入札できないので通常の入札だと0.01%ぐらいしか削減できないという中で、各社が複数回の入札ができるという仕組みを取ったことで5.95%の削減が達成できたという結果になっております。
我々のサービスが自治体さんに採用される主な4つの理由ということでご紹介させていただきます。
1つ目に、自治体さんはサービス利用料が無料になります。自治体さんは予算措置が必要というときは採用するまで時間がかかることがあるかと思いますが、弊社のサービスの場合は無料であり予算措置不要で使えるということで取り組みやすいかなと思っております。
2つ目に、自分たちで小売電気事業者を探しながら契約を切り替えていくとなると相当の時間・労力がかかるところを、我々に頼んでいただければ2-3週間でオークションの結果をお返しできるので、契約の切り替えにおける内部コストを最小限に抑制できる仕組みと考えております。
3つ目に、我々の30社ほどの小売パートナーがいまして、オークションの公告を見ながら入札していただけるということで、小売電気事業者さんがより遠隔でも参加しやすい環境を提供できていると思っております。
4つ目に、他社の価格を見ながら何度でも再入札できる国内唯一の電力リバースオークションといったところから、採用いただいているのかなと考えております。
これまで電気料金削減についてお伝えしてきましたけれど、RE100の電力切り替えをさらに進めていく上では大きく二つ課題があるかなと思っております。
旧一電様の標準単価契約の場合は、RE100に切り替えても電気料金の削減の可能性は高いのかなというのがこれまでのオークションの結果から見えてくるのですが、一方で、これまで入札によって電気料金を削減している施設は、RE100にすると基本的にご料金がアップする可能性が高いです。こういった課題がある中で今後どうするべきかというと、我々のサービスのようなリバースオークションを取り入れることで、コストアップをできるだけ抑制する。あるいは、単一の施設ではなくてグルーピングによって契約を組み合わせて最適化することで抑制する。あとは、その標準単価契約のものと組み合わせて全体としてコストアップを抑制する。さらに、電気料金の電気契約の切り替えだけではなくて、太陽光の導入など他の取り組みと合わせて実行する。最後に、予算措置の段階で現行料金よりも安くという話はよく聞くのですが、RE100に切り替えるという事は環境価値分を上乗せされるということになりますので、その環境価値分を上乗せして予算化というのを検討いただく必要があるかと考えております。
環境価値の価格ということで参考にご紹介させていただきますと、各地域の電力会社さんは、低圧だと1kWh あたり2.0〜4.4円の環境価値の上乗せの可能性があることが発表されています。また、環境価値の非化石価値取引市場がありますが、こちらの取引価格も1.43円/kWhですね。なので、最低でも1.43円/kWhが、従来よりも上乗せになってくるというところを、電力の契約を切り替える需要家の方もしっかり認識しながら予算価格を設定していくということが一つの課題になると思います。
2つ目の課題として、我々は100を超える入札の対応をしてきましたが、どうしても官公庁自治体さんになると年度末に入札が集中してきます。この小規模の契約など手続が面倒で手間がかかるところへの入札が非常に敬遠されやすくなってきます。今後、RE100の切り替えというものを低圧の施設から高圧の施設まで切り替えていくという中で、今後は可能な限り年度末での切り替えを回避して頂いて切り替えタイミングを分散させることをご検討いただくと、より小売電気事業者さんが参加しやすいのかと考えております。
あとは、小売電気事業者さんもRE100の電力を供給するにしても通常の電力を供給するにしても、非常に企業努力いただきながら電気料金を下げていただいているのですけども、小売電気事業者さんの努力に頼るだけでなく、需要家側もできるだけ小売電気事業者さんが契約しやすいような形に変えていただく必要があるのかなと思っています。例えば、契約手続きを簡素化というところでは官公庁・自治体の様式に合わせて契約を切り替えなければいけないという過去の風習があると思いますが、このような手続きを小売電気事業者側の申し込み方法に合わせていただくとか、クレジットカード払いや口座引き落としなどなるべく小売電気事業者さんの負担が減るような支払い方法に行政側も対応していくといったことを、需要家側としてもやっていくということで需要家も一緒になってRE100を推進する取り組みを行う必要があると考えております。
官公庁・自治体さんにおける事例を紹介させていただきました。
電力の切り替えだけではRE100を実現できず、色々なサービスと組み合わせながら実現していく必要があると考えており、我々のような事業と一緒に取り組んでいただきたいと考えています。ご興味ある官公庁自治体さんや、一緒に取り組んでいただける小売電気事業者さんはぜひお問い合わせいただければと思います。
① リバースオークション検討の自治体の方
② エネオクのパートナーの方
③ 小売電気事業者の方
Mail:info@enerbank.jp Tel:03-6868-8463
担当 村中、佐藤
↓↓↓↓ パネルディスカッション、質疑応答はこちら ↓↓↓↓
↓↓↓↓ 村中さんプレゼンテーションはこちら ↓↓↓↓
• 登壇者資料
https://www.sci-japan.or.jp/vc-files/member/secure/speakers/20210421.pdf
・登壇動画