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せめてトイレで

12月の声が耳元で聞こえた気がして、ハッとした勤労感謝の日。あっという間に年末になってるだろうな。猫たちはその頃、どこにいるのかな。

寒くなってきたせいか、寝てる時間が長くなってるような気もする猫たち。最近の気に入りは私の仕事用のイス。もらいものの社長イスは年代物だけあってどっしりと重たく(かなり高級)、私のお尻と仔猫二匹が乗っても充分寛げるくらいの大きさだ。先に場所取りをしたおひげを、おでこが追い出しちゃったりすることもあるけれど、二匹一緒に丸まって寝てることも多い。上に乗っかってるかと思ったら、顔の前にお尻があったり、頭をくっつけてL字に寝てたり、丸いおなかを出して一緒にいる二匹は幸せそう。

乗り降りしてても安心な社長イスは、取り壊したオフィスの会議室で使われていたのを、この秋にもらってきた。同じく秋に大きな鉢に植え替えたユッカの樹、この二つが子猫のお守り係になっている。ユッカは別名が青年の樹だからお兄ちゃんで、社長イスはじいじかな。うちの預かりっ子たちには、優しいお守りが二人もいる。どっちかって言うと動物は好きじゃないタイプの父も、意地悪しないどころか愛想してくれて、日ごと激しさを増すプロレスも見守ってくれてるし、おかげさまで猫たちはみんなに愛されている。

ほぼほぼ二匹一緒にいることの多い猫たち。クウネルアソブはもちろん、トイレも一緒。どっちかが入ると片方もトイレが気になる。二匹揃ってトイレが好き。それとなく見ていると、二匹のトイレが好きだ、という気持ちが伝わってきて面白い。

そんな愛されトイレは、保護団体から持参した100均のプラスチックトレイだ。うちにきて間もないうちから二匹に一緒に並んで入ったりしていたんだけど、どんどん大きくなった今では、一匹でもちょっと狭いんじゃないかな、という感じになってきた。でも、まだ一緒にトイレに入ってる。二匹だとうまく座れなくて用が足せないので、結局、どっちかが出ることになるんだけど、片方が入ってると自分も、となるらしい。

ツレションはダメ、とか小学校の時に言われてたけど、あれはいろんな生命にわりと共通する行動なのかもな、と猫たちを見ていて気がついた。トイレって特別な何かがあるのね。

おでこのトイレは特徴がある。一時期は片方の後足をあげて、壁につけてしっこをしてた(犬みたい)。トイレの砂の位置にこだわりがあるから、トイレするまでが長い。砂を整えて座ってシュミレーションしてみて、気に入らないと場所を変えてまた砂を整える。多いときはそれを3~4回やる。そこまでやってもしないこともある。たまに、あんまりきれいに砂をかけてあるから気がつかなかった排泄物が置き去りになっていて、それが嫌でしっこしなかったんだな、という時もある。きれいじゃないとトイレしない、というのは先代も同じだったけれど、まあとにかく、おでこのトイレは繊細だ。

おひげのトイレはわりと普通。なんだけど、おでこと同じく排泄物をきれいに隠す。あんまりきれいに隠すので、砂が少ないと手足がうんちにつきまくるから、砂を深く入れるようになった。おでこと同じく、掘るのが好きだから砂がたくさんだと喜んで掘ってる。すごい勢いで掘るからシャカシャカ音がするので、あ、トイレにいる、とすぐ分かる。もとは誰のお好みか、トイレの作法にも性格が出る。

ちなみにトイレは、単に場所が好きなだけじゃなくて排泄した後のものも好きみたいで、掃除をしていると寄ってくるし、砂が増えたら入って深さを確認したりする。掬い上げたうんちだって確認したい。顔をつっこんでくるので、それはやめて、となる。自分でしたのはもちろん、もう片方がしたのだって匂いを嗅ぎたいらしく、排泄物と距離感に最初はちょっと驚いた。すごく丁寧に砂をかけて隠すんだけど、嫌で隠してるわけじゃないみたい。うんちは自分の中から出てきてるものだから、ああやって匂いを嗅げば、たぶんいろんなことが分かる。もしかしてそれを知っててやっているのかな。子猫もまた、賢い。

いま、二匹にプレゼントしたいものは?と聞かれたら、それはもうトイレ。手狭になったトイレを大きくしてあげたい。さすがにこのタイミングでトイレは新調できないけれど、今の倍くらいの大きさにして、思う存分、砂を入れてトイレさせてあげたい。

ほんとは外に出て、砂で遊びたいんだろうな、と思ってるけどね。それが叶うかどうかはわからないから、せめてトイレで。君たちのトイレ、私にも思い入れ深い場所になってるよ。


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