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40歳でも彼氏ができた女(10):わたしたちはたぶん婚約をした。

どんな彼氏ができたとしても、すぐメンヘラを起こすわたし。

そんなこんなで、イライラしたまま週末のデート当日の日曜日。

ただでさえ人一倍暑さに弱いのに、その日は酷暑だった。

身支度をしてる時点でもう暑い。
ドライヤーをしたりヘアアイロンをしたり、忘れ物がないか荷物を整理しているだけで、クーラーを効かせている部屋なのに暑すぎる。
そういえば昔は、身支度中のエアコンの温度は18度に設定していた。
やっぱり昔から暑がりなのだ。

それにしてもいやだ。行きたくない。
予定しているデートは全部室内だというのに、それでもいやだ。
つまり、移動すらも外に出たくないのだわたしは。

どうしてこんな人間になってしまったのだろうと理由を考えてみると、ここ数年のインドア生活で、酷暑の中出掛けることを避けてきたからだ。
暑さにへの耐性がゼロになってしまった。

でもMさんに会わない週末なんて、今のわたしにはもう考えられない。
こんなこと言ってたらもう秋まで会えないじゃんと思い直し、このなまった体を暑さに慣れさせるのだと、意を決して出発した。

玄関を出て3秒で汗が流れた。

彼氏ができるというのは幸せなことばかりではない。
時に、こうやって無理をしてデートに行かなきゃいけない日もある。
贅沢な悩みだなと思う。

ちなみに、この暑さとMさんが引っ越さない件が合わさって、出発時点でわたしのイライラはピークに達していた。

わたしと同じように待ち合わせをしているであろう人で溢れる、冷え冷えのマルイの入口でMさんを待つ。
きっと今日もMさんは汗をあまりかかないのだろうなあと、ハンディファンの風量をMAXにして首元に当てながら待つ。

太陽をギラギラに浴びながら、Mさんが爽やかに現れた。
わたしの好きなTシャツだ。
それまでのあらゆるイライラもどこかに消えるから不思議だ。

Mさんが「今日は危険な暑さだ」と言った。
よかった。
今日を暑いと感じていなかったら、あまりにも感覚が合わない。

この日は終日、暑さにぴえんぴえんとどう考えてもうるさいわたしのためにずっと日傘を差してくれた。
これが優男というやつか。

結局のところ1日中街を散策し、ぜんぜん余裕で1日中過ごせた。
Mさんとなら、もうなんだって大丈夫なんだと嬉しくなった。

一日の終わりにテラスでビール。
暑すぎる日のビールは、いつもの3倍くらい酔いが回るような気がする。
2人とも、いつも家で飲んでいる時よりもだいぶ良い気分になっていた。

「ぱいなっぷる子が泊まりに来ない週末はさびしかった。今日は泊まりに来ないの?」と珍しい発言をするMさん。
前日の土曜日は家族で集合だったから、珍しく泊まりに行かなかった。
「好き」とかいう言葉での愛情表現も嬉しいけれど、こういう間接的な愛情表現はもっと嬉しいかもしれない。
そんなふうに言われたら、泊まりに行くしかないじゃん。

先日、お泊まりは隔週にすると決めたばかりなのに。

わたしの意志なんて、Mさんの前では無力だ。

さっそく本題。

この日わたしたちはたぶん、婚約をした。
一生忘れない日だろうと思っている。わたしは。

この日、わたしからはもう引越しの話もこの先の話もしないと決めていた。
なぜなら、先週がっつり話したばかりだしまた話題に出したら、会うたびに結婚を急かされてMさんが辛いだろうなと思ったからだ。

でも、それは突然のことだった。


長くなったので次回。

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ぱいなっぷる子
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