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002【こども達を勇者にしたい、“じぶんメシクエスト”という大冒険】 株式会社Snailtrack 代表 本川誠
株式会社Snailtrack 代表 本川 誠(ほんかわ まこと)
(株)エシカルノーマルCEO
一社)宿題カフェ運営サポート協会理事長
「地域課題を解決することだけを事業化する」ローシャルグッドカンパニー【Snailtrack】や、「きれいごとで きれいにしよう」がタグラインのSDGs時代のハウスクリーニング【エシカルノーマル】、「夜の2時間革命」を実現するこどもたちの放課後サードプレイスを全国に!【宿題カフェ運営サポート協会】をそれぞれ運営しています。
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■ばんざい東あわじ
〒533-0023
大阪府大阪市東淀川区東淡路1丁目5-51
ショッピングセンター「エバーレ」地下階
☎0120-939-070
平日/11:00~14:00
info@tsumurin.net
HP:https://snailtrack-higayodo.com/service/banzaihigashiawaji/
facebook:https://www.facebook.com/banzaiawaji
けっこうマジメに「魚の釣り方」を教える食堂がある
1 循環型地域食堂〝ばんざい東あわじ〟とは
大阪市東淀川区東淡路のショッピングセンター「エバーレ」内に不思議な食堂がある。エバーレは1400世帯が居住するマンション(エバーグリーン)の地下階にあり、住民の食生活を支えていたスーパーの撤退を機に、同社が食堂「ばんざい東あわじ」をオープンさせた。
店頭にはカラフルで大きな冷蔵庫(※1)があり、店内では年配の方が談笑し、子供たちが配膳をしたり漫画を読んでいる。数種類の手作りお惣菜とご飯を専用の弁当箱に自分で詰め、価格はなんと1gあたり1.3円。ツッコミだすとキリがないくらいに面白く工夫された仕掛け満載の食堂を運営するのが「株式会社Snailtrack」代表の本川誠さん。その中でも、特に異彩を放つのが「じぶんメシクエスト」という、子供たちが料理のスキルと未来志向(論理的思考・自己効力感)を育むカードゲームである。
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※1:カラフルな冷蔵庫=通称「親切な冷蔵庫(friendly fridges)」。
地域住民が余った食材を入れ、おばんざいの材料として使われる。
2 楽しみながら自信を育てるカードゲーム
ゲームの目的は主に3つ。自身で食の安定を目指すスキル・未来のために時間を使うマインドセット・料理を作り食べることで得られる論理的思考と自己効力感。未来の目的に向けて段取りを組み、スキルを活用しながらその未来を自身で実現する。まさに「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」ゲームなのである。
ジョブカードには「剣士(包丁を使い食材の切り方を習得)」「魔法使い(焼く炒めるなどの調理を習得)」「旅人(買物や配膳などを習得)」など数種類に分かれており、それぞれにスキルレベルが設定されている。子供たちは友達と一緒に料理を学び、レベルを積み上げ、様々なジョブカードを手にしていく。そして、それを実生活に活かし、自炊したり家族に手料理を振る舞う。
未来の自分のために今の自分のリソース(お金・時間・思考)を使えるかどうか(=未来志向)、が重要だと本川さんは言う。
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3 新聞屋から新分野へ
20代から携わっていた新聞販売店から独立する形で2008年に創業し、地域に根付いた経営をする中で見えてきた地域課題。本川さんは「地域課題解決×事業」を掲げ、高齢者のお困りごとサポートや共働き子育て世代の食、子供の学習や居場所など様々な角度から地域と関わってきた。2020年には新聞販売業を卒業し、いえサポ!(※2)・しゅくだいカフェ(※3)・朝日塾(※4)・ばんざい東あわじを軸に事業展開。
網の目のような新聞販売網から見えた「暮らし・居場所・食・学習」の全方位・全世代サポートを、地域の人や共感する仲間と共に盛り上げていく。本川さん自身も「未来に向けた今」を生きる人なのだ。
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※2:20分500円で「ちょっと困った」を解決するお手伝いサービス。また、「いえサポ!プロ」では本格的なハウスクリーニングも行っている。
※3:地元の子供たちが放課後に遊び学べるサードプレイス(家庭、学校に次ぐ第3の居場所)。
※4:地域で一番やさしい塾としてeラーニングを活用しながら個別学習指導を行っている。ばんざい東あわじやしゅくだいカフェと併設。
4 ローカル×ソーシャル=ローシャル!
Snailtrackが掲げる「ローシャルグッド企業」とは、地域に根付いた個人や小規模事業者によるローカルビジネスと地域課題や社会課題解決に向けたソーシャルグッドをかけ合わせた造語。新聞販売店として2011年に東淀川へ移り、そこで出会った様々な人とお困りごと。その根っこには「未来志向を持てない環境」があり、それを打破するキッカケとして「じぶんメシクエスト」を編み出した。自分たちでご飯を作り、お腹いっぱいになったら勉強をする。食材も人も循環する地域の食堂で、大人たちと一緒に学び、遊び、繋がっていく。今日もまた、東淀川の未来をつくる小さな勇者たちが、ばんざい東あわじで腕を磨いている。
奮闘記 『番外編』
5 攻めと守りのコミュニケーション
持ち前のキャラクターと話術でグイグイ引き込まれてしまう本川さんのお話。1時間ほどのインタビューもあっという間に過ぎてしまったのは「話の掴みと懐の深さ」で、それは新聞販売店時代の営業力が発揮されているのだと思う。新聞販売店は何代もその地域で続く家族経営が多く、絶大な信頼によって継続契約が慣習化している中、若かりし本川さんは飛び込み営業で地道にひっくり返していく。挨拶回りやご近所の話で繋がる新規契約が「攻め」なら、世間話やいえサポ!で培う信用は「守り」になっていく。この絶妙な攻守のバランスが結果につながり本社からの表彰も受けた。
当時、新大阪界隈はA新聞よりもY新聞が優勢でエリア内でも激しく営業合戦が繰り広げられていた。そんな中、本川さんに本社から白羽の矢が立ち、最前線に送り込まれる。予算や人員を配備し、陣頭指揮を取りながらアグレッシブにひっくり返していき、3年後にはA新聞が勝利を収めた。この伝説を界隈では「新大阪戦争」と名高いのだそうだ。
「Tシャツで人を惹きつけ、丁寧に思いを語る」。(※5)
シンプルでいて距離がぐっと縮まる正攻法のコミュニケーションは、若かりし本川さんの経験と戦歴が生んだ賜物なのである。
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※5 本川さんはアイコンとも言える「TPOTシャツ(TPOを完全にわきまえたTシャツ)」をその日の気分や状況によって着用している。
6 誰とも繋がっていない、サードプレイスを
「ばんざい東あわじ」や「しゅくだいカフェ」など、家庭でも学校でもない「サードプレイス(第3の居場所)」を運営する中で本川さん自身がメッセージとして発信し続けているのは「俺は親とも先生とも繋がっていない存在」ということ。こども達にとって本音が言える場所や存在というのは「チクられない」のが前提にあって、だからこその安心がある。家や学校にはそれぞれの価値観がありそういう役割も大切な反面、自分らしくいられる場所も必要だという。
家ではピアノの練習、学校では優等生、でも、しゅくだいカフェではお菓子を食べながら漫画が読める。気さくなおじさんに、関係ない話ができる。そんな親の期待や学校の方針以外の選択肢を、こども達が自分たちの時間で友達と語り合いながら自分で探していく。
「こういう子は来てください」や「あそこに通うのはこういう子」というような分類やレッテルに縛られないのは株式会社という事業形態の強みであり、それを活かしながら独自の理念や価値観で運営し、こども達との信頼関係を育んでいる。
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