41歳、同棲を始めた女(5):いつの間にか結婚が決まった話。
忘れもしない今年の夏、付き合って3ヶ月まであと2日という日、わたしたちは同棲しようと約束した。
「結婚前提だよね?」
わたしは一応確認した。
どんな言葉だったかは忘れてしまったけれど、Mさんの答えはYESだった。
そしてまだ残暑どころか猛暑のようだった秋の始まり頃、同棲生活が始まった。
あんまりズルズル同棲したくないなぁと思っていた。
男の人は同棲したら満足して、結婚を決めるまでのんびりしてしまうかもしれない、と少し心配だったから。
そして実のところわたしも、同棲が始まったら安心してしまって、結婚のことを具体的に考えなくなりかけていた。
そしてこれも忘れもしない、付き合って5ヶ月半くらいのころ。
わたしたちはビールが大好きで、お互い初めてオクトーバーフェストに出掛けた。
その道中、
「入籍日をいつにしようかなって思ってるんだよね。いつがいい?クリスマスとか?」
と突然言われた。
え!うそ!もうすぐ結婚できるんだ!!!
これがわたしが真っ先に思ったこと。
早く結婚したいなとは思っていたけれど、こんなに早いとは思わなかった。
ちゃんと考えてくれていたなんて、思ってもみなかったからすごく嬉しかった。
とはいえ、一緒に暮らしていると、いや、年齢的に、すでにもう夫婦みたいな扱いを受けることが多い。
Mさんの誕生日に行ったレストランで、
「今日は奥様の運転なんですね」と言われたり、
風疹の抗体検査で行った病院では、
「旦那さんは〜」と当たり前に言われたり。
友達もみんな結婚していて、もう「彼氏」というものに馴染みがないせいか、わたしと会話していても「ぱいなっぷる子の旦那さんは・・・あ、彼氏か」みたいなことが頻発する。
そんなこんなで、日取りが良い日を検索したりして、プロポーズもされていないのに、入籍日が決まった。
こんなにすんなり日程が決まったのは、きっと、少し前にわたしがこっそり候補日を考えていたから。
6年前くらいに台湾で占いをしてもらった時に、2025年だけは入籍しない方がいい、と言われていたのを思い出して、それならば2025年2月3日までに入籍しなきゃと思っていた。
占い界での運勢の切り替わりのタイミングは、節分だと信じている。
占いとか男性からしたら場合によっては嫌う人もいるのに、わたしは堂々とMさんにその旨を伝えられて、Mさんも分かったよとあまり気にも留めていない様子で、こんな時にも、なんでも言えるMさん最高、と思ったりした。
「まだ結婚するって決まってないけど」とことあるごとにMさんに伝えていて、プロポーズはぜったいしてもらいたいと思っているところ。
それなのに日々は淡々と過ぎていって、入籍日に向けて着々と準備をしている最中だ。
人の結婚話を聞くと、まるでお祭り騒ぎのような気持ちになるのに、当事者となるとぜんぜんそんなことないから驚き。
先週はついに、結婚指輪を買った。
婚姻届もわたしたちにぴったりのものを見つけて、Mさんが印刷して来てくれた。
引越し日も決まった。
入籍日に行くレストランも予約した。
「なんだか若くないのに手を繋いでる夫婦って意外に多いね。わたしたちもあんなふうにいくつになっても手を繋ぐ2人になりたいね。」
と街中でのデート中に話すわたしに、
「いや、もう僕たちもそういう風に見えてるよ。周りから見たら、若くないのに手を繋いでる夫婦だよ。」とMさんが言った。
確かに。
わたしたちはまだ自分たちのことをカップルだと思っているけれど、年齢的には夫婦の方がしっくりくるのかもしれない。
しっくりくるのならばこのまま、夫婦になってしまおうと思う。